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「誠実なクズ」としてのポリアモリー

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お互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ「ポリアモリー」をパワポを使って紐解いています。
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#多様性

「普通に考えたら」って言うのはマジョリティハラスメントだよ、って話。

「多様性を認めよう」 というセリフが嫌いだ。 別に認めなくていい。ただ「そこにある」という事実だけ認識すればいい。それ以上でも、それ以下でもない。 「認めよう」なんてスタンスは驕りだ。 自分がマジョリティ側にいると認識した上で「マイノリティー側も認めてあげよう」という姿勢が透けて見える。 「お互いに認め合おう」ならわかる。 マジョリティもマイノリティを認め、マイノリティもまたマジョリティを認める。それは両者に必要なスタンスだ。 ただこの世界はどうしても多数派が強

マジョリティは、マイノリティをナチュラルに搾取しているかもしれない。という少し怖い話。

あなたはポリアモリーという言葉を知っているだろうか? 「複数恋愛」や「複数愛」と訳されることが多く、 ・お互いに合意の上で ・複数の人と ・同時に ・性愛関係を築く ・ライフスタイル のことだ。 最近はテレビや雑誌で特集されることも増えてきた。 私自身も兼ねてから、日経COMEMOのキーオピニオンリーダーとしてポリアモリーについて発信してきた。 当然、批判されることも多い 批判のパターンもいくつかあるが、特に私のような男性の立場からポリアモリーを発信すると「それ

「結婚している」からと言って「1対1の恋愛を望んでいる」とは限らない。パワポで考える関係様式と、関係指向の話。

「性的指向」という言葉を耳にすることが増えた。 これまでは男性は女性が好きなもので、女性は男性が好きなもので、それがスタンダードで、それが当たり前とされていた。 しかし「ダイバーシティ」という言葉が世間に定着して以来、それは当たり前ではなく、人それぞれ違うことが当たり前になった。 性的指向(Sexual Orientation)とは、どの性別の人に性的に惹かれるか(または惹かれないか)という指向のことを表す。 ちなみに「指向」とはその人が持つ「考え方の方向性」のことで

「誠実なクズ」としてのポリアモリー

「このイベントは倫理的に問題がある可能性があるので、上長に確認させていただきます。」 そんなことを言われた経験がある。 今から3年前、ポリアモリーのイベントを開催しようとした時のことだ。 ポリアモリーとは、1対1の恋人関係に縛られず、合意の上で複数と恋愛関係を持つライフスタイルのこと。1980年代のアメリカで生まれた概念で、対義語はモノアモリーと言う。 いわゆる一夫多妻制との違いは、こんな感じだ。 文化人類学のカテゴリで語られることが多いポリアモリーだが、まだまだ一

今、学生が論文のテーマに選ぶ「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」とは。

突然だが、あなたはロマンティック・ラブ・イデオロギーという言葉を知っているだろうか? 実は、検索窓に「ロマンティックラブイデオロギー」と入力すれば、学生たちの書いた多くの論文がヒットする。 なぜ今、学生たちはこのテーマを研究対象に選ぶのか? 今日はそんな話。 ■恋愛トークの3点セットロマンティック・ラブ・イデオロギーとは何なのか? 詳しくは論文に書いてあるのだが、論文を読むには体力も時間も、基礎知識もいる。 そこで、本を読むのが苦手(論文はもっと苦手)な僕が、自分

嫉妬を構造化したら、だいぶ生きやすくなった。

僕には転機になった記事がいくつかある。 その1つがこちら。 この記事が「note編集部のおすすめ」になり「パワーポイント×ポリアモリー」というスタイルが定着。今では日経COMEMOでも連載もするようになった。 嫉妬はプライベートでも、ビジネスでも起こりうる感情だ。 そんな「嫉妬」という感情の構造化には、人を振り向かせる力があった。 そして最近、プライベートで「また別の角度から嫉妬を構造化してみたい」と思う機会に遭遇した。 今日はそんな話。 ポリアモリーとは、合意

ポリアモリーへの批判を真摯に受け止めてみた。〜その1〜

先日、フジテレビの「とくダネ」という番組でポリアモリーが特集された。 ポリアモリーとは、合意を得た上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ恋愛スタイル。これまでポリアモリーについて書いたシリーズはこちら。 特集されたのは「1パーセントの社会学」というコーナー。社会学者の古市憲寿さんがポリアモリーについて話し合うポリーラウンジに参加してみた、という内容だった。 放送後、#ポリアモリー はTwitterのトレンドワードに入るなど大きな反響があったが、その9割は批判めいたものだ

