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鹿児島の旅 【Day2】

水しぶきの上がる音で目覚めた。どうやら外は雨らしい。

当初の予定では今朝、フェリーで桜島へ渡り、海岸沿いをランニングしようと思っていた。が、雨なので素直に諦め、市内でのんびり過ごすことに決めた。

出発前に、昨日の鶴田さんからのお土産をつまむ。「かるかんを食べ比べてみてください」と、明石屋と蒸気屋という名店の品をいただいた。明石屋の方が創業安政元年という老舗で格調高い味がするのだが、個人的には皮がより柔らかめで餡も甘い、蒸気屋の味が好きだった。どちらもおいしいが。

ホテルから10分ほど歩き、市内中心部の繁華街「天文館」へ。バス乗り場前にクレープの自販機があり、珍しいので買ってみようとしたのだが、すべて売切になっていた。頑張ってほしい。

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その向かいには大型商業施設「センテラス天文館」が建設中だった。今春開業予定で、内部には図書館も併設されるらしい。市立図書館は鴨池という少し離れたところにあるので、この市街中心部に図書館ができたら便利だろう。

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「danken coffee」という電源・Wi-Fi・テーブル席ありの神カフェで朝ごはんを食べ、パソコンを開く。良くも悪くも、とくに急ぎの仕事はない。「旅行中も仕事をして旅費に回したい」という思いと、「せっかく現地にいるんだから旅行に集中したい。仕事はしたくない」という思いが交錯し、「何もせずにお金だけほしい」という廃人思考が形成されつつある。

ふと思い立って、鹿児島県庁に電話をかけた。

実は、明日長島町で会う予定のしんみはるなさんが、以前「鹿児島でテレワークをすると県から経費が助成されるそうですよ!」と教えてくれた。フリーランスは最大15万円まで助成されるそうだ。期間は1月18日から3月17日まで。

その詳細情報を聞きたくて担当課にかけたのだ。

「東京に住む中村と申します。テレワークの助成の件でお問い合わせしたのですが、担当の方にお繋ぎいただけますか?」

「あ、はい。私が担当しております」

「そうでしたか。実は今、鹿児島に来ておりまして」

「え」

「この件でいくつか教えていただきたいことがあるので、のちほど県庁の方に伺ってもよろしいでしょうか?」

「はい、13時以降でしたら大丈夫です」

ということで、黒豚しゃぶしゃぶ発祥の店「あぢもり」で黒豚ロースカツ定食を満喫したあと、車で県庁を訪ねた。立派な建物だ。

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地域政策課のオフィスを訪ね、先ほどお電話で話した職員の方とご対面。自分が助成対象となるかどうかの確認をし、必要書類の書き方などを教わった。

話をしていると、屋久島や指宿での「かごしまワーケーション」モニターツアーも、この方がご担当なのだとわかった。ぼくがそれに参加できるかどうかは抽選次第なのだが、

「あちらのツアーにも応募させていただきました」

と相手の目を見て伝えることが、まったくの無意味だとはぼくは思わない。自分が何者で、どんなことができるのかもお伝えした。重要なことはメールよりも電話、電話よりもこうして直接会って話した方がいい。

県庁を後にしながら、ぼくは5年前の、台湾でのことを思い出していた。

自転車で台湾一周の旅に出る直前、ぼくは台北にある「台湾観光協会」を飛び込みで訪問した。受付で事情を説明すると、副秘書長の王さんという、日本語の話せる方と面会できた。

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「台湾の魅力を日本に発信したいんです」

想いを伝えると、すぐに応援してくださることになった。

「中村さんのプロフィールと、コース日程を、LINEで送ってください。今日は金曜日でもう夕方ですから、今から社内連絡するよりも、私の個人Facebookで広めましょう。台湾全土にたくさんの友人がいますから、誰かサポートしてくれるかもしれません」

「ありがとうございます!」

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朝起きたらその投稿に「200いいね」ついていた。さすがの人脈だ。

「台湾観光局もすぐ近くにありますから、ぜひそこにも行ってください」

と、王さんは外まで出てきて、ぼくが次に向かうべき場所を教えてくれた。

そのまま台湾観光局に乗り込むと、「台湾一周サイクリングマップ」を制作された課長さんと話すことができた。

「何か困ったことがあったら、いつでもご連絡ください」

とそこでも応援していただけた。

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たとえ何のコネがなかったとしても、「鍵を握る人物」に対して自分がやりたいことを伝えるのは大切だ。気持ちが伝わって応援してもらえたら、そこから何かが起こるかもしれない。

*****

サッカーサークルの先輩であるゴンちゃんが鹿児島好きらしく、朝から色々とおすすめのお店を教えてくれる。お昼を食べた「あぢもり」もそうだし、県庁のあとに訪ねた「平田屋」も彼のおすすめからだった。

平田屋のメニューは「ぢゃんぼ餅10個 600円」の1種類のみ。シンプルの極み。

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「お店はいつからあるんですか?」と尋ねたら、「145年前」とさらりと言われた。ちなみに今から145年前の1877年は、西郷隆盛ら鹿児島の士族が反乱を起こす「西南の役」の年。その頃からずっと変わらない味を守り続けてきたそう。素朴で懐かしい味。

その近くにある「スターバックスコーヒー 鹿児島仙巌園店」も立ち寄った。1904年に建てられた明治の洋風木造建築は、島津家ゆかりの登録有形文化財。2階の窓からは桜島が見えた。

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夜は天文館の「魚人島じんべえ」というONE PIECEみたいな居酒屋で魚を堪能。刺身、さつま揚げ、水イカの唐揚げ、どれもおいしかったなあ。鹿児島はうまいものばかり。帰る頃には体重が何キロ増えているか。。。

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