「セン」とはタイ式マッサージで重要とされるもの
タイ古式マッサージを行うときには、「セン」を意識する必要があり、とても重要なものとされています。センを刺激することによって、つま先から頭のてっぺんまで全身の血液循環が促進されるからです。


血流が改善されることによって、自然治癒力の向上や免疫力アップ、むくみの解消、疲労回復、アイチェンジ効果、基礎代謝アップ、体内に蓄積された老廃物の排出などのさまざまな効果が期待できます。


エネルギーライン(エナジーライン)


「セン」とは、簡単にいうとエネルギーの通り道のことです。タイ古式マッサージでは、人間の身体の中には、いくつものエネルギーの流れがあるという考えのうえに成り立っています。これはインド医学のエネルギーラインの考え方に基づいたものであり、タイ古式マッサージがインドを起源とするヨガの影響を大きく受けているためといえます。
主要な10本のセンを含め72000本ものエネルギーラインがある人は、自分を取り巻く宇宙エネルギーとのバランスを常に保ちながら、肉体や精神を維持しているとされ、エネルギーラインは、自分と宇宙エネルギーを結ぶ掛け橋の役割をしていると考えられてます。


タイ古式マッサージでは、人の体には特に重要なセンが10本あると考えられていますが、それ以外にも皮膚の上を網の目状に通る「セン」があり、これらの総数は72000本にも及ぶといわれています。


そして、これらのセンの流れが滞ったときに体が不調を引き起こすと考えられています。そのため、体の症状に合わせて効果的にセンを刺激することで体の不調を効率的に改善し、より健康な状態へ近付けることを施術の目的としています。


インド医学アーユルヴェータにも存在


センとは目に見えないもので、解剖学上確かめることはできません。このエネルギーラインの考え方はインド医学アーユルヴェータにも存在し、目には見えないけれども、確実に作用する不可思議なエネルギーとして認識されています。


エネルギーラインとはタイ古式マッサージで「セン」と呼ばれているエネルギーラインにどのような役割があるかを具体的に当てはめてみると…


生命エネルギーが流れる経路


エネルギーラインとは、生命のエネルギーが流れる経絡のことと言えるでしょう。

エネルギーラインの状態が悪ければ、血流やリンパの流れも悪くなり、体内に必要なエネルギーが上手く循環しないだけでなく、老廃物などの排出も難しくなります。また、老廃物の蓄積がエネルギーラインを塞ぐことで、さらに体内のエネルギーの流れも一層悪化してしまいます。


センの場所はそれぞれ異なり、

刺激による効果もそれぞれ異なります。

そのため、それぞれのセンの役割をしっかりと理解したうえで施術を行っていくことで、より大きな効果を得ることができます。


目には見えない「気」の通り道


エネルギーラインを通っているのは、水分や血液などの物理的なものだけではありません。

東洋医学では身体の中に生命エネルギーである「気」が巡っていると考えられていますが、タイ古式マッサージでも、センには目に見えない「気」が通っているとされています。


そのため、エネルギーラインの流れの悪化は、肉体的な疲労の蓄積だけでなく、精神的な健康にも悪影響を及ぼし、心身のトラブルや不調が生まれると考えています。

タイ古式マッサージでは、センを刺激することによって「気」の流れを正常化し、体調改善につなげていくことで、古くから多くの人の健康を支えるものとして活用されてきました。

