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本質

 日曜劇場「ドラゴン桜」の第3話は自分の中でぐっと深く考えるきっかけとなりました。
 劇中で桜木先生はこう言いました。

『東大がいちばん求めている力は、どれだけ本質を考える力があるかだ』『1つの単語を覚えるにも、「なぜその単語にそういう意味があるのか?」「似たような意味の言葉はないか?」とより深く考える。それによって、知識を詰め込む勉強ではなく本質をつかむ勉強ができ、そうした勉強をしてきているかどうかを東大は聞いている。』

 東大のアドミッションポリシーの求める学生像として、次のように書かれています。

『入学試験の得点だけを意識した,視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人よりも,学校の授業の内外で,自らの興味・関心を生かして幅広く学び,その過程で見出されるに違いない諸問題を関連づける広い視野,あるいは自らの問題意識を掘り下げて追究するための深い洞察力を真剣に獲得しようとする人を東京大学は歓迎します。』

 そして、入学試験の基本方針の1つに、次のように書かれています。

『知識を詰めこむことよりも,持っている知識を関連づけて解を導く能力の高さを重視します』

◎過去問へトライしてみる

 さて、実際の過去問へトライして、求めているものを体験してみましょう。
 次の問題は伝説のようです。※東大地理2005年第3問A問題。

[ 問 題 ]
(1) 表1のa〜dは、①成田空港の上海行きの航空便、②東京郊外の住宅団地のバス停(最寄の駅の駅前行き)③人口約10万人の地方都市の駅前のバス停、④人口約5000人の山間部の村のバス停の時刻表のいずれかである。a〜dに該当するものの番号(①〜④)を、それぞれaー○のように答えよ。

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 私は山間部の田舎生まれ、そして、関東に来て、海外に出張があるという経験と「なぜ?」と考えることがあったので、問題を解くことができました。
 逆に、先述した知識の勉強だけであれば解けませんでした。そして、その時の私はまさに努力しているのに結果が出ない、伸び悩んでいるという状態でした。
 この時刻表の入試問題は、結果の出る勉強の仕方をしているか、そうでないかがわかってしまう問題なのだそう。

[ 解説 ]
 現在の日本は、少子高齢化や地方の過疎化が深刻な問題になっているというのは、皆さんご存じだと思います。これは私の実家と重なることもありますが、④の「山間部の村のバス停」は、バスの本数も少なくなりますのでaとなります。

 次にbは特徴が2つあります。1つは朝と夜に便がないことです。これを見て、私は「成田空港は24時間稼働していない」という知識と結びつけました。また、もう1つの特徴として、発車時刻が5の倍数だというところです。
 飛行機はバスよりも多くの人数を収容するので、厳密な時間が求められることからです。そのため、①成田空港の上海行きの航空便です。これは実際に搭乗経験から、なぜこの時刻なのかと調べたことがきっかけでした。

 最後に②と③。東京郊外の住宅団地のバス停と人口約10万人の地方都市の駅前のバス停です。
 「人口約10万人の都市」って思い浮かべられますか?
 自分の住む市町村の人口を答えられない人は意外といるのではないでしょうか。皆さんの周りで、人口約10万人の都市はどこでしょうか?意外と小規模です。
 一方で、「東京郊外の住宅団地」というのは、それよりも利用者が多いです。郊外に住んで、そこから東京の職場や学校へと通勤通学を行う。電車もそうですが、この団地って人が非常に多いんです。そしてそういう場合、7~8時の電車やバスに乗るわけですから、この時間帯のバスが多いdが②となります。
 東京に来て初めて満員電車やバスに乗った時、「なぜ満員になるほど利用者が多いんだろうか?」「どこからこの人達は来たのだろうか?」と考えていました。その環境にいると当たり前かもしれませんが、その当たり前を当たり前と思わずに疑問を持ったことがきっかけでした。

◎知識をつなぐ

 この問題は、「日本の少子高齢化」「飛行機・空港についての知識」「人口の規模感の理解」「東京郊外からの人の移動」と教科書に書いてある知識が必要なのですが、それらを知っているだけではなく、それぞれをつなげられるか、普段使っている時刻表とつなげて考えられているかと問うています。実際はといえば、そんなことはないわけですが。

 劇中でも、英単語の覚え方について触れていました。

「unite:団結する・・・は、なんで団結の意味となったのか?」
―もともと決まってたか、昔の偉い人とかが決めたんじゃないの?
そこで桜木先生は、
―その考え方がダメなんだ、早瀬。東大が一番 求めてる能力は何だと思う?
と問います。やりとりがあり、語源の話へ。
―「uni」 には 「一つ」 という意味がある。 「unite」は一つのものにするから「団結」 。他にも 「結合する」 「提携する」 「結婚させる」 「併せ持つ」という意味もあるが、全部 「一つ」という言葉が語源、と思うと覚えやすい。
―uni(ひとつ)がつく他の言葉は?

◎あらゆる角度から本質を捉える

 このやり取りのなかで、「日本で流通するカボチャの産地はどこか?」や、「party」について調べていく様子が描かれていました。
 そして、「物事には 意味がある 本質がある」ことを考えて、「あらゆる角度から本質をとらえるんだ!」と説きます。

 このドラマを通して、改めて、物事を覚えたり理解したりするためには、日常生活とも関連させ、「なぜ」と考えてみる。このように勉強していけばいくほど、日常生活の疑問が解消され、世の中のことがよくわかるようになることを気づかされました。

~人生は終生勉強~
「学ぶ心さえあれば、万物すべてこれわが師である。語らぬ木石、雲、無心の幼児、先輩のきびしい叱責、つまりはこの広い宇宙、この人間の長い歴史。どんなに小さいことにでも、どんなに古いことにでも、宇宙の摂理、自然の理法が脈づき、人間の尊い知恵と体験がにじんでいる。そうであれば、それらすべてに学びたい。謙虚に素直に学びたい。すべてに学ぶ心があって、はじめて新しい知恵、よい知恵が生まれてくる。学ぶ心が繁栄への第一歩なのである」と松下幸之助は言葉を残してます。

 個人としてはもちろん、関わる相手とお互いの繁栄、幸福のために、終生、謙虚に学ぶ姿勢を保ち、成長し続けたいものです。

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