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書くのがうまくなりたかったら

2,3年前までは毎日のように長文を書いてFacebookに投稿していたのだけど、最近は仕事以外で書くことが減ってしまっていた。noteもそんなに高頻度で書くわけでもなかった。

しかし、ぼくの書く力を磨いてくれたのは紛れもなく、日々の出来事を思うままに綴っていたあの時間の積み重ねだったと思う。書くことで流れや幸運を引き寄せるような感覚もあった。

4月から仕事が整理されて、やりたいことに使える時間が生まれた。だけど、まだ明確にこれをやる、というのが決まっていない。海外に行きたくても、このご時世ではまだまだ先が読めない。しばらくは行けたとしても国内旅行だろうか。

旅に行くにしろ行かないにしろ、自分で企画を考えて、書きたいものを書いていきたい。本も出したい。しかしどこから動き始めれば......と悩みながら、この感覚、あのときと似ているなと思った。

大学3年生の冬だ。今もハッキリと覚えている。あのとき、ぼくは就職活動を控え、将来のことで悩んでいた。自分はどんな仕事をしたいのだろうか。

年末に青春18切符を買い、短い一人旅をした。長野県の戸隠神社へ行って、誰もいない朝の、厳かな巨樹の並木道を歩いた。車窓から日本海を眺めた。鉄道のなか、小さなノートに様々なことを書きながら、自分と向き合う時間になった。

あのとき、スッと方向性が決まった。

「書くことを仕事にしたい」

その方向性で就活をしようと、迷いがなくなった。

「書くこと」を仕事にしたいだなんて、理工学部の自分には思いもよらないことだった。ただ、大学3年の夏に始めたブログが、想定外に楽しかったのだ。

横須賀から鹿児島へと向かう自転車旅の日々を、ただ淡々と綴るだけなのに、どうしてこんなに楽しいのか。心が満たされるのか。そしてなぜ読み手が増えていくのか。読者はぼくの文章の何をそんなにおもしろがってくれるのだろうか。「感動しました」と言われても、感動させるつもりで書いていないから何がなんだかわからない。が、何か未知の可能性を感じて無性にワクワクした。

書くことを仕事にしたい。でも、ぼくは文章が下手だ。それは自覚していた。どうしたら文章がうまくなれるだろうか。

「書き続けることだ」

と、浪人時代、英語の長文問題に出てきた文章を思い出した。

「書くのがうまくなりたかったら、書き続けることだ。続けるうちに、その人なりのスタイルが出てくる」

確かそんな文章だった。なぜか心に残り、そのときまで覚えていた。

その人なりのスタイル。ぼくは村上春樹や司馬遼太郎の小説を思い浮かべた。彼らもまた、書き続けるうちに自分のスタイル(=文体)が確立されていったのだろう。

新年を迎え、決意した。2010年は、毎日ブログを書こう。そうして1月1日から、ブログを休まず更新し続けた。

それから4ヶ月が経った5月12日、本当に書き続けたぼくは、学生ブログランキングで日本一になることができた。その日のブログに書かれていた言葉が、今の自分にも響いた。

結局、やり続けることです。「継続は力なり」

それで、1月1日から気分を新たにして、今日まで毎日ブログを書き続けてきました。最初は何を書いてよいのかわからなかったけど、毎日続けるうちに、少しずつコツをつかんでいきました。

ブログのテーマ・内容については特に決めていないけれど、「今日読んだ本で、印象に残った言葉は○○でした」とか、「この人に会ってきました。この人の良いところは、○○なところです」とか、せっかく貴重な時間を割いてまでぼくのブログを読んでくれているのだから、何か1つでも得るものがあったり、「読んで良かった」と思ってもらいたいという気持ちで書きました。まだまだ下手な文章だけど、書き続けて良かったなと思います。

「ブログを書く」という意識を持つだけで、1日の過ごし方に変化が生まれました。普通なら気にも留めなかったであろう些細な出来事について、真剣に考えるようになりました。世界がまるで変わってみえました。自分の心構えさえあれば、全ての物から学ぶことがある、と気付きました。

「観察力」と「伝える力」が鍛えられたのではないかと思います。まだまだぼくにとってブログは未知の可能性を秘めているし、成長の糧になると信じています。

noteではいつも、何か書くテーマが決まっていないと、書けなかった。

しかし、逆の発想はどうか。テーマが浮かぶかどうかに関係なく、「毎日何かを書く」と決めてしまう。そしたら、何が書けるのだろうか。自分でもわからない。だからワクワクする。

それはちょうど、「書くことを仕事にしたい」と思い立った自分が、1月1日から毎日ブログを書こうと決めたときのような、瑞々しい期待がある。

あのとき、書き続けることで自分の文体とリズムが生まれた。そして、1ヶ月が経ったとき、「自転車でヨーロッパを一周したい」という目標が明確になり、その実現のための行動をスタートできた。あれは、毎日書くことで、自分と向き合い続けたことの賜物ではないかと思う。

だから今のぼくも、同じことをしたい。日々の思考を紡ぎ出しながら、これからの目標や生き方を見つめ直していきたいと思っている。

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