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新たな旅は鹿児島から始まる

明日1月10日(月)から16日(日)まで、一週間鹿児島へ行く。

「なるべく仕事が入らなそうな期間ということで、たまたま1月10日が出発日になったのだけど、今になってこの日にちに「縁起の良さ」を感じている。というのも、5年前の1月10日からスタートしたのが、「東海道五十三次 600km徒歩の旅」だったからだ。ゴールまでにクラフトビールを53杯注ぐと決めて、「クラフトビール 東海道五十三注ぎ」という旅のタイトルにした。

当時はフリーランスになったばかりで、とにかく思い切った行動を起こそうと思い、自己投資でこの旅をした。ぼくは純粋に旅を楽しみ、その楽しさをお裾分けするつもりでブログやSNSで発信した。すると友人・知人を介して反響を呼び、ライターとしての知名度が上がり、のちの仕事につながっていった。「運気の上がる旅」でもあったのである。

5年間をひとつのスパンと考えると、2022年からは「第二フリーランス期」に入る。「第一フリーランス期」の門出が1月10日の東海道歩き旅から始まったのだとすれば、「第二フリーランス期」の門出は同じく1月10日の鹿児島の旅から始まるというわけだ。

昨年はまったく旅行ができず、首都圏から一度も出なかったことを思うと、なおさら意味合いの大きな旅である。東海道のときのようなチャレンジングな企画ではないけれど、旅の感覚を思い出せれば、まずは万々歳である。ここ数年、旅という旅をしていなかったから。

なぜ「鹿児島」へ行くのか?

さて、旅の行き先はどのように決まったか。これもまた、不思議な縁や偶然を感じている。

年末に「来年はもっと旅をして、文章を書きたいな」と思い立ち、「1月にどこかへ行こう」と検討を始めた。海外はまだタイミング的に難しいので、国内で。正直、今回の旅だけではなく、今年は毎月のように旅したいと思っている。だから、ひとつの旅でそんなに費用はかけられない。とくに飛行機代は、安いに越したことはない。

当初、「青森がいいな」と思った。先日テレビ番組で、津軽鉄道の「冬のストーブ列車」を観たばかりで、「これに乗ってみたい」と思ったから。けど、直前だからか飛行機がどうも高くて、往復で4万5000円くらいした。おそらく、もっと早くに飛行機を予約すればお得に買えるはずなので、また別の機会にと諦めた。そのほか、長崎や北海道の釧路なども検討したが、同様に飛行機がちょっと高かった。

そんななか、鹿児島の飛行機だけ、異様に安かった。ソラシドエアで、往復1万4480円。新幹線で京都へ行くよりも安い。羽田発のあらゆる地域へのフライトを調べたが、なぜか沖縄の次に遠いはずの鹿児島が、いちばん安い運賃という謎の現象が起きていた。これは「呼ばれている」ような気がする。

「流れ」に乗る感覚

もうひとつ、鹿児島に縁を感じる出来事があった。それは、12月23日にライター講座「ぶんしょう舎」のイベントに参加したときのこと。この日はライターのヨッピーさんのお話が聞ける会だったので、楽しみにしていた。早めに着いて、会場の入り口付近にいたとき、見知らぬ女性から「もしかして中村さんですか?」と聞かれた。「ぶんしょう舎のサイトでお顔の写真を見ていたのでわかりました! 中村さんのコースはもう受講生が満席だったので、別のコースで申し込みました」と言われた。

お名前を伺って彼女のTwitterを開くと、見覚えがあった。しんみはるなさん。「東京から鹿児島県長島町という島へ移住しました」というプロフィール文が印象的で、それまでフォローはしていなかったものの、過去に一度見たことをハッキリと記憶していた。この日は仕事の出張も兼ねて、イベントにやってきたのだそうだ。

なぜ彼女のプロフィール文が印象的だったかというと、ぼくがかつて自転車で18日間かけて、神奈川県から鹿児島県長島町を訪れたことがあったからだ。

2009年、大学3年生の夏休み。自転車で一ヶ月間の旅を計画し、鹿児島を目指した。長崎から島原を経由し、フェリーで天草諸島の北端へ。そして半日かけて天草諸島を南下し、再びフェリーで上陸したのが、鹿児島県の北西部にある長島町だったのだ。その日は長島町の旅館に泊まり、気持ちの良いお風呂に浸かった記憶がある。翌日は114kmを走り、鹿児島市内に到着した。

この旅の経験がなかったら、「東京から鹿児島県長島町という島へ移住しました」という一文を見ても、記憶には残らなかったかもしれない。だが、一度訪ねた土地のことは忘れないし、愛着がある。

それで、鹿児島行きのフライトを予約したその日、しんみさんに報告すると、「ぜひ会いましょう!」と言ってくださった。もともとレンタカーでどこかへ行くつもりだったし、鹿児島市内から2時間ドライブして長島町へ行ってみるのもおもしろそうだ、という気持ちになった。改めて地図で見ると、長島町はかなり大きな島で、ぼくが自転車で走って見た風景というのはごくごく一部だということがわかった。

さらに、長島へ行くと決めると、しんみさんのご友人が暮らす古民家に泊まらせていただけることにもなった。ありがたや。

実はこういうご縁がほかにもいくつかあって、すでに目に見えない「流れ」が生じている。旅では、直観を信じて流れに身を任せることが大切だ。余計な力を抜いて。ぼくは明日からの旅を通して、その感覚を思い出し、文章で発信していきたい。

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