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【巻頭インタビュー】 認定NPO法人オリーブの家 特別顧問 山本 康世 さん 「DV被害や虐待から女性や子どもたちを助けたい!勇気・度胸・行動力で駆け抜けた34年の軌跡とこれから」

今回は、岡山県内に5団体しかない認定NPO法人(令和5年9月4日現在)の1つである「オリーブの家」特別顧問の山本康世さんにロングインタビューさせていただきました。
これまで多くのDVや虐待、シングルマザーの悩みに寄り添い、精神的・社会的・経済的自立をサポートしてこられた康世さん。
カウンセラーとして個人活動を始めたきっかけから、NPO法人立ち上げの経緯、女性ニーズの変化などについてお聴きしました。
 

① まずは、カウンセラーとして個人活動を始めたきっかけについて教えてください。

実は16歳から高校に通いながら、イベント歌手やハードロックバンドでドラムもしていたんです。将来は歌手で食べていくんだ!と思っていました。(笑)大人になったころ、突然、友達が「外出恐怖症」になってしまったんです。普通に会話もできるし、ただ怖くて外に出られないという症状でした。何とかして友達を助けたいけど、日本の大学で心理学を学ぼうとすると4年以上もかかってしまう…。そこで、実践心理学を学ぶため単身渡米しました。“助けるとはどういうことか”について学び、アメリカで虐待を受ける子どもたちの支援をするなかで、その人の力をいかに引き出すかが大切なことに気づきました。友達を外に出そうとするのではなく、なぜ外に出られないかを考える重要性にも気づきました。帰国後、心理カウンセラーとして起業しました。口コミで広がり個人や企業等からもご相談をいただくようになりました。        

② つぎに、認定NPO法人「オリーブの家」設立の経緯について教えてください。
 
 2011年に起きた東日本大震災によってシングルマザーになってしまわれた方からの相談があり、居場所がない、子どもを連れて安全な場所に避難するにもどうしたらよいか分からない・・・頼れる身内がいない。一緒にシェルターを探しましたが、条件が合わなかったり、保証人がいないことでなかなか難しい状況でした。
 そこで、自宅の部屋を開放して来ていただくことにしました。お互い様の気持ちで始めたシェルター保護活動の始まりです。
自然に口コミで拡がっていき、DV被害者からのSOSも増え、被災された仮設住宅への入居を待っている親子や女性など、最大3家族、9人で生活をしていました。ペットも家族!一緒に来ていただき、傷つきのある方の自立を応援したい気持ちも強まりました。自宅シェルターでの活動は楽しい思い出もたくさんあります。
 その頃、周囲の方々から「NPO法人として活動したほうが良いのでは?」というお声をいただきました。行政や他団体と連携して、利用者も支援者も増えるかもしれないと思い、当時の奉仕仲間と共に1から勉強して2017年に設立しました。
 
③ 活動を通じて、大変だったこと・嬉しかったことは何ですか。
 
「大変だったこと」は、複雑な書類作成や、助成金の申請書、報告書作成ですね…。法律や制度を踏まえながら、「NPOとしてどうあるべきか」を考えながら苦労しました。(今でも)申請書類などは、聞きなれないアウトカム?などのカタカナ英語が多くて当初解釈にも非常に戸惑いました。
また、法律の改正で活動に影響することがあるので、スタッフ全員の活動理念や倫理観を確認しています。自分たちで勉強会を開催したり参加したりもしていますが、その時間も利用者を少しでも多く助けられるのに、と惜しい気持ちにもなることもあります。(苦笑)
さらに、行政との連携についても、どういうことがお互いさまになるのか、考えさせられました。スタッフのほとんどが仕事を持ちながらのボランティアで活動してくれています。公(おおやけ)では当たり前なことも、民間では違いますし、また逆もあります。県からの補助金事業が、急遽、打ち切られた時は大変苦労しました。対応に追われ、体調を崩し、未だに復帰できていないスタッフもいます。スタッフを守ることや法人を継続していくことも大切な業務と捉えています。
 
