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報告! ジャイロUP君、修理日記・「今日は、再始動できるかも」

体調も回復したので、エアコンもヒーターも無いガレージへ、完全防寒装備で、ジャイロUP君の修理へ向かいました。パーツは全部揃っているし、不調の原因も分かったので、今日は再始動できるかな? と期待を込めて修理したのです。

『 吹き抜けと言っても 』

前回、不調の原因はヘッドガスケットと報告しましたが、それは間違いないのですが、改めて冷静な目で見ると、ダメージはガスケットだけではないようです。シリンダーとシリンダーヘッドの間にあるのが問題のガスケットは、燃焼室で混合気が爆発した際の、とても熱くて圧力の強い燃焼ガスが外に漏れない様にしている大切な部品です。それが、下の画像の様に、左側が吹き抜けたもので右が新品のガスケットですが、とても正視には耐えられない程に無残に壊れた姿になっています。

左が吹き抜けた純正ガスケット、右が新品のガスケット

すると、当然ですが、下の画像の様に、左側がシリンダーを上から見て、右がシリンダーヘッドを下から見た画像ですが、ガスケットが吹き抜けた場所で、ガスケットの上下を通って燃焼ガスが暴れ抜け出している様子がはっきり分かります。

左がシリンダーで右がシリンダーヘッド、同じ箇所がはっきりと痛んでいます

抜け出した場所は、大きく目立つ場所だけで 3ヶ所あり、一見すると外部まで燃焼ガスは洩れていない様に見えるかも知れませんが、そんなに燃焼ガスは優しくはないのです。黒い痕跡こそ途中で止まっていますが、実際には燃焼ガスは抜け出して、黒い痕跡部分は熱による損傷、変形や窪みがあるのです。だから、再使用しなくてはならないシリンダーヘッドは、この吹き抜けて破損している箇所の修復をする必要がありました。

『 シリンダーヘッドの修復 』

シリンダーヘッド、特に劣化しやすいシリンダーとの接合面の修復は難しくはありません。「面研(めんけん)』と言って、接合面を少しだけ平らに研磨(削って)して、接合面をきれいに整えてあげるだけです。下の画像が面研を終えた後です。

面研した後のシリンダーヘッド、右は新品のガスケット

一見、綺麗に研磨されている様にも見えますが、吹き抜けた箇所にはまだ僅かな窪みが目視できます。と言っても、新品のガスケット君が頑張って窪みを埋めてくれるだろうと期待して、「まあ、この位にしておこうか」という結果です。それと一緒に、燃焼室内に異常燃焼時のスラッジやデブリが堆積していたので、この機会しか無い! 燃焼室の研磨もしています。

『 組立て、 ん?おかしい 』

シリンダーヘッドの修復も終わったので、これで全ての部品が整い、いよいよ組立て作業に入れます。下の画像が主な部品一覧です。いよいよ、購入したシリンダーセットの中で一番大きな部品、純正部品とは異なり綺麗に切削加工が施された、シリンダーの登場に期待が高まります。が、一番高い部品の筈なのに、隠れた問題を抱えているとは露知らず、心うきうきで組み立てに移ったのです。

ピストンにピストンリングを装着、コンロッド小端部に新しいベアリングを入れ、新しいピストンピンを使ってピストンを固定。そして、シリンダーベースガスケットを強いて、シリンダーをピストンの上から挿入させて、念の為に、シリンダー固定用ボルトを指し込んでガスケットやシリンダー、エキゾーストパイプの位置関係を確認。

「... ん? 何かおかしい 」シリンダーとエキゾーストパイプがきつく干渉しているのです。工夫をすれば、正規の位置にエキゾーストパイプを合せる事は出来るのですが、パイプ固定用のボルトを締める以前に、お互いが強く当たっているのです。念の為に、エキゾーストパイプと繋がっているマフラー(消音器)を確認すると、マフラーを固定する本来の位置よりも 3~4㎝ はエンジン側(進行方向前方)へ移動させられているのです。これでは、仮にエキゾーストパイプをシリンダーへ固定しても、マフラーを適切に支える固定ができない。仮に、部品を加工して固定できたとしても、走行中に車体の他の部分と接触・干渉する危険性が高い。

「 おかしい、これでは組立てられない 」 一旦、冷静になって、廃棄予定だった、みすぼらしく見える純正のシリンダーを取り出し、購入したシリンダーと比較をしたのです。

『 これは、困った 』

シリンダーを比較した画像が下の通りです。エキゾーストパイプを取り付ける部分・フランジの位置が少し違うのが分かるでしょうか。

左が純正、右が新しく購入したシリンダー

シリンダー壁面からフランジ面までの距離を測定すると、購入したシリンダーの方が 4~6 mmも長いのです。一度は、フランジ面を4mmほど切削・面研して、フランジ面の位置を純正と同程度に合わせる事も考えましたが、フランジ部の内側に挿入するガスケットの座面も同じだけ削る必要が出ます。が、必要な加工機械を持っていないので、フランジ面の切削案は棄却の可能性が大です。

「 困りました、どうしよう 」と考えている内に、外は真っ暗になっています。 「 今日はここまで、明日、起きてから考えよう 」と、シャッターを閉め、夕食を食べ、紅茶を飲みつつ、やっぱり考えてしまいます。
「 折角、購入したシリンダーなのに 」きっと、同じエンジン形式の ディオだと問題ないのか? マフラーを社外品と交換するユーザーからは文句は出ないかも知れないけど ・・・

フランジ面を基準に較べると、シリンダーのスカートの高さが大きく違います

また、明日以降、報告します。

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