ほんわか小説のようなもの

創作小説です。よろしければ。


ふわ、と頭の上に何かが乗ったような感覚に驚き、顔を上げる。
すると、そこに現れたのは、幼馴染。

「あーあ、落ちちゃった」
「何してんだよ」

呆れながら、ぱさりと落ちたナニカを拾い上げると、それは花冠。

「これ…」
「えへへ。似合うと思って」

目の前の幼馴染は手を後ろで組み、嬉しそうにニコニコしている。
…自分よりも、目の前の幼馴染のほうが似合いそうだが。

「ねえ、かぶってみてよ!」

急かされ、仕方なく花冠をかぶる。

「えへへ、やっぱり似合うよ」
「お前の方が似合うと思うけどな」
「えー?そんな事無いよー?」

からからと笑う幼馴染の隙を見て花冠をかぶせる。

「ああっ、ちょっと!」
「いいじゃん、似合ってるよ」
「そんなわけ無いじゃん!もう!だって…」


「俺、男だし!!」

そう、目の前の幼馴染は男。自分が女。
でも、彼は可愛い口調の似合うほわほわとした少年で、
そして、自分ははっきりした口調の冷たい女。

勿論、分かっている。
彼と自分は釣り合わない。
ほわほわとした少年には、柔らかい表情を浮かべる少女が似合うのだ。
自分のような男みたいな女、誰が受け入れるのか?

「んー…でもやっぱり君のほうが似合うよ?女の子だし」
「…えっ?」
「君は可愛い可愛い女の子だもん、お花だって君の頭に乗りたいって思ってるよ!」

そういい、彼は花冠を自分の頭にかぶせる。

”自分のような男みたいな女”

「で、でも、私、こんな口調だし、可愛げないし…」

”誰が受け入れるのか?”

「そんな事無いよ。君は俺にとって最高に可愛い女の子だよ」

口角を上げ、目を細めてこちらに手を伸ばす彼。
今までに見たことがないような、彼の、男らしい顔。
そんな、初めて見た顔に、どきりと胸が高鳴る。
いやいや、そんな、まさか。
彼はただの幼馴染で。

「君のこと、大好きだよ!!」

ニッコリと笑う彼に、鼓動は早くなり、頬は熱くなる。
嘘だろ、そんな、そんなことって

「っ…ストレート過ぎるだろ…!」

顔を隠し、走る。
顔が真っ赤になってしまった、今の状態で彼と一緒に居たくなかった。
…というより、自分の自覚した気持ちを、自覚したくなかった。


ただの幼馴染だと思っていた彼(可愛い系)が急にかっこよくなったんだけど、どうすればいい?

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