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エピソード93 ぬらりひょん

93ぬらりひょん

ぬらりひょんは、日本の妖怪。
一般に瓢箪鯰(ひょうたんなまず)のように掴まえ所
が無い化物であるとされる。

江戸時代に描かれた妖怪絵巻などにその姿が多く確認
できるが、詳細は不明である。
昭和・平成以降の妖怪関連の文献や児童向けの妖怪図
鑑で「ぬらりひょん」は、家の者が忙しくしている夕
方時などにどこからともなく家に入り、茶や煙草を飲
んだり自分の家のようにふるまい、家の者が目撃して
も「この人はこの家の主だ」と思ってしまうため、
追い出すことはできない、またはその存在に気づかな
いと解説されている。
また「妖怪の総大将」であると解説されることも多い


93ぬらりひょん オリジナルストーリー

ここは名古屋のとある材木問屋の家、この家には始と
銀二という二人の兄弟がいた。
始めは生まれた頃から体が弱く、これに対して銀二は
男前で祭りと言えばいつも神輿を担ぐ元気さだった。

ある日の夕方二人はたまたまそろって帰宅した。
すると居間に男が座っていた。
その男は還暦はとうに過ぎている感じで、なぜか頭が
瓜のように大きかった。

そんな変わった格好なのに、なぜか二人はこの人はこ
の家にずっといた人のように感じ何も質問できなかっ
た。
すると、男の方から話しかけてきた。

謎の男:
お茶を入れるが、お前たちも飲むか?  

二人は はい と答えると、二人の前にお茶が出てきた
しばらくして三人ともお茶が飲み終わると、また男が
話しかけてきた。

謎の男:
じつは今日ここにやって来たのは訳があってな、ワシ
の仲間の死神がぎっくり腰を患ってな、代理でワシが
やって来たという訳だ。
おっと、まだ名乗ってなかったの~
ワシはぬらりひょんという妖怪じゃ。
地獄の閻魔帳に名前が書いてあるから明日、一人連れ
帰らなければならない。
兄弟でつもる話もあろうから気のきくワシは教えに来
てやったのよ。
それじゃあ、明日また来る。
お茶ごちそうさま。

ぬらりひょんが帰り、兄弟二人が居間に残った。
二人は悪い冗談だと笑ったが、口元は引きつっていた

銀二:
兄貴大丈夫だって、何だったら俺があの爺から守って
やるって。 

銀二は笑い飛ばしたが、本心は揺れ動いていた。

次の日の朝、二人はそろって出かけることにした。
今日は兄の始が医者にかかる日だった。

すると、家を出ようとする二人に屋根の瓦が降って来
た。
気づいた始は銀二を突き飛ばした。
始は落ちてきた瓦で左手を怪我した。

銀二:
大丈夫か兄貴。
すまない俺がうっかりしていたばかりに、医者に行っ
たら一緒に見てもらおう。

家を出てしばらく町を歩いていると、前からやくざ者
三人組が歩いてきて始と銀二にからんできた。
ケンカも強い銀二であったがさすがに三人がかりでは
かなわない。

三人に袋叩きにされている銀二をみて、始は大声で叫
び土下座した。

始:
すいません、許してください!弟には私がよく言って
おきますから!お詫びに私の財布を持って行ってくだ
さい。お願いします。

やくざ者三人は分かればいいんだとばかりに始の財布
を受け取ると笑いながら去って行った。

始は銀二の手を引いて起こして言った。

始:
銀二、大丈夫か?お前も一緒に医者に診てもらうよう
だな。
え、財布?ああ大丈夫、いつもこんなこともあろうか
と二つ持ち歩いてるんだ。渡したのは少ない方さ。

銀二の気持ちは揺れ動いた。
昨日来た妖怪はきっと兄貴を迎えに来たんだろう、兄
貴がいなくなれば家業を継ぐのは俺になる、それを望
んでないと言えばうそになる。
昨日は軽く俺が兄貴を守ってやるって言ったが、こん
なに俺の事を兄貴が思ってくれていたなら、俺も本気
で兄貴を守ってやる、と銀二は思った。

またしばらく二人が歩いていくと前の方が騒がしい、
見てみると坂道を荷をたくさん積んだ荷車がすごい勢
いで下ってくる!まわりの人々は逃げまどっている。

荷車が始と銀二のすぐ目の前まで迫ってきた、逃げよ
うとして始が転んだ!
それを見て銀二は始の手を引き投げ飛ばした、そして
荷車は銀二にぶつかった。

荷車は止まったが、その下には銀二が倒れていた。
始めは駆け寄り銀二に話しかけたが、銀二は足が折れ
頭からも出血をしていて、意識は無かった。

するとどこからともなく昨日男が二人の前に現れた。

ぬらり:
迎えに来たぞ。
閻魔帳に書いてある通り銀二をな。
閻魔帳に名前が書いてあるのはどうやっても変えるこ
とは出来ん!
さあ銀二行くぞ。

始:
待ってください!ひ弱な私には弟の銀二が必要です。
いえ、なんだったら私を代わりに連れて行ってくださ
い。お願いしますぬらりひょん様。

ぬらり:
それは出来ん、お前はあと50年生きることになって
いるのでな。
無理を言うな。

始:
そこをどうか、ぬらりひょん様

始はぬらりひょんの足にすがりついた。

ぬらり:
しかたないな。
ではお前たちの家で飼っている、あのよぼよぼで寝た
きりの犬は何という名だ。

始:
うちの犬? 文太と言います。

ぬらり:
わかった、それではお前の弟の名は今日から文太だ。
もう銀二という名は二度と使うな、家の者にも言って
おけ。...あとはワシが上手くやっておく。
さらばじゃ!

始:
おい、気がついたか?
お前も聞いていたろう、今日からお前の名は文太だ。
さあ起きて、あぁ~お前の方がお医者様必要だな。
ハハハハハ。

始は銀二、もとい文太に肩を貸し二人は笑いながら
町並みを歩いて行った。

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