PolkadotのPLOについて詳しく知ろう
こんにちは、you425です。
昨日PolkadotのカナリアチェーンであるKusamaのPLO第2バッチが終わりました。
そんな熱狂冷めやらぬ中、夜にはPolkadotでのPLOのスケジュール提案がされ、さらなる興奮の渦へと世界中を巻き込んでいます。(誇張)
以前にPolkadotの記事を書きましたが、今回はその中でも超重要イベントであるPLOについて重点的に掘り下げていきたいと思います。
Polkadotが何かよくわからない方は、先に以前の記事を読んで頂けると良いかと思います。
1.PLO(Parachain Lease Offering)のおさらい
まずはPLOが何かをおさらいしましょう。
Polkadotは異種チェーンをRelay Chainにつなぐことで相互運用性を持ったエコシステムを構築するプロジェクトです。
その際に、Relay ChainにつながるチェーンのことをParachainやParathreadと呼びます。
ParachainもParathreadもPolkadotのエコシステムとして相互運用できることに変わりはありませんが、Parathreadの場合はPolkadotのセキュリティを借りるたびに$DOTを必要とする従量課金制で機能制限があります。
Parachainの場合は何の制限もなくフルにPolkadotの機能を使うことが出来るため、基本的にRelay ChainにつながるプロジェクトたちはParachainになることを目指しています。
そしてそのParachainになるためにはPLOで勝利する必要があります。
一度のオークションで勝利してParachainとなれるのは1つのみ、そして上限(現状100目標)があるため、毎回白熱した戦いが繰り広げられています。
PolkadotとKusamaでは期間的なルールが違うものの、基本的に同じく$DOTや$KSMをロックしてその総量を競うことでオークションを行います。
事実上Parachainは一軍でParathreadは二軍のような扱いでもあるため、PLOで勝利すること自体がステータスにもなります。
2.クラウドローン
PLOで勝つためには、かなりの資金力もしくはコミュニティによる支援が必要です。
こちらをご覧ください。
KusamaでのPLOの第1バッチ(上)と第2バッチで勝利したプロジェクトたちの一覧です。
第1バッチ合計:1,114,630KSM
第2バッチ合計:1,251,097KSM
合計ロック:2,365,727KSM(KSMの価格372ドルとして約8.8億ドル、総供給の約24.5%)
平均ロック:約215,066.1KSM(KSMの価格372ドルとして約0.8億ドル)
これだけの額が動く一大イベントです。
KusamaのPLOで勝利するために必要な額は現在だと平均0.8億ドルですから日本円にすると約90億円、とんでもない額が必要ですね。
時価総額で考えるとPolkadotはKusamaの13倍ですから、もし同じような比率で動いたら…恐ろしや…!
回を重ねるごとに徐々に必要な$KSMや$DOT量は減るという予想ですが、その分ロックされていくトークンが増え価格が上がりやすい状況になります。
そのためトークンベースで考えると減るもののドルベースで考えると必要な資金量はあまり変わらないかもしれません。
これは後続のPLOの白熱の仕方次第です。
当然これだけの資金をプロジェクト側で用意することは困難ですので、コミュニティに協力を呼び掛けて資金を集めます。
Kusamaなら$KSM、Polkadotなら$DOTですね。
PLOに当たり、コミュニティから資金を借ることをクラウドローンと言います。
クラウドローンの面白い所は、借りるといっても実際にプロジェクトに資金を預けることはなく、ウォレットにロックされた状態になります。
PLOは資金を担保に土地を借りるようなイメージですが、プロジェクトに渡さなくてもそのためにウォレットでロックすれば資金の動きは同じです。
スマートコントラクトで全て自動でトラストレスに処理できるから出来ることで、現実ではできませんね。
ロック期間は各プロジェクトのParachainのスロットリース期間(Polkadotは最長96週、Kusamaは最長48週)であり、その期間が終わればロックが解除されて使える状態になります。
プロジェクトに預けてるわけではないので持ち逃げされることがなく、トラストレスに資金のやり取りがされるためユーザーは安心して資金提供することが出来ます。
リスクとしてはロックしている間の期間損失・ボラティリティとPolkadotのハッキングリスク(これは全てのブロックチェーンに言える)だけと考えていいでしょう。
感覚的にはDeFiのロック期間があるステーキングとあまり変わりありません。
各プロジェクトはこれに対してのお礼としてトークンを配ります。
3.キャンドルオークション
PLOでは、キャンドルオークションというオークション形式をとります。
キャンドルオークションというのは中世で行われていた形式で、オークション中灯しておいたロウソクの火が消えたタイミングで一番入札額が高い人が落札できるシステムとなっています。
なぜそのようにするかというと、終了間際を狙ってスナイピングすることを防ぐためです。
金額の参照タイミングをランダムにすることで、各プロジェクト達には最初から全力を出させるシステムになっているため、白熱したオークションになります。
現実にキャンドルオークションをすると消えるタイミングを狙ったり、工作をして意図時に消したりできてしまいますが、Polkadotではプログラムでランダムにタイミングが決まるために不正は出来ません。
Kusamaの第2バッチではこのシステムにより面白いことが起きました。
こちらもParachains.infoからの引用で第2バッチでの$KSMロック数の動きをグラフ化しています。
注目してほしいのは#9の期間です。
それまでリードしていたAltairが一気にHaikoに抜かれ、その後Kintsugiにも抜かれるのですがキャンドルオークションは見るタイミングがランダムなため抜かれる直前を参照しました。
その結果、期間中の最大ロック数では負けてるもののオークションでは勝利するという結果になりました、面白いですね!