「嬉しかったこと」は、たくさんありますが、やはり利用者が、安全で安心な新たな生活をされること、特に、子どもが安心して暮らしているという報告を聞くと幸せな気持ちになります。
数年支援していた発達障害のお子さんをもつシングルマザーの方から、オリーブの家に支援していただいたことで、思い切って転校ができて元気に学校に通えているという嬉しいお話もいただきました。親だけ子どもだけを支援するということではなく、まるっと家族の支援をしていくことを大切にしています。
あとは、新たな仲間が増えたり、活動への理解が得られた時も嬉しいです。

 

 ④ 最近感じられるDV被害や女性ニーズの変化について教えてください。
 精神的・人格的な問題を抱えている方や、診断を受けていないけど症状のあるグレーゾーンの方からのニーズが増えています。貧困状態にある方のご相談も多いです。知的障がいのある女性がホストに騙されて、風俗で働かされて、怖くて逃げれない、というケースも増えています。組織的な犯罪グループが後ろ盾にいることもあるので、警察や弁護士と連携して支援をしています。また、60~80代の高齢女性の方からのご相談もあります。DV自体の認識が社会に広まり、「もしかしてこれはDVなのか?」と気づかれて保護をしたケースもあります。自分はDVを我慢してきたけど自分の子どもたちには同じような目に遭ってほしくないと思われる方もいらっしゃいます。特に、まだ体が元気な高齢の被害者の保護先が少ないと感じています。自分の家もあり、夫もいて子ども(成人)もいるけど、居場所がない。そういう方々は超高齢社会で今後増えてくるのではと懸念しています。 ⑤ 「オリーブの家」の強み、今後の目標ついて教えてください。 「オリーブの家」の強みは、これまでの活動を通じての、知識や経験、蓄積データ、全国の支援先を多く知っていること、そして必ず丁寧なヒアリングを行い見立てを行うので適切な支援を提供できることだと思います。連携先のチョイスなども利用者の希望を出来るだけ叶えることを優先しています。同行支援などの柔軟さや、フットワークの軽さ、再被害に合わないように教育やカウンセリングを行っています。今後はDV予防に力を入れていきたいと考えています。1民間団体では支援に限界があるので、応援してくださる支援者の皆様からの寄付金や助成金等を活用しながら、地域全体で課題の解決に向けて一緒に考えられるようにしていきたいです!

⑥ 最後に、読者のみなさんに一言お願いします。 
DVや虐待、ハラスメントは決して特別なことではありません。誰もが過去にされたこと、してしまったことがあるかもしれません。過去を責めるのではなく、今後どうすればよいか一緒に考えていきましょう。怒鳴り声が聞こえたり、モノが割れる音がするなど、少しでも虐待の疑いある場合には通報や相談を!児童虐待の通報は国民の義務なのです。子どもはつらくても助けてと言えないことがほとんどです。DVの通報は、努力義務ですが、子どもがいれば面前DVであり、すべては通報や相談から支援がスタートします。もし、通報するのに抵抗があれば、これもボランティアだと思って、お近くの助けてくれなそうな人や団体・機関にお伝えしてくださると幸いです。また、声をかけづらいかもしれませんが、電車等で小さなお子さんを連れたお母さんが居たら席をゆずるなど、簡単なところからしてもらえると嬉しいです。「何かお手伝いしましょうか?という声かけボランティア」もぜひ♪ 


認定特定非営利活動法人 「オリーブの家」
〒708-0871 岡山県津山市中島TEL:0868-28-4772(事務局)
ホームページ:https://olive-no-ie.main.jp/

Mail:olivehouse1225@gmail.com

備考:今年度から、以下のような取組も行っておりますが、お申し込みが殺到中で締め切りの可能性もあります。お問い合わせください。

 


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