胃がんの基礎

胃は筋肉でできおり、入口と出口が狭くなっている袋状の形状をしています。胃の主な働きは食べ物の消化・吸収と殺菌です。
食道に繋がる入口付近を噴門部と言い、十二指腸につながる出口付近を幽門部、それ以外の部位を胃体部と言います。
胃の壁は、大きく分けて3層構造をしています。内側から粘膜(粘膜・粘膜筋板・粘膜下層)、筋層、漿膜(しょうまく)(漿膜下層・漿膜)という順に、層が重なってできています。


胃がんは、胃壁の内側にある粘膜に発生します。内側の粘膜から徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜へと外側に向かって、がんが広がっていきます。
がん細胞が、粘膜または粘膜下層までにとどまっているものを「早期胃がん」といい、筋層より深く達したものを「進行胃がん」といいます。



胃がんが発生する原因については、多くの研究が行われており、いくつかのリスク要因が指摘されています。

・多量の塩分
・喫煙

・ヘリコバクターピロリ菌※
・多量の飲酒

※ヘリコバクターピロリ菌
ピロリ菌は胃にとりついて炎症を起こす細菌です。50歳以上の方は約70%以上の方がピロリ菌に感染しているとされています。胃がんの危険因子のひとつとされますが、感染した人の全てが胃がんになるわけではありません。

検査方法

●胃X線検査

いわゆるレントゲン検査です。
造影剤のバリウムと、胃を膨らませる炭酸ガスを発生させる発泡剤を飲んで検査を受けます。発泡剤を飲むとゲップが出やすくなりますが、胃の粘膜を見やすくするためにゲップを我慢する必要があります。

また、膨らんだ胃の粘膜にバリウムを付着させるために、身体を仰向けやうつ伏せ、左右に回転させるなどの指示が出されます。バリウムは時間と共に粘膜から剥がれ落ちてしまうため、撮影を行いながらバリウムを付着させる事(身体の回転)を繰り返します。

●胃内視鏡検査

小型のカメラを装着した細い管(直径5mm~10mm程度)を口または鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸を直接観察します。粘膜の微細な変化も鮮明に見えることから、凹凸の少ない病変や出血なども確認する事ができます。
内視鏡を挿入する痛みを軽減するための麻酔薬や、胃の動きを抑える薬などを利用することから、薬剤アレルギーや持病がある方は注意が必要です。また、管がのどを通過する際に嘔吐反射が起きることがあり、苦痛を感じる方もいます。苦痛を軽減するために鎮静剤を利用する事もあります。

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