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エピソード100 百鬼夜行

100百鬼夜行

百鬼夜行(ひゃっきやこう)とは、日本の説話などに登場する深夜に徘徊をする鬼や妖怪の群れ、および、彼らの行進である。

鬼や妖怪などが群れ歩いているとされており、「百鬼夜行に遭った」と言われることがある。

経文を唱えることにより難を逃れた話や、読経しているうちに朝日が昇ったところで鬼たちが逃げたり、いなくなったりする話が一般的で、仏の功徳を説く説話でもある。


100 百鬼夜行 オリジナルストーリー

ここは富士山にほど近い町、この町に将太は祖父と二人で住んでいた。
将太の両親は将太が幼いうちに亡くなっていたが、将太はいたって元気な子に育った。

小学校から帰って来た将太の家に親友の浩二がキャッチボールをしようとやって来た。

将太:
じいちゃん、オレ、友達の浩二と公園でキャッチボールしてくるね。 

祖父:
ん、何だって?浩二君と富士山に弾丸登山だって、勇気があるのはいいが無謀なことは止めなさい!
もしもの事があったら、お前の両親に合わせる顔が無いだろう。

将太:
誰もそんなこと言ってないよ!公園でキャッチボールだって、暗くなる前には帰って来るから心配しないでね。

そう言うと将太は家を飛び出した。公園に着くと早速将太は浩二とキャッチボールを始めた。ボールを投げながら浩二が話しかけてきた。

浩二:
あいかわらず将太のじいちゃん耳が遠いな。でもあれで家事も掃除もちゃんとしてるんだから偉いよな。

将太:
ああ、じいちゃん時々ボケたみたいに見えるけどちゃんとしっかりしてるんだぞ。

あ、ごめん浩二強く投げすぎた。

将太の投げたボールは浩二の頭を大きく飛び越え公園脇の林の中に入って行ってしまった。
浩二はボールを追って林の中に入って行った。

浩二:
将太強く投げすぎだよ。
あれ~ボールどこ行っちゃただろう?  
ん、あれこんなところに石碑があるぞ、こんなの前からあったっけかな?

浩二と将太はよくこの公園で遊んでいたが、こんな石で十字架の形をした石碑は見かけたことが無かった。

あたりは暗くなりかけていた、逢魔が時である。

浩二:
凄い迫力の石碑だな~。
おや、石の十字架の真ん中に木の杭が刺さっているぞ、何だろう?

すると浩二の頭の中に誰かの声が聞こえてきた。

?:
この杭を抜いてくれ、この杭を抜くのだ!   

浩二はその声に逆らえなかった。
両手で木の杭を握ると力一杯引き抜いた!そのまま浩二は後ろに倒れてしまった。

すると雷が鳴り、石の十字架に落ちた!浩二が立ちあがり石碑があった場所を見ると、黒いマントを着た背が高く顔が真っ白の男が立っていた。
吸血鬼である。

吸血鬼:
おぉ~...300年ぶりか、この地上の空気に触れるのは。
少年よよくやった、よく我を復活させてくれた。
せっかくだからもう一つ役に立ってもらおう。

そう言うと浩二を気絶させ、その身体を持ち、林から出てきて辺りを見回した。吸血鬼の目線の先に将太が映った。

吸血鬼:
あぁ~なんという幸運だ、我を封印した化け物達のリーダーの匂いがする。
そこの少年、この小僧を返してほしくばすぐに家に戻り、この今目の前で起こった事、そして我らは富士山の麓で待つと伝えるのだ、さあ行け!

将太は一人では太刀打ち出来ないことをさとり、急いで自宅に戻った。
自宅には将太の祖父が待っていた。

将太:
じいちゃんか、じいちゃんに話してもどうにもならないよな。
誰か助けを探さないと!

