三枝 四葉

三枝 四葉

最近の記事

シリウスは光り輝く

「あ、来た来た」 金糸の長い髪の少女は、その人を待っていた。 彼女達は場所を少し変えて、背の高いフェンスの網に指を引っ掛け、軽くもたれかかる。 「此処から見える景色が好きというか、落ち着くんだ」 そのフェンス越しの景色を一望する。 学校の本館に体育館、校外にはいつも通っている通学路の枝から伸びる様に建ち並ぶ家々。 合間に凸凹を作る様にアパートやマンション、大きな建物の下に当たり前の様にあるコンビニ、お洒落な喫茶店に美容室。 どれも見慣れた筈の建物なのに、この位置から

    • 星を集めて

       藍色の海に浮かぶ星々は、夜空から鏡の様に写し出している。故に海は煌いているのだ。  金糸の長い髪の彼女を連れて、夜の海辺を歩いていた。そしたら彼女は星々に寄って煌めく海を見て、同じ様に目を輝かせる。 「あの海に浮かぶ星たち、どのくらい拾えるかな?」  そんな無邪気な顔を見せてきた彼女に、私は何て答えてあげれば良いのだろう? 「分からない。しかしあの星々は空を写し出しているだけだから、簡単には拾えないだろう?」  私は夢の無い答えしか言えなかった。  悔しくて悲しい。

    シリウスは光り輝く