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家族が濃厚接触者になったときのお話

その連絡は突然やってきました。

ちょうど私がコロナワクチン1回目を接種した夜です。

プルルルルルル・・・・・

息子が通う学校からの電話でした。

「息子君と同じ部活動の先輩がPCR検査を受けました。結果が陽性だった場合、息子君は濃厚接触者になる可能性が高いです。まだ検査結果は出ていませんが、念のため明日はお休みしてください」

コロナウイルス関連のニュースにも、いつしか聞き慣れてしまっていた私。感染者数を見ても、どこか遠い国の話題のような気さえしていた頃でした。

もちろん手洗い・マスク・消毒などの基本的な感染対策はしていましたが、家族や友人、知人にも感染者がいなかったため、「普通に過ごしていれば感染はしない」という根拠のない自信さえ芽生え始めていたのです。

それが、1本の電話で突然ガタガタと崩れていきました。


先輩がPCR検査?

もし陽性だったら?

息子が濃厚接触者になる。

息子がPCR検査をして陽性だったら?

私たち家族も濃厚接触者になる。

私たちも陽性だったら・・・

いや、すでに、家族全員感染していることも考えられる!


そう思うととても恐ろしかったです。

ここ数日、誰に会ったっけ?どこに行ったっけ?ワクチン会場では問診以外の会話はしていないけど、大丈夫だろうか?食品の買い出しにイオンにも行ったけど、不織布マスクしていたから問題ないだろうか?子供たちは学校へ行ったけど、連絡するべきだろうか?

一気にいろんなことが頭の中を駆け巡りました。


これは、誰にでも起こりうる可能性があることだと思うので、そうなってから慌てない様に、息子が濃厚接触者になるかもしれないという連絡を受けてから、健康観察期間を経過するまでの流れをまとめておきたいと思います。(住んでいる地域によっては流れが異なる場合があるかと思います)


連絡が来たのは、陽性疑い者と接触した4日後

しばらくの間部活動は停止中だったのですが、ある1日だけミーティングも兼ねて活動した日があったのです。その翌日に部活動に参加した1人が発熱し、PCR検査を受けることになったとのこと。

しかし実際にうちに学校から連絡が来たのは、部活の日から数えて4日後。それまでは私たち家族は何も知らず、学校や職場へ行っていたのです。結果、何事もなかったから良かったのですが、後から考えるとこの空白の4日間はちょっと怖いなと思います。

ただ、最初の連絡の内容が「先輩が陽性者かもしれない」というあいまいなもの。

陰性であれば問題なく今まで通りの生活をしていいけれど、陽性だったら濃厚接触者の疑いとなる、という状態では、家族としてはどう過ごすべきか悩むものです。


ガイドラインに沿って判断すると、外出OK

学校から連絡を受けた時点では、息子は「濃厚接触者の濃厚接触者疑い」という状態です。ガイドラインに沿えば、息子もその家族もその時点では外出OKだそうです。仕事も学校も問題なく行っていいそうなんです。

ただ学校の先生からは「未然に防ぐという観点から、息子君にお休みをお願いしている」と言われました。あくまでも"指示"ではなく、"お願い"だそうです。

とりあえず連絡を受けた翌日は、濃厚接触者疑いの息子は自宅待機。ちょうど職場が定休日だったので、私も自宅待機。その他の子どもたちは基本的な感染対策を行ったうえで学校へ(うちには3人の子どもがいます)、夫は仕事へ行きました。

5日目、陽性だったと連絡を受ける

部活をした日から数えて5日目の夜。

学校から再び連絡があり、PCR検査を行った先輩が陽性だったと教えていただきました。しかしまだこの時点でも、息子は濃厚接触者ではありません。

名簿や部活動の内容、どのような接触があったか、マスクの有無などの状況を保健所に伝え、誰が濃厚接触者になるかを保健所に判定してもらうまでは、誰も濃厚接触者とは言えないそうです。

しかし、濃厚接触者疑いであることには間違いありません。

翌日私たち家族は全員学校も仕事も休むことを決めました。ガイドラインに沿えば、まだ濃厚接触者と判定されていない場合は、本人も含めその家族も外出や登校・出勤OKなのですが、もし感染していた場合、多くの方に迷惑をかけてしまいます。

幸い、学校の方では出席停止扱いにしてくれるとのことでした。

6日目の朝、息子が濃厚接触者と判定される

部活から6日目にやっと、息子が濃厚接触者に判定されたと学校から連絡が来ました。ついにPCR検査を受けることが決まったのです。

(※保健所とのやり取りは全て学校側で行ってくれて、保健所からの指示をそのまま学校の先生がそれぞれの生徒の家へ連絡するという流れでした)

すぐに検査を受けたいところですが、検査キットは自宅へ郵送されるとのこと。学校からは、「詳しい検査方法や内容については、キットの中に入っているそうなのでよく読んで行ってください」とだけ言われました。

私自身は保健所と直接お話ししていないため、わからないことだらけです。


検査キットはどのように郵送されてくるのか?