祖父:
将太、事態は分かっておる。
まさか300年前にワシらが封印した吸血鬼が目覚めようとは!
あいつは次元の扉を開け西洋妖怪達をこちらに呼んでいるようだ。
こうなってはワシらも仲間を集めるしかあるまい...。
将太、お前はここで待っていろけっしついてくるなよ

そういうと将太の祖父はいつもとは全く違った身のこなしで家から飛び出していった。
ついてくるなと言われた将太であったが、見つからないよう祖父の後をそっとついて行った。

日は沈みすかっり暗くなった富士山の麓の樹海。
吸血鬼は作った魔法陣で西洋妖怪達をここに召喚していた。

フランケンシュタイン、狼男、ミイラ男、半魚人、ゾンビなど100体を超える西洋妖怪達を。

祖父:
間に合わなかったか...。吸血鬼よ、本来ならお前とワシで決着をつけたかったがそれは無理のようじゃ、ワシも使いの烏達に仲間の日本妖怪を呼びに行かせておる。

祖父の言葉通り100羽近い烏が戻ってくると、何処からかワラワラと日本の妖怪達が現れ出した。

天狗、河童、ろくろ首、一反木綿、ぬりかべ、輪入道、雪女、百目、かまいたちといった面々こちらも100体を超える妖怪の数である。

天狗:
大将お待たせしました。さあ、お指図を!

その言葉を聞くと将太の祖父は体から煙が上がりまったく別の者になっていた。
妖怪の総大将、ぬらりひょんである。

ぬらり:
みなの者ありがとう。
ワシらが300年前に封印した吸血鬼が目覚めて仲間を呼んでしまった。
しかし、この日本はこいつら西洋妖怪達には渡さん!みなの者さあ戦いののろしを上げるぞ、百鬼夜行じゃ

この号令を合図に日本と西洋の妖怪達の戦いが始まった!

まずはフランケンシュタインとぬりかべの戦い両者力自慢、押し合いにもお互い一歩も引かない、しかしぬりかべ倒れてフランケンを下敷きにした!

続いてはミイラ男と一反木綿、ミイラ男が一反木綿を捕まえ振り回す。しかし一反木綿、その勢いを利用しミイラ男をぐるぐる巻きにして締め上げた!

こっちは河童と半魚人、河童の提案で相撲勝負になったがなかなかの取り組みとなり決着がつかない。お~っと水入りになった。

そしてこちらはかまいたちとゾンビの戦い。かまいたちはゾンビを切りつけるが、さすがゾンビ痛みを感じないのでかまいたちを捕まえ食おうとしている!

またこちらは雪女と雪男、雪女が吹雪を雪男に叩きつけるがもともと寒さに強い雪男全然平気。
ん、おや雪男目がハートになって雪女を追い始めた!どうやら求婚しているようだ!!

そしてここでは両軍の副大将、天狗と狼男の戦い。天狗は団扇で大風を起こすが、狼男は素早い動きでそれをかわし、天狗の鼻に噛みついた!

おっと、こちらでは子泣き爺とトロール2体が戦っています。歴戦の子泣き爺ですが流石に2人相手では分が悪い、おっ、子泣き爺が倒された!ピンチ~!
そこに横から大粒の砂が投げかけられた。砂かけ婆が救援に駆け付けた! 

砂かけ婆:
大丈夫か子泣き!

子泣き爺:
助かった砂かけ、お前さんが加勢してくれれば百人力じゃ!

そしてこちらは大将戦。ぬらりひょんと吸血鬼が様々な技で激しくぶつかっていますが、優劣つかないでいます。

吸血鬼:
仕方あるまい、こうなったら奥の手を出すとしよう。

そう言うと浩二を連れてきた。

ぬらりひょん:
人質とは卑怯だぞ。

吸血鬼:
人質?勘違いしているな。
この少年こそ我らが切り札「ベリアル様」だ!

そう言うと浩二の胸に右手を突き刺した!

すると浩二の身体は漆黒に染まり、背中から黒い羽根が生え、右手には大きな剣が握りしめられていた。

将太:
そ、そんな...。なんで浩二がこんな姿に!

