「境目」編2
再び休日、真夏日予報が出ていたので数日前から川へ行くと心に強く決めていた。朝のルーティンとデグーの文ちゃんのケージの掃除を済ませる。連れは再び起きてこない。一昨日から連れの妹も泊まりに来ている。妹は逆に一睡もできておらずしんどそうだ。しかし俺には関係ない。彼女たちを置いてでも川へ行くと強く決めていた。俺は今週も非情である。
とはいえまだ朝も早いのでひとまず散歩へ出掛けて時間を潰す。先週開拓したおたカフェへ向かう。突き刺すような日差しと涼やかな風がなんとも気持ちが良い。新緑の季節、全てが初々しく爽やかだ。これがあと2ヶ月もすると狡賢く嫌らしくまとわりつくような暑さとなる。五月のような気持ちで日々過ごしたいものである。
9時25分におたカフェに着くとまだ開いていなかった。9時30分かららしい。表の席に座って開店を待っても恐らく問題はない。しかし、史跡公園をうろうろして9時35分に再訪した。俺はそういえば開店待ちというのをしたことがない。気恥ずかしい。お店の人にプレッシャーを与えているようで悪い気もする。気にしいである。
再びハートランド。今朝はミックスナッツandチーズも注文した。ミックスナッツはポリッピーのようなものが混ざっていたし、チーズは子供のおやつのような個包装のものだった。別にいい。今日は周辺の森で美術展示もやっていた。
再び境目について考える。俺は境目というものが好きだ。県境や市境に至れば人並みにジャンプして飛び越えることもある。跨って右半身は東京都、左半身は神奈川県とするのも楽しい。今も国分寺市と府中市の境に住んでいる。「境」と名の付く駅も良い。多摩境、武蔵境はお気に入りの駅だ。
一度多摩ニュータウンを散歩している時、南多摩尾根幹線道路を超えたことがある。場所によってはこの道路を超えると神奈川県に入るのだが、途端に二階建て以上の建物が無くなり、棚田が広がる素敵な日本の原風景といった風情になる。タヌキもいた。次第に日が暮れ、灯りもないので前後不覚に陥り身の危険すら感じた。ここほど境目を感じた場所はない。ニュータウンの開発計画から漏れた場所ということらしいが、越えてはならない境目を越えて異世界に迷い込んでしまったような畏怖がとても千と千尋の神隠し的で楽しかった。
じゃ、また。