ALSと筋ジストロフィーとパーキンソン病の違い

筋ジストロフィーとは

筋ジストロフィーもパーキンソン病と同様に、運動がしづらくなる症状です。
しかし、パーキンソン病とは違い、筋ジストロフィーは手足に限らず、喉や舌、目などの動きにも影響が及びます。
原因は、筋肉の主成分であるタンパク質が正常に作られなくなり、その部位の筋肉が徐々に弱っていくことです。

筋ジストロフィーは遺伝子に変異があることで起こり、難病にも指定されています。
筋肉が弱っていくということは、手足や喉、舌だけでなく、心臓などの内臓も正常な働きができなくなってしまうということです。

症状が出始める年齢や、症状の出やすい箇所は、人によって違います。
病気のタイプによっては、内臓や筋肉だけではなく、目や耳、脳などの機能障害にも繋がることもあります。

遺伝によって小児から患う場合もある一方で、後天的で突発性の筋ジストロフィーという大人になってから発症する場合もあります。

alsとは

alsは筋萎縮性側索硬化症のことです。
その文字通り、各部位の筋肉が痩せて硬くなり、動かしにくくなります。

タイプは大きく分けて、手足が動きにくくなり歩行、掴み、立ち上がりという行動に影響する「四肢型」と、舌や口が動きにくくなり呂律や飲み込みに影響する「球麻痺型」という2パターンがあります。

これらは運動神経がダメージを受けることによる影響なので、パーキンソン病とは違い、知能などをつかさどる記憶能力などには影響しないという点も、alsの特徴です。

筋肉そのものに障害が出るのではなく、脳内にある「筋肉を動かせ」と命令する神経(運動ニューロン)が機能しないことが原因です。
パーキンソン病と同様に、脳内に異常にタンパク質が溜まることで、神経が死んでしまうと考えられています。

ンパク質の生成には神経の老化が関係しているという一説がありますが、明確な結論は出ていません。
女性よりも男性の患者の方が多く、60~70歳が最もかかりやすいと言われています。

パーキンソン病とは

パーキンソン病とは、主に手足の動きに障害が見られ、震えや動作遅延、筋固縮などの症状が現れます。
多くは高齢になるにつれて現れますが、若年性のものもあります。

その原因は脳内にあり、大きく分けると以下の2つが挙げられます。

一つ目は「ドパミン」の減少です。
正常であれば、脳の奥から神経伝達物質であるドパミンが作られ、ドパミンが身体への運動指令を出す「大脳皮質」へ伝えられることで、身体を動かすことができます。

ところが、パーキンソン病になるとドパミンの分泌が減り、脳から身体への運動命令が伝達されにくくなり、上記のような症状に繋がります。

二つ目は「レビー小体」の蓄積です。
レビー小体とは、神経細胞の中に沈着してできたタンパク質の異常物です。
このレビー小体が、神経細胞を作る脳の奥で生成されると、神経細胞が死んでしまいます。
そのために、脳から身体への伝達物質が機能しなくなることで、運動障害に繋がってしまいます。

上記で筋ジストロフィー、als、パーキンソン病について説明しました。
それぞれの症状や原因について、どのような違いがあるのでしょうか?

以下で簡単に説明していきます。

まず、それぞれの症状の違いについて記載します。

  • 筋ジストロフィー⇒筋肉が壊れやすく再生されにくくなり、運動機能や身体の内部の機能も弱ってしまう症状

  • als⇒筋肉が痩せることによって歩きにくいなどの運動機能のみ障害があらわれる

  • パーキンソン病⇒歩行困難や震えなどの身体的な症状と精神症状も出あらわれる
    ⇒鬱や幻覚などが見られることもあり、重度になると認知症を合併する場合もある

次に、それぞれの原因の違いについては以下の通りです。

  • 筋ジストロフィー⇒筋肉を作るためのタンパク質を生成する遺伝子に異常が発生し、タンパク質が作られなくなること

  • als⇒運動ニューロンという筋肉への運動命令を出す神経が正常に機能しなくなること

  • パーキンソン病⇒脳内の筋肉への運動を命じるドパミンという物質が減少すること

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?