岩の影から妖怪達の戦いを見守っていた将太であったが、あまりの衝撃に思わずフラフラ前に出てしまった

それを見つけ、もう浩二の心を失ったベリアルは剣で将太に襲いかかった!

そこにぬらりひょんが横から将太に飛びつき必殺の一撃をかわした。
しかしぬらりひょんは大けがをしてしまった。

将太:
じいちゃん、じいちゃんなんだよね?ごめんオレの為にこんな大けがさせちまって。お願い死なないで!

ぬらり:
大丈夫じゃ将太。しかし、このままでは日本の妖怪達が危ない...。
できればお前を巻き込みたくなかったのだが、仕方あるまい。
じつは将太、お前はワシの孫ではない!

将太:
いや、いまさらそれ?どうみても違うでしょう。じいちゃん妖怪だし。

ぬらり:
まあ聞け。
お前は「護法童子」!この日本を魔物から守る要の鬼神じゃ!
いいか将太これからお前の封印を解くが、仲間の妖怪達を倒したりしないよう意識をしっかり持ってくれ、頼んだぞ。

そう言うとぬらりひょんは将太の頭に手をかざし何やら呪文を唱え始めた。すると将太の身体は光を放ち宙に浮いた!

そしてどこからともなくやって来た雲に乗り、真っ赤な体に雷の剣を持つ鬼神の姿となった!

将太いや、護法童子は感情をなくし暴れまわるベリアルに追いつき、雷の剣でベリアルを弾き飛ばした。飛ばされたベリアルは大岩にぶつかり気を失った。

そして護法童子は吸血鬼の前に出て、雷の剣から出る光を吸血鬼に当てた。
吸血鬼は日の光を浴びたように体を焼かれ燃え尽きた!

それを見ていた西洋妖怪達は我先にと争い、出てきた魔法陣に飛び込み帰って行った。

護法童子はベリアルの前に立っていた、しかし手に持っているのは剣ではなかった。

護法童子:
浩二、浩二。
目を覚ましてくれ、そして思い出すんだお前はオレの親友の浩二だ。お前にはそんな剣じゃなくこのボールが似合ってる。

護法童子はベリアルに林でなくしたボールを握らせた。
その瞬間、二人は将太と浩二に戻っていた。
二人は涙を流し抱き合った。

それを見ていたぬらりひょんは足音を立てずに二人の横に立つと、二人の頭に手を当て何か呪文を唱えた。
二人は倒れた。

子泣き爺:
ぬらりひょん、二人に何をしたんじゃ?
まさか二人とも...!

ぬらり:
安心せい、この二人がキャッチボールしていた後の記憶を消しただけじゃ。
この戦いは二人には酷だからな...。

それよりも、子泣き爺に砂かけ婆。お前たち二人に頼みがある、将太の祖父母になってくれまいか?
ワシは少し傷が深かったようで一緒にはいてやれん、頼む。

そう言うとぬらりひょんは富士の樹海の中に消えて行った。

公園のベンチで将太と浩二は目を覚ました。
二人はキャッチボールをしていたのは覚えていたが、なぜベンチで寝ていたのか思い出せたなった。
もう真夜中である、浩二は将太にまた明日といって帰って行った。
将太も急いで自宅に戻ると家の前に見知らぬお爺さんとお婆さんが立っていた。

将太は初めてあう二人だと思ったが、なぜか懐かしさをおぼえた。

爺:
将太だね。
ワシらはお前の母方の祖父母じゃ、もう10年ぶりかのう。
お前のおじいちゃんは急用が出来て旅に出てしまった留守の間をワシらにまかせてな。
大丈夫、おじいちゃんは必ず元気に帰って来るから。それまでワシらと待っていような...。

将太:
ありがとう。うん大丈夫だよ。なぜかわからないけどオレ強くなった気がするんだ。じいちゃんが帰ってくるまでこの家を守るよ。

将太はそう言うといつの間にできたのが右手にできた日輪のアザを握りしめ、夜空を見上げた。

月がじいちゃんの笑顔に見えた。

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