見出し画像

マスクを着用すると感染リスクが増えるという話その4

 今回はマスクの素材についての話だ。研究や実験でマスクが効果があると言われている場合には、高品質のマスクが使用されていることが前提になっている。

 例えば、デンマークで行われたマスクのRCT研究では、フィルタ効率(ろ過効率)が98%の高品質のマスクが使用されている。そのような高品質のマスクを使用してもマスク着用群とマスク非着用群との間で有意差がでなかったのだ。

Image 1

  マスクの効果が得られるとしても、その効果は高品質のマスクを使用してはじめて得られるものだ。海外では医療マスクを使用している人々が多いという印象だが、少なくとも日本では、一般的に、低品質のウレタンマスクやファッションマスク、そして手作りマスクなどの粗悪品が非衛生的に使用されているのが現実だ。勿論、マスクの品質に無頓着な日本でも、最近ではウレタンマスクなどでは、意味がないという意見も上がってきた。

画像16

画像17



 つまり、マスクであればどんなものでもよいという訳ではない。では一般に世の中ではどんなマスクが推奨されているだろうか?例えば、WHOは、使用すべきマスクについて具体的に指定している。

 WHOは、3層構造のマスクを使用することを推奨している。

・顔に接触する内側層は、綿などの親水性(吸水)材料

・フィルタとして機能する中間層は、ポリプロピレン製繊維からなる不織布材料

・外側層は、ポリエステルなどの疎水性(防水)材料

で構成されるとよい。

 3層構造のマスクを使用するというのは、合理的な理由があるように思われる。必ずしも3層構造のマスクでなくともよいだろうが、どんなマスクでもよいというわけではないことが改めて理解できるだろう。

 さらに、WHOは、マスクの洗浄方法(マスクの組織を壊さないように適温(60度)の湯で洗浄するなど)や保管方法についても具体的に指定している。

  マスクの効果を得るためには、マスクの品質を保っておかなくてはならないのだ。マスクが劣化するとマスクが本来有するフィルタ効率が低下する。後に述べる研究で指摘されているが、フィルタ効率の低いマスクを着用することは逆効果となる。

 なお、韓国の研究によると、マスクのフィルタ効率は洗浄によって簡単に低下するそうだ。


 次に、マスクのフィルタ性能について考えてみる。実際、マスクは、くしゃみや咳等に含まれる大きな飛沫を捕集することはできるだろう。しかしながら、コロナの感染経路の主体は、大きな粒子の飛沫ではなく、より小さな粒子のエアロゾルなのだ。

 これは、実社会において、人に向かってくしゃみや咳などをする人はいないし、感染が屋外のような換気の良い場所では感染は発生せず、ほとんど屋内で発生していることから理解されよう。

 既に、コロナの感染はエアロゾルの感染経路が無視できないということは、多くの研究によって明らかになっている。



 なお、NHKでさえ、コロナウィルスがエアロゾルを経由して感染することを世界に宣伝しているよ。

 カナダの病理学者によると、コロナは、30メートル移動するエアロゾルによって感染拡大するとのことだ。

 要するに、マスクのフィルタ性能を考える上で大事なことはエアロゾルによる感染を防ぐことができるかどうかである。たとえ、飛沫を防げたとしても、エアロゾルによる感染を防げないのでは全く意味がない。

 小さな粒子のエアロゾルの大きさは、一般のマスクの網目よりも小さいものである。普通に考えると、マスクを着用してもエアロゾルを通じた感染を防ぐことはできない。

 しかしながら、コロナが流行り始めた当時、日本のエアロゾル学会は、なんのエビデンスに基づくこともなく、一般的なマスクがエアロゾルを捕集でき、効果があるなどとという見解を示したそうだ。

画像12


画像9

 日本のエアロゾル学会は、その見解が少なくとも全てのマスクを対象としたものではなく、エビデンスもないことも認めているのであるが、日本のエアロゾル学会の主張する通り、本当に品質の粗悪な布マスクでエアロゾルを捕集し、感染を防ぐことができるであろうか?

 これに関し、様々な検証が行われている。

1.マスクの効果(特にエアロゾル)に関し

(1)WHOはなんといっているか

 WHOは、布マスクはPPE(Personal Protective Equipment)ではなく、医療従事者や60才以上の高齢者、持病のある人には勧めないとはっきりといっている。つまり、WHOの見解は、マスクには他人からのエアロゾルによる感染を防げる機能がないことを示唆している。布マスクはせいぜい飛沫を他人に飛ばさないくらいの役割しかないということだ。

(2)次に、日本の研究を見てみよう。

 布マスクが空気中のウィルスを防げるかどうかに関し、日本で実験が行われた。それによると、日本の研究で布マスクを着用した場合、空気中の粒子の「漏れ率」は100%だったことがわかった。また、不織布マスクを正しく着用したとしても、約52~80%漏れてしまうことが分かった。

Image 3

Image 3

Image 4


(3)ギリシャの研究によれば、エアロゾルが感染経路となった場合、コロナの感染防止に布マスクが効果がないことが判明している。

Image 5

(4)スペインの専門機関CSICのマスク開発の研究者Lagarón氏は、サージカルマスクが室内で役に立たないと断言した。

・エアロゾルにほとんど効果無し
・サージカルマスクが他人を守るなどという誤った考えが流布されて困っている
・規格外の布マスクは論外
・FFP2マスクならエアゾルに有効

 マスクを開発している専門家が規格外の布マスクどころがサージカルマスク(ここでは、N95やFFP2ではないが高品質のマスクを指す模様)でさえエアロゾルの捕集にほとんど効果なしと断言しているのだ。