オークションは1回ごとに1週間期間があり、最初の2日は準備期間、残りの5日のどこかでランダムに参照されます。
そのため、各プロジェクトは早期にクラウドローンに参加してもらえるように戦略を立てていきます。
4.クラウドローン参加によるリターン
皆これが知りたいんやろ…?
ということで、気になるところが得られるリターンです。
上記の通り基本はトークンをもらえます。
というわけでKusamaの時のリターンがどんな感じだったか見てみましょう。
一番右のRewards/KSMを見がちですが、重要なのはそこではありません。
重要なのはPercentageです。
総供給10000の中の100と、1000の中の100では数は同じでも価値が全然違いますね?
Percentageは総供給量に対してクラウドローンで分配されるトークンの量はどれくらいかを指しています。
この割合が高いほど、多くのトークンがクラウドローンで配られるため、参加者にとってはお得だと言えますし、プロジェクトはコミュニティを重視しているということにもなります。
ただし、インフレ率(ブロック報酬量)も併せて考える必要があります。
上の図には載ってませんが、KILTというパラチェーンはクラウドローンでの配る割合は5%とかなり少ないですが、その分ブロック生成ごとに排出されるトークン量もかなり少ないです。
その分相対的にクラウドローン参加者のトークン保有割合がトークン循環量に比べて大きくなるため、価値としては上がります。
一口にPercentageだけを見ればいいというものでもないのが難しいところです。
また、他にも
1.Waitinglist登録ボーナス
2.リファラーボーナス
3.早期参加ボーナス
4.接戦時のラストスパートボーナス
5.PolkadotとKusama両方でチェーンがあるプロジェクトの場合、Kusamaでクラウドローンに参加しているとPolkadotでの参加でボーナス
などなど、各プロジェクトごとに様々な戦略を組んできます。
候補をいくつか絞っておいて、情報は常にチェックできるようにするといいでしょう。
5.クラウドローンで参加するプロジェクトの選び方
皆これが知りたいんやろ…?(2度目)
1.単純に好きなプロジェクトに参加
2.リターンが良さそうなプロジェクトに参加
流石に1に関しては特にいうことありませんので2に関してもう少し詳しくいきます。
基本的にお金が集まるプロジェクトは良いプロジェクトであり、そういうプロジェクトのトークンの価格は上がりやすいです。
その見極め方は以前記事にした銘柄選定方法と同じですのでここには書きません。
貰えるトークンの量に関しては、前述した通りです。
そこと併せて重要なのが、そのプロジェクトがPolkadotエコシステムにおいてどのような役割を果たすかです。
例えば、PolkadotやKusama(Relay Chain)にはスマートコントラクトは搭載されていません。
そのため、Parachainがスマートコントラクトを実装する必要があり必須なParachainということになります。
更にスマートコントラクトプラットフォームとしてはDeFiが華なので、そういうdAppsが集まりトークンの需要が高まれば価格が上がりやすくなります。
その成功例がKusamaのParachainであるMoonriver(PolkadotではMoonbeam)です。
MoonriverはKusamaエコシステムにEVMを実装するParachainで、ここに魔界が発生しました。
その結果上場時5ドルだった$MOVRは最大で480ドルと100倍近くまで上がり、いまでも270ドル近くになっています。
クラウドローン参加者には最低でも14MOVR/KSMが配られ、現在の価格でも最低の利率が10倍以上と狂ったことになっています。
さてここで貴方はこう思うはず。
「それならMoonbeamのクラウドローンに参加しよう!」
実はそう簡単な話ではありません。
Moonriverの$MOVRは事前にセールなどなく、クラウドローンに参加するか取引所に上場後購入するしかありませんでした。
つまり、初期の状態では売り圧が発生せず高騰しやすい状況にあったのです。
ところがMoonbeamの$GLMRは事前のセールで2450万ドル売り上げています。
そしてこのトークンはMoonbeamがParachainとして起動して40日後、全量配られてロックもありません。
クラウドローン参加者のロック解除が全て終わるのは大体1年~2年かかる見込みですから…マイナスになることはありませんが$MOVRのような爆益を出せるかというと、売り圧の発生しやすさからそう簡単ではないことは想像に難くありません。
