自己実現という一大マーケット

いのちに納得感がほしいよね、という話

(例のごとく、自己実現の位置付けは恐らく擦り切れるほど議論がなされてきて、その巨人の肩に乗らず、誰にも見つからない隅でこっそりたわごとを並べようという趣旨です。怠惰なだけなんだよな)

創作において、自己実現がテーマの核となるものはかなり多い気がします。夢があって、目指したいものがあって、諦めきれないもの・人がいて、そのために困難を乗り切る、みたいなストーリーです。

創作として括ったのは失敗かもな……当然、例外を挙げればいくらでもあるんですが、小説、映画、漫画、アニメ、ゲームあたりを見ていると、自己実現を是とする前提で組まれたストーリーのシェアは相応にあるんじゃないかなという感覚でいます。どうですかね

くどいようですが、それを非難・批判したいわけでも分析したいわけでもないので、パンチのある批評をお求めの方は中○さんの書籍をどうぞ……(「自己実現 嘘」ってググるだけででてくる、すごい)

さて、ぼくの感覚が的外れでないと仮定して、ですが、もし自己実現というテーマが市民権を得ているなら、その背景が気になります

推し活という言葉が広告代理店に見つかってしまって久しいですが、推しを応援することでこうなってほしいとか、〜〜なってほしいとか、そういう感情に着目したマネタイズ方式すらありますよね

スポーツ観戦でも、夢、憧れ、みたいなワードを応援歌に使っているのも聞き覚えがある気がします

ひどく穿った見方をしてしまうと(ゆえに丁寧な説明は控えるのですが)「代理戦争」だなあと思ってしまう自分もいます
※強い言葉ですみません……

ただ、こういう表現をすると「やりたいことをやる」「好きなことで生きていく」みたいな呪いの信者のようですが、
代理戦争のメタファーを踏襲するなら「別に戦争もしなくていいじゃん」とぼくは思っています
むしろしたくない、なんなら。

ここで小声で提唱したいのですが、意味ある命=気持ちいい説って……どうですか?()

何か実現したいこと、叶えたいことがあって、限りある時間を割く、奮闘するというストーリー、気持ちがいいですし、なんだか人生や命に壮大な、高尚な意味があるような気がしてきます
(あるよ〜〜〜!少なくともないとは思ってないよ〜!)

必ずしもそれはオリジナルの、自分の望みである必要はなくて、何か命/人生っぽいモノのシミュレーションでも満たされるんじゃないかなと

結果として、もし自分の好みとして似たようなことがしたければすればいいですし、それを創作に促されたとすれば、創作のパワーってすごいなあ、となります

でも、世の中にたくさんある仕事、生き方の中で、そんなストーリー映えする自己実現をそもそも選べない(選ばなかった結果そこに至っている)層も相当数いると思っています

そういう文脈で、自分のいのちと同質のモノが、意味や価値に満たされるストーリーに心が動かされるし、ある意味安心材料になる気がしています

そういう熱に、自己実現に浮かされたくて手が伸びる娯楽、創作があるとすれば、自己実現マーケットってすんごいおっきいじゃん!という、いい商売だよね、という感想です

フォアキャスト型のキャリアプランみたいな話も「自己実現」が絡む部分は丁寧に解きほぐしたほうがいいよな、というのが個人的な意見です
実務上のキャリアアップの話と、自分の在り方とか生き方とかの話は原則別次元なので……(「シンプルにお金持ってる自分が好き」とか、一致する場合もあるけれど)

意味や価値があると、一定程度納得して、安心していたいですよね、周りがどうとかは分からないですけどぼくはそうです

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