画像13



(5)また、ある流体物理学の論文によると、布マスクを着用しても、1回咳をしただけで1.8m以内の人を感染させる量(1000)のウィルスを放出する。つまり、布マスクを着けていてもエアロゾルには効果無し。

 しかもろ過効果があるのは大きな粒子のみ。感染性の高い小さな粒子を通してしまう。

画像14

画像15



 少なくとも以上の情報からは、通常の布マスクを着用していても、エアロゾルの吸入や放出を防ぐことができないことが分かる。

2.マスクを着用しているだけで、その素材によっては効果がないだけでなく逆効果になるという研究も既に行われている。ここでの逆効果とは、単純にエアロゾルの放出や吸入の点だけなので、衛生面を考慮すれば、逆効果はさらに大きなものとなる。

 幾つかの研究を紹介しよう。

(1)米国のデューク大学の研究者は、14種類のマスクの性能を評価した。当然のことながら、マスクの種類により性能が異なるのであったが、マスクを着用していないときよりも、感染リスクを増大させるものがあった。この研究では、"neck fleece"が感染リスクを高めることが判明した。

画像8



 ちなみに感染リスクを増大させることが判明した”neck fleece”とは、当方が調べてみたところ、どうやら↓のようなものと思われる。

画像7


 うーん、これはどこかで見たことがある。思い出した!実は、この”neck fleece”は、以前、日本の山中教授が提案したネックゲイターだったのだ。

画像7

画像18


 この研究内容に基づけば、山中教授は、けしからんことに、いや、残念ながら、感染拡大に寄与する運動をしていたことになる。

 ネックフリースでは、フリースの繊維が飛沫をより小さな粒子に分割し、空気中に長時間この小さな粒子が滞留しやすくなるということだ。このようなマスクを着用することは逆効果であり、実験段階でさえ、既にマスクを着用していない場合よりも酷い結果になってしまっている。



(2)Nature誌に記載された研究によると、布マスクを着用した時の方がマスクを着用していないときよりもエアロゾルの粒子の放出が大きくマスクがエアロゾルの発生源となっていると懸念されている。しかも感染性の高い小さな粒子サイズ(< 5 μm)のエアロゾル が放出される。


(3)米国物理学協会(AIP)の論文誌に記載された研究によると、質の悪い(ろ過効率30%以下)のマスクを着用するぐらいならマスクを着用していないほうがまだマシであることが分かった。質の悪いマスクは、コンピュータモデルを用いた計算の段階でさえ悪い結果がでた。規格外のマスクは役に立たないということだ。

 つまり、規格外のマスクでは、効果が得られず、逆効果になってしまう場合が多いということが分かる。勿論、繰り返し使用されるマスクで劣化したマスクを着用しても同じように逆効果になる。


3.そして海外ではどうなったか

 WHOは、95%の人がマスクを着用すれば感染が収まり、ロックダウンをしなくてもよいだろう、などという誤情報を流してしまった。

画像10



 そして、欧米の多くの地域では、マスクの着用義務化を導入した後、マスクの着用を闇雲に推進し続けたことにより、マスクの着用率が95%を超えた。

 ところが、当然のことながら、マスクには効果はないため、感染が収まる様子はなかった。

 例えば、カリフォルニア州等、米国の民主党地盤の州では、マスクの着用率が軒並み95%を超えている水準である。それなのに、感染が収まるどころか、感染爆発を起こしてしまったのだ。

画像11




 そして、感染爆発が発生したカルフォルニア州では、意味もなく無駄にロックダウンを継続したが、やっぱり効果はなく、ウィルスに感受性のある国民の大半がコロナに感染するという結果になってしまった。なんと、ロサンジェルスでは45%の住民が感染済なのである。



 さじを投げた欧米では、通常の布マスクが役にたたないことを認め、医療用マスクを義務化する等、方針を転換する方向になっている。

(1)ドイツ

  高品質の医療用マスク(FFP2)の着用を義務化

(2)チェコ

 サージカルマスク2枚重ね、又は高品質の医療用マスク(FFP2)の着用を義務化

(3)米国

 マスク2枚重ねの着用を推奨


(3)ジブラルタル

  飲食店の店員にマスク2枚重ねの着用を義務化


総括

 エアロゾルは蒸気や煙のようなものをイメージすればよいだろう。最後に、実際にマスクを着用した状態で蒸気や煙がマスクから漏れるかどうかを試した人々がいるので結果を見てみよう。





 エアロゾルがマスクから漏れ出してしまう一つの理由としては、フィルタ性能の問題だけでなく、立体形状の医療用マスクを除き、大部分の一般のマスクの形状は顔面とマスクが密着するようには設計されていないということもあるだろう。しかしながら、幾つかの実験映像をみると、どのようなマスクを着用していてもエアロゾルが依然としてマスクから漏れ出していることが分かる。

 高品質の医療用マスクを使用したり、マスクを二枚重ねで使用したとしても、一般の人が使用する場合には効果を得にくいのだ。顔面とマスクとの間にどうしても隙間が空いてしまう。また、顔面とマスクとの間に隙間ができないような着用の仕方は、身体にも負担が重く、長時間の使用に適していない。

 エアロゾルがマスクにほんの一部吸収されることにより、放出されるエアロゾルの総量が減少しているのかもしれないが、「焼石に水」のように気がしてならない。一時的にマスクで捕集されたウィルスを含んだ飛沫の粒子は死滅することはなく、エアロゾルとなって、じわじわと人体に再吸収されたり、外部に拡散されてしまうのだ。

 もちろん、一時的にマスクで捕集された湿気が再度、エアロゾルとなってマスクから放出されると、感染リスク、重症化リスクが高まり逆効果となることは以前に説明した。


いつも読んでいただき、ありがとうございます。なんとか続けていければと思っています。