KusamaのParachainプロジェクトの多くはトークンのプレセールがなく、Polkadotの方はセールしているところが結構あります。
クラウドローンのリターンのところで出した表でいうと、セールしていないのはPlasm Network(現Astar Network)くらいです。
但し、セールではなくロックドロップ(クラウドローンのセルフ版のようなもの)という形式でトークンを配るため、全く売り圧がないわけではありません。
Bifrostは少し特殊で、セールはありませんがKusamaとトークンが共通だったりAstarと同じようにロックドロップのようなこともしています。
事前にセールやトークン配布をしているということは
1.クラウドローンの報酬ロック期間中の売り圧に繋がる可能性がある
2.セールでの購入価格に対してクラウドローンの利率は下がることになるはず(300ドルで10枚トークンを買えたとして、同じ金額のDOTをロックして同じ量もらえたら購入者の不平感が大きいため)
ということを考慮する必要があります。
プレセール分のロック解除タイミングやトークンアロケーションなど、気にするべき所は多々あります。
頭爆発しちゃいますね…。
結局なにを選べばいいのかというと、無難なのはスマートコントラクトプラットフォームなことは間違いありません。
Acala:EVM
Moonbeam:EVM
Astar Nerwork:X-VM(EVM&WASM)
とりあえずこの辺りに入れておけば外すことはほぼありません。
またこれらはKusamaでの最初3回戦の勝利プロジェクトでもあり、まず勝利するとみられています。
6.PLO参加に当たって注意点
PolkadotやKusamaにおいて重要イベントであるPLOですが、いくつか注意点があります。
●クラウドローンで入れた資金は、プロジェクトが勝てない場合バッチが終わるまで返ってこない
PLOは一度のバッチで複数のオークションが行われます。
基本は5回で、全てが終わるまでロックした資金は動かすことが出来ません。
そのため、全然人気のないプロジェクトに入れてオークションで勝利することが出来ないと単純に機会損失になります。
●Polkadot.jsを使えるようにする
クラウドローンには使いにくいと評判のPolkadot.js以外にもスマホアプリのFearless WalletやPolkawallet、Mathwalletなどから参加することが出来ます。
しかし、参加したプロジェクトのネットワークにウォレットアプリが対応していないと資金を動かしたりすることが出来ません。
クラウドローンの参加自体はウォレットアプリが使いやすくていいのですが、後々の対応力を考えるとPolkadot.jsが使えた方がいいです。
ちょっと難しくても使い方を覚えましょう。
https://crypto-times.jp/how-to-polkadot-js/
●必ず1DOTはウォレットに残す(Kusamaの場合は0.0000333333 KSM)
PolkadotにはExistential Deposit(実存残高)というものが存在します。
Polkadotでは1DOT、Kusamaでは0.0000333333KSMがウォレットに残っていないと、DOTやKSMが徴収されアカウントがノンアクティブ(削除されるわけではない)になります。
これは、ブロックチェーンのリソースを節約するためです。
実存残高がない場合使われていないウォレットだと判断されステータスを削除し無駄を減らします。
そのため、ウォレット内のDOTやKSMが規定量を下回らないようにする必要があります。
再度ウォレットに残高を作れば復活しますが、ガス代と割り切って残しておきましょう。
7.まとめ
いかがだったでしょうか、PLOの面白さが伝われば幸いです。
まさかPolkadotについて書いた記事より長くなるとは思いませんでしたよ…?
参加したいけどどれに入れればわからないという人は、どのプロジェクトがどれくらい集めてるかはPolkadot.jsのクラウドローンのページから見ることが出来るので勝馬に乗るというやり方もできます。
しかし、「どれくらいトークンがもらえてどうロック解除されていくか」「どういうユーティリティがあるか」等把握しておかないと後々困ることになります。
なので、個人的には調べて興味がわいたプロジェクトのクラウドローンに参加することを推奨します。
次回からはParachain候補たちの紹介をしていこうと思っていますので、PLO参加したい方はそちらもぜひご覧ください。
それでは長文にお付き合い頂きありがとうございました。
またお会いしましょう。
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