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龍子記念館へ

今朝は大田区の「龍子記念館」へ行ってきました。

近代日本画の巨匠、川端龍子(1885-1966)の作品が展示されている記念館です。「龍子」とあるからぼくは最初女性だと勘違いしたのですが、読み方は「りゅうし」で、男性です。

この記念館は、彼の文化勲章受章と喜寿とを記念して、1963年に設立されました。龍子は画号で、「龍の落とし子(タツノオトシゴ)」をその名の由来としているそう。そのため、この記念館も上空から見ると「タツノオトシゴ」の形をしています。

タツノオトシゴの形をした龍子記念館

龍子記念館の向かいには、彼が亡くなるまで暮らしていた旧邸と、画室(アトリエ)があります。そして今年3月、これら3つの建物が国の登録有形文化財に登録されました。

さて、この龍子記念館、入場料はたったの200円(65歳以上は無料)なのに、のびのびと大画面の作品を楽しめる素敵な場所です。

現在は名作展「大画面の奔流 川端龍子の『会場芸術』再考」が開催されていました(6月9日まで)。朝イチで行ったら誰もおらず、貸切状態でした。

川端龍子は、若い頃は洋画を描いていました。しかし28歳のとき、渡米した際にボストン美術館で日本の古美術と出会い、それがきっかけで日本画に転向します。

彼は大型の作品を描き続けました。それゆえ彼の絵は「会場芸術」と批判されますが、彼は「芸術が民衆の芸術となればなるほど、会場芸術に進むことがむしろ当然である」と考え、亡くなるまで追求しました。

都内で開催される展覧会では、ここまで大きな絵を観ることはほとんどありません。だけどぼくはこういう大きな絵、迫力があって好きです。とくに人がいない開放的な空間で巨大なアートにふれられるのは、贅沢な体験だと思います。

今回の展示にも、素晴らしい大作がたくさんありました。水の描き方のうまさに舌を巻いた『海鵜』、能楽を題材にした躍動感溢れる『小鍛治』、川崎造船所の取材を元に不動明王のような職人の姿を描いた『海洋を制するもの』、地球儀と堂々とした姿が印象的な『越後(山本五十六元帥像)』、そして太平洋戦争の最も絶望的な時期に構想された『水雷神』など、見応えたっぷりでした。

『小鍛治』(以下3枚は公式サイトより引用)
『海洋を制するもの』
『水雷神』

記念館の向かいにある旧邸とアトリエは、普段は鍵がかかっていて、一般開放されていません。

しかし、毎日3回(10時、11時、14時から)だけ、ガイドツアーが無料で開催されていて、このときであれば旧邸とアトリエを見学することができます。これが非常におすすめです。

今日も10時から参加してきました。最初にあった龍子の家は、終戦直前の空爆で焼失してしまいました。今はその場所は池になっています。

その後、同じ敷地内に、新しい家を建てました。これが亡くなるまで暮らした旧邸です。竹が特徴的に使用されていました。

国宝『風神雷神図屏風』の作者・俵屋宗達が描いた襖絵の複製
杉板の天井が独特
様々なこだわりが

大型作品を下に置いたり立てかけたりする必要があったので、アトリエも巨大な空間でした。細部に様々なこだわりが隠されているので、説明を聴きながら見学するのは楽しいです。

大きなアトリエ
軒下天井は網代編み

大森や西馬込方面にお越しの際は、ぜひ立ち寄ってみてください。

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