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4p9p問題をNAGA君に解析依頼してみて思う、麻雀議論におけるAIの使い方

 おはようございます、ヨーテルです。

 今Twitter上でこちらの記事が話題となっています。

 配信者の咲乃もこさんが実践で遭遇した何切るに対し、多井プロがアドバイスをするというもの。

 多井プロの思考を知れる機会は貴重ですので、僕も時々拝読しています。

 今回は南2局3巡目、抜けたトップ目で下記の牌姿から何を切るかという問題でした。

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 咲乃もこさんは実戦で4p切りとしましたが、多井プロの教えは3巡目なら9pを切って345の三色まで見よう、6巡目なら4p切りくらいのバランスとのことでした。

 Twitter上では4p派と9p派で意見が対立しています。そこでわたくし思いました。

「せや、NAGA君に聞いてみよう」

 麻雀AIのNAGA君は天鳳で自作した牌譜も解析してくれます。天鳳と雀魂はルールも似ているということで、ルールの差も影響なし。

 さあ最新式麻雀AIの回答は……?

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 牌の上にニュッって出てる紫の棒がNAGA君の推奨度を表してます。なんと多井プロの教えを真っ向から否定する見事な4p一択でした。

 いやしかし待ってほしい。今回は南2局で抜けたトップ目というのが要素としてあるから、打点にこだわらず効率通り4pを切ろうということになってる可能性はあります。

 記事内には

多井プロ「トップ目かラス目かで決めるのも大事なんだけど、
それよりもここで4p切るのは3巡目の感覚じゃないってことを覚えた方がいいんだよね。
河をみても、これ全員まだ2シャンテン3シャンテンだから」

 とあります。点数状況はさておいて、3巡目でこの手なら9pを切って多少効率をロスしてでも打点を見る感覚を身に着けよう、そういったニュアンスのことが言いたいのが伝わってきます。

 というわけで、これと全く同じ手牌捨て牌で、東2局全員原点持ちに設定を変えて、もう一度NAGA君に見てもらうことにしました。

 さて結果は……?

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 先ほどとは違って9pも打牌候補に入ってきました。しかし依然としてNAGA君の推奨打牌は4p。多井プロの打牌は否定されてしまいました。


 さて、ここからが本題です。このNAGA君の解析を受けて

「なーんだ、じゃあ多井プロが間違ってたんか」

 となった人はいると思います。僕も解析が終わった直後はそう思いました。

 しかし待ってほしい。本当にそれが結論でいいのだろうか?


 麻雀オタク界隈では昔から定期的に何切る問題がふとTwitter上に現れ、そこにオタクたちがそれぞれ自分の意見を言い合うみたいな流れがよくできていました。

 結局それぞれが言いたいことだけ言って終わるので結論なんて出ず、時の流れとともに問題は忘れられていきます。

 しかしここにAIというとんでもない奴が現れました。麻雀議論においてこいつの力は大きすぎます。

 かつて将棋、囲碁、オセロ、チェス、ついにはポーカーまで人類最強クラスへと上り詰めたAI。その実績からか、麻雀界隈を見てるとAIに対する信頼を置いている人は多いように見受けられます。

「AIが言ったんだから」その言葉が議論の場においてとんでもない破壊力を持ち、AIと同じ選択をした人は「正しい」そうでない人は「間違い」となり、麻雀議論に決着がつくわけです。

 しかし、そんなんでいいのだろうか?と、僕は今回実際に何切るをNAGA君に読み込ませて思いました。

 NAGA君は自作の牌譜も読み込ませられるので、例えばMリーグの対局を牌譜に起こして解析してもらうみたいなこともできます。(天鳳とMリーグでルールやメンツの違いはありますが)

 そしておそらく、多井プロ、近藤プロ、黒沢プロのような打ち手は、AIと極端に乖離した選択が多いことが予想されます。AIを信じるなら彼らは間違いだらけのクソ雑魚雀士ということになります。

 しかしそうではないですよね?多井プロがどれだけAIと乖離した選択をとっても、Mリーグの場で長期で勝ち越せないなんてことはありえません。

 つまり、AIを用いてなお、麻雀の正解というのはよくわからないわけです。麻雀は人と人が議論したってめったに結論なんて出ません。なら、人とAIが議論したって本来結論は出ないのです。大切なのは結論ではなく、議論の中身です。

 だからと言って正解を追い求める気持ちを捨ててはいけないのですが、麻雀議論におけるAIの意見のウェイトは決して妄信するほど大きくはないと、僕は思います。

 また、麻雀は人によって正解が異なるケースが多々あります。多井プロが打つなら正解は○○だけど、NAGAが打つなら正解は××みたいな局面は必ずあります。

 こちらに関しては、昔記事を書いたのでよければ一緒にご覧ください。

 AIは優秀なツールです。我々一般のプレイヤーも、今後ますますAIに触れる機会は増えてくるでしょう。

 しかし、AIは相手の意見を100%否定するような力を持つことはありません。

 上記の問題に対しては、多井プロは9p、NAGA君は4p。そして、早い巡目なら打点を見る意識を持つという引き出しを持っておこう!ただ今回の牌姿はその引き出しを開けるのに適さない可能性もある。というまとめ方になります。

 何を切るかわかったというより、引き出しを増やして、それを使うタイミングとして一つの参考例を覚えた。という方がよっぽど議論の終着点として有益です。

 麻雀議論にAIを用いるオタクたちは結論を急ぐことなく、議論の中身を濃くするためにAIを使うことが大切なんじゃないかなと思います。

 それでは本日はこの辺で。ごきげんよう。


↓AIとは違う打ち方だけど強い人については麻雀警察が動画にしていました




 

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