ブロックチェーン世代間戦争!勝つのは誰だ!? ~第三世代編②Polkadot/Kusama~
こんにちは、you425です。
とっとと書くつもりだったのに、Cosmosの話から2週間近く経ってました…宇宙の法則でも乱れたかな?
今回はPLOで話題のPolkadotに関してお話していきたいと思います。
有名なだけあって色々なところでレポートが出ています。
詳しく知りたい方にはおすすめレポートのリンク貼りますので見ていただけるとよいかと思います。
一応このnoteは初心者~中級者向けですのでまぁまぁざっくり進めていきます(予定)。
今回の内容をお読みいただくにあたって、前に書いた記事について把握しておくと理解度が増すのでおすすめです。
※個人の解釈や感想が強めに出ますのでお気をつけください。
1.第三世代 代表②Polkadot/Kusama($DOT/$KSM)
Polkadotというと暗号資産の時価総額では10位以内に入り続けていますし、国内取引所でも上場しているので名前は知っているけど内容は…という方も多くいらっしゃると思います。
結構複雑な構造になっているので、書き出してから順番に追っていきましょう。
A.Relay Chain(Polkadot/Kusana・ブロックチェーン)
B.Parachains(Polkadot/Kusamaに接続するブロックチェーン)
C.Parathreads(パラチェーンの下位互換版)
D.Bridges(外部のブロックチェーンと繋ぐためのパラチェーン)
E.Substrate(ブロックチェーンのフレームワーク)
2.Polkadotの概要
PolkadotはWEB3.0という世界観を実現するために考案し立ち上げられました。
WEB2.0の問題点としては以下のような物があります。
・個人情報やプライバシー
WEB3.0:現在は企業側のサーバーに全てのデータを握られていることでプライバシーの問題や個人情報が流出する等の事件が起こるため、ユーザー自身が管理できるようにする
・P2P取引
WEB3.0:仲介に入る存在を排除することで様々なUXの向上や上記のデータの問題の解決ができる
・ネットワークの単一障害点
WEB3.0:特定のサーバーに頼らず分散的にネットワークを構築することにより、サーバーダウンによるネットワークの遮断を避けられる(ゼロダウンタイム)
・検閲耐性
WEB3.0:分散して運営されているため、特定の誰かによってネットワークへの参加の拒否や情報の削除などを防ぐことが出来る
このように、現在のインターネットが抱えている問題を解決できると言われていますが、新しい世界の基盤としてインフラが必要となります。
その為のプラットフォームを目指しているのがPolkadotということです。
WEB3.0の世界を実現するためには、様々なアプリケーションが必要になってきます。
ですが、Ethereumのような汎用型のブロックチェーンでは実装が難しい内容や集中化が起こった場合のスケーラビリティ、ガス代などの問題が出てきます。
Polkadotに相互運用性を持った多様なブロックチェーンを接続することで独自の機能を持ったチェーンやアプリケーションを構築することが可能となります。
3.Kusamaの概要
KusamaはPolkadotの姉妹チェーンです。
基本的なコードの内容や仕様は同じですが、Polkadotで実装する前の機能を先に実装して開発や実験をするために用意され、R&Dチェーンやカナリアチェーンと言われます。
R&Dチェーン
Research and Development:研究開発
つまり研究開発用のチェーンということ。
カナリアチェーン
昔、炭鉱等を掘るときに毒ガスを検知するためにカナリア(カナリアは人間より毒ガスの影響を受けやすいため先に変化が現れる)を連れていくことがあった。
このことから、脆弱性や不具合などのチェックをする目的としてカナリアチェーンと呼ばれる。
とはいえ実用可能なブロックチェーンなので、テストチェーン(dAppsの動作確認などに使う)とは少し違った存在となります。
後述しますが、PolkadotにParachainとしてつながるには大きなコストがかかるのでKusamaに繋がって運用(KusamaはPolkadotにも繋がる)というパターンや、PolkadotとKusama両方でParachainになることでKusama側のチェーンは実験的な機能を実装する等、プロジェクトによってさまざまな使い方ができます。
4.Polkadotの構造
POLKADOT: VISION FOR A HETEROGENEOUS MULTI-CHAIN FRAMEWORK
DRAFT 1より
Polkadotでは、Relay ChainにParachainsやParathreads、Parabridgesが繋がることで相互運用性を持ったエコシステムが出来上がります。
Relachain
