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甲斐田俊寛はここから出ていきなさい

こんばんは。今日もおつかれさまです。
勝手に疲れたことにしないで。

コネクタが好きだ。コネクタが好き。フェチと言ってもいい。コネクタフェチ。他意は無い。人工衛星のエンジニアリングモデルや基板を見る時は、必ずそこに付いているコネクタをじっくり見てしまう。うっとり見てしまうと言ってもいい。ねっとり食感と言ってもいい。コネクタを見る時、僕の胸は高鳴っている。どういうロック機構がついているんだろう?中のコンタクトのラッチはここに掛かるのか……。このサイズにこのピン数収めるのはえぐいな……。どんな風に嵌まるんだろう?さらにそれが特殊なコネクタであればあるほど興奮する。もうなんか出そうになる。他意は無い。マイクロ-DsubとかMIL規格のコネクタなんかはもうたまらん。「玉乱堂(たまらんどう)」という風俗店を見つけて「天才的なネーミングセンスだ!」と絶賛していた友人が昔いた。僕も天才的だと思う。他意は無い。彼とは人生において大事なことと下らないことをぴったり半分ずつぐらい共有していた気がする。最近は疎遠になってしまって、そのどちらも半分ずつぐらい失われた気がする。

体育倉庫の匂いが好きだ。あれは何だろう。何なんだろう。ホコリの匂い?何なんだ。嗅いだ瞬間、強烈なノスタルジーに襲われるあれは何なんだ。今、嗅いだ瞬間って打とうとしたら甲斐田俊寛って変換されたぞ。何なんだ。何なんだお前ら!!!!今すぐここから出ていけ!!!!

ヴィルヘルム・ハマスホイという画家の描く空間が好きだ。何も無い部屋の絵なのに、なぜか生き生きとした空間に見えるあの、あれ。あれが好きだ。白いシーツを敷いたベッド、白いレースカーテン、と窓、と差す陽、やわらかい、陽もカーテンも、そして女性が背を向けている、それだけの空間。しかしあれほどに、生活の纏う匂いを正しく描写した絵は見たことがない。ハマスホイが体育倉庫を描いたら、あの匂いを適切にキャンバスに落とし込めるのだろうか。そもそもデンマークに体育倉庫はあるんだろうか。「マットの耳は中に入れなさい!」とか、デンマーク語で何て言うんだ。マットの耳って何だよ。当然のように擬人化するな。

明け方の月が好きだ。夜の月は光り輝く星々を統べるようにあり、昼の月はやや非現実的な残像のようにあるけれど、明け方の月はただ衛星のようにある。本来の姿をしていると言ってもいい。明け方以外の月はどこか余計なイメージが付加されていると言ってもいい。この太陽系内を我々と伴走する唯一の自然天体として、明け方の月はある。だから明け方は、一日の内で最も宇宙が地上に染み入る時間だと言ってもいい。つまり、この世界の孤独な仕組みを正面から受け止め、それを静かに讃える時間だと言ってもいい。だから、明け方の月が最も現実的で、本来の姿で、好きだ。

寝る。起きたらいつも明け方はとっくに過ぎてるから面白くない。

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