見出し画像

日々を生きる

50の短歌の寄せ集め

不確定な空模様をあてにしてICカードをチャージしよう

家の外は全部レッドカーペットなんたからってラメを散らばす

ドクドク脈打つペースメーカー。もうはち切れそうな坂道漕ぐ

独りぼっち寿司はご褒美の味よ。欲張りさん独り占め鮪寿司

君は幸運をよぶのかなぁ? 渡り鳥の置き土産を睨みつける

またも裏切ったな。過去の記憶と違う場所から捜し物みつかった。

ゆびさきはせかせかせか、汚さぬように行儀悪く煽るスナック

何時ぶりの悪夢かと懐かしい冷や汗を抱き締めた記憶を見た

方程式なんて何時ぶり? 解を求め懐かしい記憶をなぞる


プロテインシェイカーの中で悪い夢丸ごとシェイク混ぜるシェイク

指先を飾る微かな抵抗、ツルツルと心が動き出した

貴方がいない春に泳ぐ決意を固め、川へと放流された

爪先が迷う不安に押しつぶされながら真っ直ぐ歩み続け


ぱらぱら紙をめくる指先が旅先へと沈みゆく昼下がり

あと一粒、あと一粒と私の消化されていくグミの袋

じゃあねといったらあれっきり会えていない貴方を思い出した春

講義中ざわざわプツと途切れる声。オンラインでも春が来たね

口ずさむ、懐かしい旋律が呼び起こす。あなたの風、今もある。

染みる、乾いた風。瞳を突き刺し涙を奪う別れの季節

微睡みの中眠気に耐える、落ちてしまう。明日は来なくていいよ

震えるほんのわずかな一声、あなたの感謝は私を癒す

ほんのすこしだけの油断です。危うく流血沙汰だと足を滑らす

1万円しかないや。学食ではお控えくださいと苦笑い

嫌いにならないでずっと私よ祈りは虚無に帰ってゆくの

しんどい気持ちが頭を垂れさせた。繋がれた犬と目線が合う

渡る世間は人見知りばかり? 案外私はポジティブかもね

埋もれた望みを探す旅。とうさん、私ね、辿り着けたみたいだ

簡単に死体にはならないという前評判の虫じゃないかあ


ひとりにならなきゃと口ずさむあなたとふたりぼっちの世界線で

明日は上手く落ちられるだろう。階段を下りながらひとりごつ

棘が刺さった私に指差すあなたは責任も取ってくれない

自分でかきわける汚泥のなかで美しく咲くために息を継ぐ

異国で泳ぐ魚。どっちみち私は君を思うしかできない

バイトのきみ。ほんのわずかな違いをあげるなら初々しい手つき

きこえないふりして夢追い人「私の足跡を乗り越えないで」

殺した、殺したい自分を殺した人が蟻みたいに群がった

青い春が零れ落ちてゆく。夕焼けにセーラー襟が翻る

追いかけ続けた道行はとうの昔に黄色にチカチカ光る

「海辺で生まれたかった」ほんのちょっとの間に引越しがしたい

同情なんてされたら泣いてしまうのとアイラインを強く引く

願いを叶えてよと過去の私の呪縛が取り憑いて囁くの

楽しいを上手くすくえない心なんて何処かに捨ててしまおうよ

出る杭は打たれるなんて現代の肩たたき券みたいだよね

アンチでいてくれてありがとうなんてアノニマスに言ってはやんない

意地悪な味がするの。さようならの時のぶどうゼリーを飲み込む

私のドロドロの苦しみは祈りの形になった千羽鶴へと

道標を潰したあの夜を回想、流れ星に願いを馳せる

人生なんて藪から棒にモチベーションが飛び出してくる道

何処までも何処までも飽和する。満ち溢れるポップコーンバケット

電子の波に乗って飲まれあなたの声が届く深夜3時過ぎ


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?