この中で$DOTを使って運営されているのがRelay Chainであり、エコシステム全体の肝です。
Relay Chainは繋がっている各チェーンのトランザクションを処理することのみに専念するため、この上でスマートコントラクトが動くということはありません。
何故かというと、エコシステムが拡大し繋がるチェーンが増えるほどRelay Chainには大きな負荷がかかるため、構造を出来るだけシンプルにすることで強靭にするだけでなく処理性能も向上させるという狙いがあるためです。
Parachains
Relay Chainにつながる各ブロックチェーンがParachainです。
基本的に後述するSubstrateを使って作られています。
ParachainになるためにはPLO(Parachain Lease Offering)というオークションイベントで勝利する必要があり、これもPolkadotにおける肝のシステムになっています。
現在は100個を目標にParachainを設置する予定です。
Parathresds
Parachainになる前でもPolkadotにつながることが出来て、それをParathreadと言います。
従量課金制で、少ない$DOTがあればつながることが出来ますがその分セキュリティや通信料に制限を受けるため下位互換と言えます。
1つのParachainをParathreadで分け合うような形になります。
まだPLOで勝てるほどの資金力やコミュニティがないプロジェクトがParathreadから始めたり、企業のチェーンが一時的に繋げたい場合に利用したりとライトなユースケースが想定されます。
Parabridges
Parachainの一つですが、Relay Chainに直接つながることが出来ないチェーン(例えばEthereum等)との仲介を果たす重要な役割を持っています。
4.Polkadotのコンセンサスアルゴリズム:NPoS
PolkadotではNPoS(Nominated Proof of Stake)というオリジナルのコンセンサスアルゴリズムを使っています。
余談ですが、PoWやPoS等は実はコンセンサスアルゴリズムではありません。
正確にはコンセンサスアルゴリズムの一部であり、例えばBitcoinはPoW(生成ブロック選出方法)+ナカモトコンセンサス(合意形成方式)というような形になっています。
ナカモトコンセンサス自体が後で名前が付いて後々のブロックチェーンでは様々なコンセンサス方式が出来たため、PoWやPoSに当たる部分はコンセンサスアルゴリズムの一部である、となっています。
これについて話すと長くなるのと、PoWやPoSなどをコンセンサスアルゴリズムということが通常になってしまっているのでこのまま通します。
NPoSは他のPoS系とは大きく違っている部分があります。
それは、ステーク量=発言力・ブロック提案力ではないというところです。
通常、バリデーターの発言力やブロック提案力はステークされているトークン量に左右されます。
基本的には多くステーキングされているほどブロック報酬を受け取れる可能性が上がり、コンセンサス時にも投票力が上がります。
しかし、NPoSでは例えば上位100位(ガバナンス決定により変動するので仮の数値)までが等しくブロック報酬を受け取れる可能性があり、ブロックに対する合意形成時も1バリデーター1票となります。
これにより仮に1つのノードにステーキング量が偏っていても影響力は変わらないため、ネットワークの破壊やブロック生成の不正などを行うことが困難となります。
5.Shared security
A brief summary of everything Substrate and Polkadotより
Polkadotの特徴として、Shared securityというものがあります。
通常、各ブロックチェーンではPoSにしろPoWにしろセキュリティ(ハッキングの話ではなくブロック生成に置いてのセキュリティ)を自分たちで用意する必要があります。
その結果、たくさんのブロックチェーンが出来上がるとリソースが分散してそれぞれのセキュリティレベルが落ちていきます。
ですがPolkadotに直接繋がっているブロックチェーンは最低限のnodeは必要ですがセキュリティとしてはPolkadotの物を借りるため、ここにリソースをかける必要はありません。
Parachainになった瞬間から、時価総額10位に入る強力なセキュリティを持ったブロックチェーンの恩恵を受けることが出来ます。
6.Substrateの概要
A brief summary of everything Substrate and Polkadotより
Parity Technologies(後述)からSubstrateというブロックチェーン開発用のフレームワークが提供されてて、Polkadot自体もSubstrateを使って作られています。
Substrateのようなブロックチェーンのフレームワークを使うことで、容易に独自のブロックチェーンを構築することが可能です。