防護服を着た保健所の人が来るのか?

何時に届くのか?

郵便局の配達員が手紙と一緒に運んでくるのか?

何もわかりません。


7日目の昼、検査キットが到着

朝早くに保健所の人が来るかもしれないと考え、翌日は早く起き身支度をして待機していました。

しかし一向に鳴らないインターホン。

もしかしたらポストに入っているかも?と、1階の集合ポストへ数回見に行ったものの、届いていません。(マンションに住んでいるため)

ソワソワと窓の外を眺めて、郵便局らしき車が止まれば配達員がどこに行くかを確認。そうやって落ち着かない午前中を過ごし、お昼ご飯にしようかと準備し始めたころ、「もう1度ポスト見てくるね」と夫が集合ポストを見に行ったのです。

すると、保健所からの茶封筒が届いていました。

その封筒の表には、「インターホン鳴らさずにポストイン」の赤文字。

いやいや、一軒家ならまだしもマンションならインターホン押して、モニター越しに「ポスト入れておきますね」ぐらいあってもいいでしょう・・・と思いましたが、感染対策のためなので、仕方ないですね。

マンションやアパートに住んでいる方は、ちょこちょこ集合ポストを見に行く必要があります。


回収時間が短い

検査をしたらすぐに検体を保健所へ届けなければなりません。郵送ではなく、自分で届けなければならないのです。そのため、夫は出かける準備を開始しました。

その間、私は検査キットの入った封筒を開け、説明書に目を通していました。

そして驚きました。

<保健所の回収時間帯>
・朝の9時15分~9時45分
・昼の12時15分~12時45分

この時間以外は受け付け不可、と書いてあるのです。時計を見るとお昼の12時15分を回ったところでした。しかも回収場所は遠く、自宅から車で40分はかかる場所にあります。

12時45分には間に合いません。

「え?今日提出できないの?」

家族全員固まりました。

しかも結果は、検体提出日の翌日~3日以内に連絡とのこと。

こんな悶々とした気持ちのまま、明日まで待てというのか?さらに結果がその3日後ということもあり得るのか?こんな不安な気持ちのまま、どれだけ待てばいいの??

とりあえず、ダメ元で保健所へ電話をかけて、夕方の回収はないのか?という確認をしてみました。

すると、「あります」との回答!電話して良かった!!!ダメ元でも確認してみるものです。

しかし「14時30分~15時の回収もあるけれど、その時間より早くても遅くても回収できません」とのこと。夫は慌てて出かける準備を再開しました。その間、息子が検査キットの説明書を読みながら検査開始。

そして回収時間の1時間以上も前に、夫は検体を持って車で出発しました。万が一渋滞などのトラブルが発生したら大変ですから。

でもふと思ったのです。運転できる元気な夫がいてくれたから助かったけれど、もし1人暮らしで車を運転しない人なら、どうやって検体を運ぶんだろう?すでに家族全員具合悪くなっていたら、どうなるんだろう?具合悪い中、地下鉄に乗って行けというのだろうか?それこそ感染を広げることになるのではないだろうか・・・。

タクシーも乗車拒否するだろうし、検体を郵送するにしても配達員に感染の危険性が出てしまうし・・・「これなら大丈夫」という方法はなかなか見つからないですよね。


検査は、唾液だけでOK

さきほど「検査キット」と言いましたが、実際には「キット」というほどすごいものが入っているわけではありませんでした。

ジップロックの中に、名前付きの、尿検査用の容器が入っているだけです。

その容器に唾液を流し込むという、結構原始的な方法。

しかしただ流し込めばいいわけではありません。

飲食・うがいをせず、口の中に5分間唾液を溜め込み、それを尿検査の容器に入れて、量が足りなければまた5分間唾液を溜め込み流し込むという作業を数回繰り返すのです。

もし飲食してしまった場合は、10分以上開けてから唾液を口の中に溜め込まなければなりません。そのため、検査開始から終了までどんなに早くても5分以上、長ければ15分以上はかかってしまうんです。

