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マクドナルドの救世主

自分が味わったマニアックな感動を、「きっとわかってもらえないだろう」と思いながらも、無性に人に伝えたくなるときがある。

今がまさにそうなので、言語化を試みることにする。

それはこういうことである。

マクドナルドで原稿を書いていると、素敵な音楽が流れてきたのだ。

感性に響いたその曲から、ミラーボールが光り輝いていた古き良き時代への憧憬の物語が始まった。

マクドナルドの店内BGMのこだわり

ぼくが近所の仕事場として、向かいにあるドトールよりもマックを選ぶのは、ひとつにはBGMが良いからである。

マクドナルドの店内BGMについては、2015年頃に「どう考えてもそこいらの音楽好き社員が適当に選んだ選曲ではない」とネット上で話題になっていて、その頃からぼくも興味を持ち始めた。

洋楽には正直疎いが、センスの良さを感じた。サンディエゴに住んでいた頃、アメリカ人の友人の車でビーチへドライブする途中、ラジオから流れてきた素敵な音楽たち。それと似たような印象を、マックの選曲リストには感じている。

以前読んだ記事の話もおもしろかった。

現在は1日を4つのデイパートに分けて、それぞれにコンセプトを持たせています。それにあった選曲を月2回更新する、という体制です。モーニングは爽やかな音楽、アフタヌーンはスタイリッシュ、イブニングのウキウキする感じ、ミッドナイトはディープに、といった感じで。

ですから、深夜の時間帯に程よく大人な楽曲をセレクトしています。他の時間帯では選曲しないような音楽をわざと入れることで、注目していただきたいと思っているんですよ。だから夜の時間しか聴けない選曲が実はあるんです。そこに音楽好きな方が注目してくださっているというのは、コンセプト通りなんですよ(笑)。

いかに快適な空間でお食事をしていただくか、というのも私たちにとってはホスピタリティの一環です。BGMは大切な要素なので、毎回USENさんと一緒に「マクドナルドで流す音楽ってなんだろうか?」ということを考えながら選曲しています。

コロナ禍で遠出することが減り、この一年間はいっそうマックで仕事をする時間が長くなった。

プレイリストは毎月1日と16日に更新されるため、曲が入れ替わるたび新鮮な気持ちでコーヒーを飲んでいる。

そんななか、最近ハマった曲がある。

ビビッときた。「なんだこの心地良い曲は・・・」

マックで流れるのは、基本的に最近の曲であるはず。なのに、この曲にはどこか懐かしさがある。「Earth, Wind & Fire」のような何かを、あるいはその時代(1970-80年代)のアメリカの音楽を感じた。ミラーボールが輝くような。

「これ、本当に最近の曲なのか・・・?」

無性に気になった。マックではまた1時間以上待たないとこの曲を聴けない。もどかしい。何度も聴きたい。ぼくはこの曲名を探し求めることにした。

救世主カリモフさん

マクドナルドの公式サイトに、選曲リストは載っていない。

しかし、ぼくは知っているのである。

救世主カリモフさんの存在を。

カリモフさんはマックのプレイリストが更新されるたび、つまり2週間ごとに、noteで選曲リストをすべて紹介してくれる。

彼が何者なのか、ぼくは知らない。マクドナルドの中の人なのか、外部スタッフとして選曲を担当されている方なのか、ぼくにはわからないが、「どうしてこのnoteが全然注目されないのだ?」と疑問に思うくらい、ありがたい仕事をしてくださっている。

とにかくぼくは、お昼の時間帯の曲名を、YouTubeもしくはApple Musicで検索し、ひとつひとつ確かめていった。

この曲は違う、
これじゃない、
違う、
違う、
・・・これだ!

驚くべき事実

ついに見つけたその曲は、Flamingosisというユニットの「Cosmic Feeling」というものだった。どうやら2021年の新しい曲らしい。うーん、なのにこの「懐かしさ」はすごい。

このMVが、また最高だったのだ!もし時間があれば、一緒に音楽を聴いてみてほしい。

ぼくはこういうシティポップ感のある映像が大好きだ。音楽と映像が見事にマッチしている。

そして他の人の感想も知りたくなり、Twitterで曲名を検索していたら、ある方の投稿で、驚くべき事実を知った。

米国のフラミンゴーシス(Flamingosis)というソロユニットの新曲「Cosmic Feeling」(2021年)。1980年代テイストのアニメーション映像に、どこか聞き覚えのあるシティポップ風味のサウンド。これは、、、ナイトフライト「If You Want It」をモロ使いしているではないか。

米国マイアミ出身のソウルグループ、ナイトフライトのデビュー作『Niteflyte』(1979年)に収められている「If You Want It」は、1970年代ソウルミュージックのひとつの完成形だと思う。山下達郎「Sparkle」にも影響を与えたとか。

えー、オマージュだったのか、この曲は!

でも、だったらガッテンがいく。まさに70年代のソウルとかディスコミュージックのような印象を持ったから、それは間違いではなかったのだ。

そして「元ネタ」になったという、Niteflyteの「If You Want It」をYoutubeで聴いてみた。

これは、素晴らしい。。。

この宇宙船の操縦席のカバーイラストがまたぼくにはドツボなのだ。

さらに、実際に歌っている映像も見つけてしまった。

「そういうことか!」と思った。Flamingosisの「Cosmic Feeling」で後半に出てくるミラーボールや歌手たちの影の意味が、まさにこのオマージュだと理解できるのである。ぼくが伝えたかったのは、この両方の映像を観ての、リンクした感動である。

Niteflyteは、米・マイアミ出身のディスコ/ファンク/ソウル・グループ。サンディ・トレノとハワード・ジョンソンを中心に結成。1979年にセルフ・タイトル作『ナイトフライト』(邦題『夢のマイアミ・ナイト』)でアルバム・デビューし、シングル「イフ・ユー・ウォント・イット」が全米37位とヒットを記録。

この「If You Want It」以外に大きなヒットは生み出せておらず、世間では一発屋のように扱われているらしいが、ぼくにとってはこの一曲を生み出してくれた一点において十分素晴らしい。

マクドナルドで出会った一曲から、憧れの70年代のソウルミュージック、ディスコミュージックの時代への、何か素敵な旅を味わえた。カリモフさん、そして名曲を掘り起こしてくれたFlamingosisに感謝である。

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