本レビュー)反省させると犯罪者になります

岡本茂樹著「反省させると犯罪者になります」(新潮新書)を読みました。

https://www.shinchosha.co.jp/book/610520/

質問です。皆さんはご自身の子どもが悪いことをしたとき、どうしますか?子どもがいない方は、いると想定して考えてみてください。

子どもの悪い行為を指摘し、他人様に迷惑をかけるなと反省させる。一般的にこういったプロセスを辿ると思います。しかし本書では、このプロセスは「犯罪者」を生む温床だと指摘しています!!

補足ですが、著者は「反省」させること自体はいけないとしていません。反省させるまでのプロセスに抜け落ちているものがあるのです。それが、受容と傾聴です。まずは、なぜ子どもがそういった問題行動を起こしたのか聞くことが大切だと述べています。具体的には「辛かったね」と子どもの気持ちに共感し、話してくれたことに対し、頼ってくれて「ありがとう」と伝えるのです。

子どもの気持ちを聞く手順を踏まず「迷惑をかけるな」「お前は間違っている」という正論が先行すると、子どもは否定的な感情を内心に抱えたままです。反省しなさいという命令に対し、謝罪はしますが、それはあくまで上辺だけの言葉だと本書には書かれていました。

私たち、私自身も他人に迷惑をかけないよう、親に言われ続けました。「他人様に迷惑をかけない」という言葉は、一見すると正論のようですが、間違いでもあります。そもそも迷惑をかけないようにするのは不可能に近いですよね。

この言葉を伝えるに当たっては、他人にかけてはいけない「迷惑」のレベルを教えていく必要があると思いました。

著者の岡本さんは、犯罪を犯した人たちに、反省文ではなく、なぜ行為を起こしてしまったかを引き出すことを大切にしています。いわば、被害者が可哀想だよね、という図式ではなく、加害者の視点に立っているのです。

本書では、問題行動を必要行動だとしています。問題行動は、子どものネガティヴな本音が表出したもので、本当の子どもを知れるチャンスなのだと、捉えることが出来ました。

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