PolkadotのParachain、Phala Networkについて知ろう
こんにちは、you425です。
今回はParachain紹介シリーズ第四回、Phala Network/Khala Networkについて書きたいと思います。
Polkadotって何?という方はこちらをどうぞ。
※個人の解釈や感想が強めに出ますのでお気をつけください。
1.Phala Networkとはどんなプロジェクトか?
まず基本情報です。
Polkadotでの名称:Phala Network($PHA)
Kusamaでの名称:Khala Network($K-PHA)
KusamaはPolkadotのカナリアチェーンとして作られているため、Polkadotに実装前の機能を先行して実装していきます。
その為、各Parachainもそれに対応したり自分たちも実験的な機能を実装するためにKusama用にParachainを用意することが多いです。
これからPolakdotのPLOに参加するという方は、Kusama用のチェーンがどのようになっているかをチェックするといいでしょう。
Phala Networkは、プライバシーに特化したクラウドコンピューティングネットワークです。
おっと、いきなり今までの3つと違った雰囲気を出してきましたね。
ご察しの通り今回のPhala Networkは一般向けのプロジェクトではなく、企業向けのプロジェクトなので内容がなかなか難しいので心して読んでください。
通常スマートコントラクトは各ブロックチェーンのネットワーク上に構築された仮想マシン(EVM等)上で実行されます。
その場合実行内容は全て公開されてしまうわけですが、企業が使うには漏らしてはいけない内容などがあるのでかなり不便、どころの騒ぎではないですね。
一般企業がパブリックブロックチェーンを使わない理由の一つです。
そこでPhala Networkでは処理内容を秘匿することで情報を公開しないままスマートコントラクトを実行することが出来ます。
PolkadotのParachainとして動くことで、様々なチェーンのスマートコントラクトがPhala Network通じて検閲耐性を得られます。
その性質上Parachainプロジェクトとの提携だけでなく、Linux Foundationのようにブロックチェーン以外の技術スタックともパートナーを結んでいるのが印象的です。
また、W3Fから3度のGrantを受け取るだけでなくSubstrate builders programのメンバーにもなっています。
2.TEEマイニング
Phala Networkが他のParachainプロジェクトと大きく違う点が、PoWとPoSの両方を取り入れたようなシステムを作っていることです。
詳しく話すと長くなってしまうので、ざっくり纏めます。
通常のPoSのブロックチェーンでは、バリデーターがトランザクションを集め、ブロックチェーン上でスマートコントラクトが処理されます。
Phala Networkの場合Gate Keeperと呼ばれるバリデーターとは別に、Workerと呼ばれるマイナーがいます。
トランザクションを集めるところまでは同じです。
しかし各Gate Keeperが集めたトランザクションはWorkerに割り振られ、WorkerがCPUを使ってオフチェーンで処理して結果を返します。
このことによりPoSのトランザクションスピードと、仮想マシンではなく実機でこなす処理スピードを併せ持つことが出来ます。
更にCPUのTEE機能を使うことで内容を誰にも見られずに処理することが出来るため、プライバシー性がかなり高くなります。
TEE(Trusted Execution Environment)
OSとは独立した隔離続行環境でIntel SGXやArm TrustZoneなどが有名。
TEEでの処理内容は秘密鍵を持つもの以外は見ることが出来ず、端末の保持者ですら確認することは困難なため検閲耐性が非常に高い。
また、通常マイナーやバリデーターはトランザクション内容を見て順番を入れ替えたり通さないようにすることが出来ますが、内容がわからないためそのような意図的な操作をすることも出来なくなります。
Workerはこの際に提供したコンピューティングリソース(処理能力)に応じてスコアが決まり報酬が渡されるため、ある意味PoWのようになります。
仕事の割り振りはランダムで行わるため、通常のPoWのような電力戦争は置きません。
また、Workerがネットワークに参加するためには$PHAのステーキングが必要で、悪意のある行為をするとスラッシュされるためここではPoSに近いシステムが使われています。
一般ユーザーは
・Gate Keeperをノミネート
・StakePoolにデリゲート(StakePoolのトークンがWorkerに割り振られる)
の2種類で簡単にマイニングに参加できます。
マイニング報酬はBitcoinの様に徐々に減っていくシステムになっていて、Phala Networkは180日で25%、Khala Networkは45日で25%減少します。
実際は登場人物が非常に多く難解なので今回は割愛です。
詳しく知りたい人はWikiをどうぞ。
3.提供プロダクト
上記のようなクラウドコンピューティングリソースの他にもいくつかプロダクトがあります。
Web3Analytics
Google Analyticsのような分析アプリケーションです。
集積されたデータはユーザーがダッシュボード制御することが出来、許可した相手のみにデータを提供できます。
企業側もここのダッシュボードでデータ分析を行うことが出来ます。
pDiem
Facebookが提供するブロックチェーン、Diemに準拠したプライバシーレイヤーです。
DiemからPolkadot上に資産をブリッジすることも出来ます。
Phala Dark Wallet
アプリ上でトークンをシークレットトークンに変換できます。
シークレットトークンは残高やトランザクション記録が残りません。
ダッシュボード
アセットの管理やブリッジ、マイニング等主な機能がまとまっています。
4.クラウドローンの情報
Phala Networkはまだ初回のPLOに参加するかどうかは不明ですが、既にトークンセールで15%の1億5枚が販売され、BinanceやHuobi、Kucoinなど主要な取引所ではリスティング済みです。
Kusamaでのクラウドローンの情報を確認しましょう。
・PHAとK-PHAは1対1で交換可能
・100K-PHA/1KSM
・総量1500万枚で上限15万KSM
・トークン発行時34%を配布、11カ月の権利確定
・リファーラルボーナスで紹介者の0.5%
おそらくPhala Networkでも同様になると思います。
また、ポイントとしては$PHAも$K-PHAも同じトークンとして扱っていて、どちらのチェーン上に存在しているかで名前を変えています。
その為、$PHAと$K-PHA合わせて最大10億トークンとなっています。
TEEマイニングを持続するために総供給量の70%がマイニング報酬として設定されています。
5.まとめ
はい、今回はPhala Networkの紹介でした。
いやぁ、難しいプロジェクトでしたね…僕も難産でした。
書き忘れてましたが、ブロックチェーン外でもAPIを使うことで普通のWEBページからPhala Networkのクラウドコンピューティングリソースを使ったり、ブロックチェーン内からHTTPリクエストを送って外部の情報や処理を入れたりかなり多様な使い方ができます。
ブロックチェーンって、DeFiだけじゃないんやで!ということがわかりますね。
今はDeFiやデジタルアートでのNFT活用が目立ちますが、本来はもっといろいろなことが出来るはずです。
中々一般ユーザーが実感することが難しい分野ですが、今後も面白いユースケースが生まれていくと思うと楽しみですね。
それではこの辺で終わります、お付き合い頂きありがとうございました。
次回はBifrostの紹介です。
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