10本の「セン」

センで最も重要とされる10本のエネルギーラインについて、その場所や効果についてみていきます。


特に重要な10本のエネルギーライン


●SEN Summana(スマナ)
セン・スマナは、舌先からのどや胸を通り、みぞおちまで続いているラインです。主に心臓や呼吸器に関係し、ぜんそくや気管支炎、心臓病などに効果があります。
●SEN Ittha(イッタ)
セン・イッタは、左の鼻孔から頭頂部や背中を通り、臀部から脚外側を経てへその左横まで続くラインです。主に頭や鼻に関係し、鼻の不快感や頭痛・肩こり、腹痛などさまざまな症状に効果があります。
●SEN kalayhari(カラタリ)
セン・カラタリは、上部と下部に分かれています。上側のセンはへそから胸部を通り、腕の内側を抜けて指先に続いています。下側のセンはへそから両脚の内側をとおり、足裏を通って脚の指先に続いています。主に四肢の動きに関係し、消化不良や背中の痛み、脚の麻痺、精神障害、不整脈などに効果があります。
●SEN Sahatsarangsi(サハサランシ)
セン・サハサランシは、左目からのどを通り、左の腹部や脚の外側、足底に向かってへその下に続くラインです。主に目に関係し、顔面麻痺や発熱、白内障などの症状に対して効果があります。
●SEN Thawari(タワリ)
セン・タワリは、右目からのどを通り、右の腹部や脚の外側、足底に向かってへその下に続くラインです。セン・サハサランシと同じく、主に目に関係し、顔面麻痺や発熱、白内障などの症状に対して効果があります。
●SEN Lawusang(ラウサン)
セン・ラウサンは、左耳からのどや胸部の左側を通り、みぞおちに続くラインです。主に耳に関係し、難聴や咳、歯痛、胃腸障害などに効果があります。
●SEN Uragka(ウランガ)
セン・ウランガは、右耳からのどや胸部の左側を通り、みぞおちに続くラインです。セン・ラウサンと同じく、主に耳に関係し、難聴や咳、歯痛、胃腸障害などに効果
●SEN Nathakrawat(ナンタクラワット)
セン・ナンタクラワットは、さらに2つに分かれています。1つ目のSEN Sikhini(シキ二)はへそから尿道を通って尿道口に続くラインです。もうひとつのSEN Sukhumang(スクマン)はへそから結腸を通り、肛門へ続くラインです。主に生殖器や排泄に関係し、ヘルニアや生理不順、下痢などを改善する効果
●SEN Khitchanna(キチャナ )
セン・キチャナは、男女によって異なります。男性の場合はSEN Pitakun(ピタクン)と呼ばれ、へそから陰茎に続いています。女性の場合はSEN Kitcha(キチャ)と呼ばれ、へそから子宮を通り膣へつながっています。主に生殖器、排泄に関係し、セン・ナンタクラワットと同じく、ヘルニアや生理不順、下痢などに効果

10本のラインのうち半数以上は足にある…


10本の主要なセンのうち7本が下半身を通り、そのうち6本が脚(足裏~足の付け根)の部分に集中しています。タイ古式マッサージでは、エネルギーラインの中でも特に重要とされる10本のセンを刺激するようにして施術を行うので、まずはその場所と効果を押さえておくのがいいでしょう。


タイ古式マッサージは足の部分のマッサージからスタートします。タイ古式マッサージでは、症状によってどのラインを刺激するかということが定められていまるので、センが多く通っている足の部分のマッサージが中心となります。タイ古式マッサージが足の部分のマッサージからスタートし、施術の7割が下半身であることの所以です。


タイ古式マッサージ

センに沿って揉み進んでいく
タイ古式マッサージは、センに沿って揉み進めていきます。症状として肩や首に不調がる場合でも、特に下半身を集中的に施術することで全身をくまなく刺激するという施術方法になります。


そのため、上半身のトラブルなのに下半身の施術が多く、それに納得できないということもあります。

タイ古式マッサージでは「セン」が集中している下半身へのアプローチが中心となり、「セン」は全身を通っていることを知っておけば安心できます。


4つのエレメントとセンを合わせて重要とされている
タイの伝統医学では、

エレメントと呼ばれる「土(地)、火、風、水」のバランスが大切と考えられています。タイ古式マッサージはタイの伝統医学に基づいたものであるため、体の中の器官を4つのエレメントに例えて、センと合わせて重要なものとしています。


●タイの伝統医学で考えられている

「土(地)、火、風、水」の4つのエレメント
土(地)とは、体毛や爪、骨、内臓などの固定的な要素、火とは感情や体温などの熱エネルギー、風は呼吸や胃腸・内臓の流れ、水は血液や汗、体液などを指します。この4つのバランスが崩れたときに体調に不調をきたすという考え方です。


タイ古式マッサージでは「セン」を刺激することで「風」の流れであるエネルギーラインの流れを改善。

血液やリンパ液などの「水」の循環を整え、

身体をリラックスさせることで

「火」の熱エネルギーを安定させ、

最終的に内臓などの「土(地)」の要素を整えます。


タイ古式マッサージのセンとは?のまとめ

タイ古式マッサージでは、「セン」を意識してマッサージすることによって、施術を受ける人の症状を効果的に改善することができます。単なるマッサージやリラクゼーションとは異なり、タイ古式マッサージは奥の深いものですね。


私はタイ式マッサージの経験数は少ないですが、

ハーブボール、リンパマッサージを通して、

気(エネルギーライン)がセン、経絡という概念を意識しています。

ハーブボールを転がして血流の流れを良くするイメージというより、自分の中や、ホームケアでご家族の身体の中のエネルギーが滞っている流れをスムーズに流しているというイメージもしながら一人一人の滞りがスムーズになることを意識しています。

よろしければサポートをお願いいたします。いただいたサポートはクリエーターとしての活動費及び、ハーブ畑の維持費に使わせていただきます。