でも鼻をぐりぐりするわけではないので、痛みがないのは嬉しいですね。

検査の結果は翌日のお昼にメールで届く

検査結果は、検体を提出した翌日以降に電話かメールで届きます。

検査キットの入った封筒の中に、メールアドレスの登録方法を記載した紙が入っています。登録は必須ではないのですが、「電話よりもメールの方が早く結果がわかります」と書いてあったため登録しました。(陽性の場合はメールアドレスを登録していても、必ず電話での連絡となるそうです)

検体を無事提出した翌日もまた、朝からソワソワです。陰性なのか陽性なのかで、今後の生活が大きく変わるのですから。

もし陽性であれば、私たち家族全員が濃厚接触者になります。すでに全員感染者になっているかもしれません。

しかしそれまで色々な待機期間が多かったため、検査結果の連絡も遅いだろうという諦めもありました。

ところが結果は案外早く、提出日の翌日お昼頃に届きました。「保健所検体搬送調整班」という重々しいタイトルのメールです。

「保健所!保健所から!来た!」

私が叫ぶと、夫が私のスマホの画面をのぞき込みました。

そして一緒に内容を確認したのです。


「先日の新型コロナウイルス感染症の検査結果は陰性でした」


メールが来た時点で、陽性ではないことはわかっていたはずなのですが、「陰性」という文字を読むまでやはりドキドキしました。

「いっ、陰性!陰性だ!陰性だよ~」

慌てて子どもたちへ伝え、家族全員で大騒ぎでした。高校の合格発表くらいの浮かれようです。

それまで重苦しく沈んでいた心が、急にふわっと軽くなった瞬間でした。

翌日から家族は外出OK。濃厚接触者は接触日から2週間出席停止

濃厚接触者である家族が陰性だった場合、その兄弟はすぐに登校が許されます。それぞれの学校へ連絡を入れ、陰性だったと伝え、翌日から登校させることができました。

私と主人もそれぞれの職場へ連絡を入れたところ、翌日からの出勤を許されました。

しかし、濃厚接触者である息子は部活で陽性者と接触した日から2週間は外出禁止&健康観察(体温報告)となります。

接触日から2週間を経過することでやっと感染疑いがなくなり、いつも通りの生活を手に入れることになるそうです。

感染疑いの場合の家族の過ごし方

家族が感染しているかもしれないとわかってから、家での過ごし方にはとても気を使いました。家庭内にはたくさんの感染経路があるなと改めて感じたものです。

ここでは、私が行った対策をお伝えしますね。

・家の中でも、家族全員マスク着用
・タオルを分ける
・息子の歯ブラシ置き場を、家族の歯ブラシと離れた場所にする
・歯磨き粉を息子だけ違うものに変える
・息子の使った食器をアルコール消毒する
・息子専用の食器を決め、置き場所も別にする
・息子が触ったであろう場所を全てアルコール消毒する
・食事のテーブルは、息子だけ別にする
・食事はそれぞれ自分のお皿に取り分けておく(大皿をつつかない)

もうすでに遅いかもしれないと思いながらも、可能な限り感染を広げない努力をしてみましたが、家庭内感染を防ぐって、すごく難しいものですね。

アルコール消毒をし忘れたり、お風呂上りにマスクをつけ忘れたり、息子が使った歯磨き粉を家族が使ってしまったりなど、なかなか完全な対策とは言えませんでした。

特にうちは5人家族なのに2LDKのマンションに住んでいるため、「隔離」というのがとても難しかったです。広い家に住みたいな~とひしひしと感じた2週間でした。


コロナは他人事ではない

今回は、「コロナは他人事」と思っていた私たち家族に降りかかった、出来事をお伝えしました。

私と同じように、コロナを他人事のように感じている方もたくさんいるのではないでしょうか。

でも気づいていないだけで、実はすぐそこまで忍び寄ってきているのかもしれません。

いつ、どこで、誰に降りかかってもおかしくない出来事なのです。

しかし、濃厚接触者と判定されるまでの経緯や実際の検査方法などについての体験談が少ないため、突然連絡が来てから「どうなるの??」と慌てる方が多いと思います。

出来れば、感染者・濃厚接触者が0人になることが望ましいのですが、万が一私たち家族と同じような連絡を受け、慌てている方がいたら、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。



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