様々なモジュールが用意されているため、開発したいチェーンに適したものを組み込んでいくことで製作工程を削減することが出来ます。
また、開発コミュニティも活発に動いているのでチャットやRaddit、Github、データベースなどサポートも厚いです。
Substrateを使うことにより、単独のチェーンとして使ったりParachainとしてPolkadotにつながることもできます。
取りあえずSubstrateで単独のチェーンを作って稼働させたのち、満を持してParachainになるということも可能です。
7.Gavin Woodと愉快な仲間たち
https://epicenter.tv/episodes/259/より
Polkadotを語るうえで外すことが出来ないのがこの方、Gavin Wood博士です。
彼はEthereumの共同創設者でありCTOとしてEthereumやSolidityの開発を主導していました。
その際に、Ethereumの開発を組織の一つとして設立されたのがParity Technologies(以下Parity)です。
Ethereum2.0の開発を進めていく中Polkadotの構想を思いつき、EthereumをやめてPolkadotの開発をしていくことにしました。
Parity TechnologiesでPolkadotのベースとなるSubstrateを開発し、プロジェクトはWeb3 Foundation(以下W3F)という財団が進めていくことになります。
Parityでは開発者の教育にセミナーやブートキャンプなどを行い、W3FではPolkadot用にオープンソースで開発して公開することで助成金を出す仕組みを作りました。
この教育・開発支援の仕組みによりPolkadotエコシステムの開発者はかなりの規模になっています。
8.【最重要】PLO(Parachain Lease Offering)
Polkadotにおけるもっとも強い独自性はこのPLOです。
Parachain用のスロット(枠)をLeaseするためのオークションです。
Parachain Slot Auctionとも呼ばれます
3でもちらっと書きましたが、PolkadotのRelay Chainにつながるには
1.Parathreadになる
2.PLOで勝利してParachainになる
という手順を踏む必要があります。
Parachainになることで、Polkadotエコシステムとしての最大の恩恵を受けることが出来ます。
PLOはいくつかのフェイズに別れて進みます。
1.クラウドローン(プロジェクトごとに任意)
各Parachain候補がコミュニティから資金($DOT/$KSM)を集めるためのローン。
2.オークション
キャンドルオークション形式で実際にスロットの入札が始まる。
PLOにおけるキャンドルオークションは1戦毎に1週間期間があり、最初2日は猶予期間、残り5日のどこかランダムのタイミングで一番入札額が高いプロジェクトが勝者となる。
3.実装
勝利したことでスロットを獲得したパラチェーンが実際に機能を実装していく
このようになります。
我々は1のクラウドローンに参加することで、各プロジェクトの支援をすることが出来ます。
PLOにおけるポイントは、ここで支援に使った$DOTや$KSMはロックされるだけで各プロジェクトに預けるわけではありません。
各プロジェクトがスロットを獲得するための担保として存在するだけで、スロットのリース期間(Polkadotは最大2年、Kusamaは最大48週)を過ぎるとロック解除されます。
この際、各プロジェクトは支援とロック期間中の機会損失へのお礼として独自トークンを配布します(必須ではないが基本的に配られる)。
プロジェクトによっては最初にトークンを手に入れる機会がPLOだったりするので、ICO並みのインパクトがあるイベントです。
また、このようなオークション形式にすることで資金力やコミュニティの支援の力が強いプロジェクトでないとParachainになることが出来ないため、自然と有力プロジェクトのみが集まり強力なエコシステムが出来上がるようになっています。
マーケティングとしてもかなり強力で、大きな盛り上がりを見せます。
8.まとめ
ということで、今回はPolkadotのお話をしました。
長い!難しい!
これでも削りに削っていて、本当はもっと内容もりだくさんなんですが…ご容赦ください。
8000字超えるとか読むほうも書く方もしんどいじゃないですか?(今6000字)
さて、前回Cosmos今回Polkadotと書いて、「違いが良くわからないな?」という方もいらっしゃると思いますので次回は両者の違いについての考察をしたいと思います。
今回も長文にお付き合い頂きありがとうございました。
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