ポリアモリーへの批判を真摯に受け止めてみた。〜その3〜

先月、フジテレビの「とくダネ」という番組でポリアモリー特集があった。 ポリアモリーとは、合意を得た上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ恋愛スタイル。これまで僕がポリアモリーについて書いたシリーズはこちら。 この放送に対しては批判の声が多かった。 当事者として、これらの批判を真摯に受け止めてみるこのシリーズもこれで最終回。 今日は 💢批判4:子供の気持ち考えた?かわいそう 💢批判5:美男美女ならわかるけどブスばっかじゃん について。 主に「子供」に関

ポリアモリーになったけど、誕生日どうしよう。

ポリアモリーにとって誕生日とクリスマスは鬼門だ。 恋人やパートナーが複数いるポリアモリー。 しかし誕生日もクリスマスも1日しかない。 当然、「誰と過ごす?」という話になる。 果たして正解はあるのか。 (36歳の誕生日を迎えた)今日はそんな話。 ポリアモリーとはお互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー。過去のシリーズはこちら。 ■ポリアモリーたちに聞いてみた。僕は一人で過ごすことにした。 そして今、このnoteを書いている

東大生とポリアモリーについて話したこと(前編)。

「大学でポリアモリーの研究をしています。取材させてください。」 このマガジンがきっかけで、こんな連絡が増えた。 学生からの連絡といえば、これまではもっぱら就職活動の相談だったが、最近はポリアモリーに関する相談の方が多い。 ポリアモリーとはお互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー。過去のシリーズはこちら。 ポリアモリーは何学?ポリアモリーを研究する学生とはどんな学生だろうか? ポリアモリーとは何学の領域だろうか? もちろんそん

東大生とポリアモリーについて話したこと(後編)。

ポリアモリーについて発信をしていたら大学生(主に文化人類学系のゼミ)から取材を受けることが多くなった。 それも東大をはじめとする優秀な学生ばかり。 ポリアモリーとはお互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。これまでのシリーズはこちら。 前編では学生からの質問の中で多い「Q.今、付き合ってる人は何人いますか?」に対する返答を紹介した。 今日はその後編として2つの質問について書こうと思う。まずはコチラ。 Q.ポリアモリーに対してどんな批判の声があり

会えない時間に愛を育てない勇気。

会えない時間が愛を育てる。 という説がある。 年末年始のこの時期、帰省などの影響で恋人や想いを寄せる相手に会えない人は多いだろう。そんな会えない時間、相手を思う時間にこそ愛が育まれるという一説。 今日はそんな説を少し違う角度から考えてみた。 ■会えない時間に育つ3つの感情突然だが、僕はポリアモリーという恋愛スタイルを選択している。 ポリアモリーとは、合意を得た上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ恋愛スタイル。「相手を縛らない」という意味ではfacebookのステー

子育てを構造化してシェアしよう。

子育てを女性だけに任せてはいけない。 男性も育児休暇を取るべきだ。 地域で子育てをするべきだ。 いや、社会全体で子育てをするべきだ。 そんなニュースや論調は山ほどある。 社会全体で子供を育てる。 聞こえもいいし、もっともだ。 でもなかなか進まないのはなぜだろう。 理由の1つにあるのは「子育て」を一括りにしてしまう発想なんじゃないか。 今日はそんな話。 ■子育てパートナーとして活動するキリトさんの話先日、ポリアモリーというライフスタイルに関する座談会を主催した。

「本当の好き」はどこにあるのか、パワポで探してみた。

「それは本当に好きなわけじゃないんだよ」 なんて言われたこと、言ったことはあるだろうか? ポリアモリーを実践している僕はよく言われるが「本当の好き」という概念自体はいわゆる恋愛トークでも頻出ワードだ。 ポリアモリーとは、合意を得た上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ恋愛スタイル。これまでポリアモリーについて書いたシリーズはこちら。 「本当の好き」とは一体なんなのか。 36歳にもなって、今更分からなくわからなくなってきたので、一旦パワポで整理してみた。 今