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エピソード103 真・百鬼夜行 第三夜

真・百鬼夜行 第三夜

多くの妖怪達に仲間になってもらった真魚はいよいよ京の都にやって来た、さて真魚は鬼達を懲らしめることが出来るか?

真魚が都に入ると街並みは荒れているが、鬼が暴れている様子はなかった。

真魚は通りかかった真魚より7、8歳年上のような若い僧侶に声をかけた。
僧には妖怪達が見えているようだった。

若僧:
なんと、そなた達は鬼達と戦いに行くというのか!
私も修行の身でなければそなたやお供のあやかしの者達と一緒に行きたかった、残念だ。
酒吞童子達はさらに北の大江山というところに陣取っている。どうか気をつけていかれよ。

待たれよ、この錫杖を持っていかれよ、私が修行の時ずっと使って鍛えた錫杖だ、何か役に立つかもしれない。
そなたとはまたいつか再開する気がする。

真魚達は若い僧にお礼を言って都から北に向かっていった。
都を出てしばらくすると空から何者かが舞い降りてきた。

天狗:
待て小僧、ワシは鞍馬山の天狗じゃ!
お前たちがこれから酒吞童子と戦いに行くことは聞いておる。じゃが、小僧がワシに勝てぬようでは全滅は目に見えている!
ワシと戦って見事勝って見せよ!もし勝てたならワシもお前たちに力を貸してやる、さあ、勝負じゃ!

天狗は持っていた大団扇でつむじ風を起こすとともに、たくさんの石つぶてを飛ばしてきた!

しかし、真魚は少しもあわてず念力でつむじ風を竜巻にして天狗に跳ね返した、そして石つぶても一つの大きな塊にして天狗に投げ返した。

天狗は竜巻に巻上げられ、落ちてきたところに石つぶての塊が降って来た!天狗はやっとのことでつぶされるのを抜け出した。

天狗:
ま、参った!わかった約束道理ワシとワシの配下カラス天狗20人もお前のお供になろう。
しかし噂通りのつわものだな、ハハハハハ。

日暮れ近く、40人近くまで仲間の増えた真魚達はいよいよ大江山近くまでたどり着いた。
山からは鬼達の唸り声や笑い声が聞こえる。真魚達は一気に乗り込んでいった!

真魚達は鬼達の宴の正面にやって来た、奥の一段高い大きな椅子に座っている鬼が酒吞童子であろうか他の鬼の2倍はある身体、その大鬼が低い声で真魚に話しかけてきた。

酒吞童子:
フフフ、お前が真魚とかいう小僧か?噂は土蜘蛛や手下の化け物達から聞いておる。
無謀にもワシを倒しにきたのだな。者ども丁重に叩きつつぶしてしまえ!!

宴会をしていた100人を超える鬼達が酒吞童子の号令のもと真魚と妖怪達に飛びかかってきた。

妖怪達は決死の覚悟で戦ったが、さすがに倍近くの人数差、押されていよいよ危なくなってきた。

そこに、ドラの音とともにどこからともなく100を超える妖怪達が現れ真魚達に加勢してきた!
見ればそれを率いてきたのは四国であった老人・ぬらりひょんであった。

ぬらりひょん:
待たせたな、さすがにこれほどの仲間を集めるのには時間がかかってしまった。
しかしもう大丈夫、これぞ百鬼夜行。さあ決戦じゃ!!

ぬらりひょん達の加勢で一気に攻守は逆転し、もともと統制の取れていない鬼達は総崩れ、中には戦いから逃げ出す鬼も出てきた。

そこで酒吞童子が声を上げた。

酒吞童子:
大将、お前たちの大将はおるか!
こんなチマチマした戦いは終いじゃ、ここは大将の一騎討ちで勝負を決しようぞ!どうだ?

ぬらりひょんに目でうながされ、真魚は一人酒吞童子の前に立った。

酒吞童子:
お前が大将なのか?ならば小さなお前の為に力勝負は止めて術での勝負にしてやろう。さあ行くぞ!

そう言うと酒吞童子は酒を口に含んだかと思うと、口から激しい炎を吹いてきた。
まともに食らえば真魚など一瞬で黒焦げになってしまうほどである!

しかし、真魚はたじろぎもせず京の都でもらった錫杖を地面に突き立てた。
すると地面から凄い勢い温泉が吹き上がり炎を消すとそのまま熱湯が酒吞童子達に降りそそいだ!

酒吞童子:
あちちち~!この勝負、お前の勝ちだ!しかし次の勝負では負けんぞ、つぎはあっち向いてホイだ!

こうして悪あがきする酒吞童子は負けるたびに様々な勝負を持ち掛けたがすべて真魚が勝利した。

真魚:
酒吞童子、負けを認めろ。
僕はお前たちを殺しに来たわけではない、もう人間達を苦しめないと約束してくれたなら僕たちは引き上げる。

酒吞童子:
わかったワシらの負けじゃ!
ワシらはこの山にこもり里や都には200年降りはしないと約束する。鬼にも誇りはある約束は必ず守る!

するとみんなを照らしていた月を覆い隠す大きな影が現れた、いったいこれは新たな敵か?

ダイダラボッチ:
ごめんごめん遅くなって、間違って逆方向の蝦夷の方に行っちゃってたよ。
でもこのダイダラボッチが来たからにはもう安心だよ。
え、もう終わっちゃったって!え~......じゃ真魚、オイラの手に乗って家まで送ってあげるよ。

こうしてダイダラボッチの手に乗り四国の仲間たちと真魚は家に帰って行った。
手を振って見送った酒吞童子は危うく全員踏みつぶされるところだったと冷や汗をかいていた。

こうして鬼退治を終え四国に帰った真魚は、仏道に入り修行して中国にも渡った誰もが知る有名なお坊様になったそうです。


・・・・・これにて妖怪古伝・第1部終了でございます。

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