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「韓国が3年間説明を拒否した」はウソ

対韓輸出規制に関し、フッ化水素流出疑惑について、または輸出管理改善点状況について韓国政府が日本政府から説明を求められていたにも関わらず、3年間拒否をした事が原因と言う人がいる。この点に関し、日韓両政府の主張を調べたみた。

【結論】

■ 3品目流出、輸出管理改善の説明要請は無かった
■ 日本側は韓国の不備の認識が有ったが、局長級の会議は開催されていないものの、大臣級、課長級の会議は開催され、そこでは不備の指摘は無かった。
■ 韓国側が拒否したと言う根拠も認められない。


【日本政府の主張】(経産省プレスリリース、大臣ツイート)
まず、根拠と思われる世耕氏のツイートを以下に記す。

7/3 ツイート
従来から韓国側の輸出管理(キャッチオール規制)に不十分な点があり、不適切事案も複数発生していたが、日韓の意見交換を通して韓国が制度の改善に取り組み制度を適切に運用していくとの信頼があったが、近年は日本からの申し入れにもかかわらず、十分な意見交換の機会がなくなっていた。

7/18 ツイート
しかし、日本の申入れにも関わらず、当局間の協議が開かれず、韓国側の制度・運用改善の確認が取れない状況が続き、その改善も見込まれないこと等から、今回安全保障を目的に輸出管理を適切に実施する観点から運用を見直すこととしました。

7/24 ツイート
昨年12月以前にも、日本の申し入れで一度合意した日程も含め、繰り返し韓国側事情で延期されており、日本は何度も開催要求してきた。

7/24 ツイート
会合の日程が延期された場合、延期した側が日程の再提案をするのが常識。

[3品目(フッ化水素)]
上記のツイートは3品目ではなくホワイト国除外に関するコメントと読める。その他に経産省のプレスリリース等を確認しても、フッ化水素等の3品目が流出した事に対する説明要請を行ったとする記載は無い。従って、韓国政府の主張を調べるまでもなく、冒頭の言説は根拠がない間違った情報と分かる。

尚、7/18のツイートの方は3品目なのか、ホワイト国除外なのか分かりづらく、このツイートだけでは3品目に関し全面的に韓国が日本の要請を拒否したと言う言説を否定は出来ないが、一方で今回の輸出管理見直しは韓国から第三国への不正輸出は想定していないとの日本政府の立場なので、やはり3品目流出疑惑に対し説明要請をしたとは考えられない。

[輸出管理改善]
このツイートには「輸出管理の不備を指摘し説明を要請した」と言う記載は無い。不備は有ったが、従来の話し合いで解決するシステムが機能しない状態になっていたと読める。また、申入れは協議開催の件であろうから、不備を指摘しようにもその場が無かった。即ち、不備の指摘はしていないと言う事になる。

[協議開催]
韓国側の都合で延期されたとは書いてあるが、拒否されたとは言っていない。

日本政府の主張をまとめると
[3品目]流出は無いので説明要請もしていない
[輸出管理改善]説明要請はしていない。不備を指摘する協議の場が開かれなかった為
[協議開催]韓国側の都合で延期されたが、明示的に拒否とは指摘していない


【韓国政府の主張】(通商産業資源省ブリーフィング、文大統領演説)
次に韓国側の主張を調べてみる。
まず、フッ化水素の流出について当該箇所を抜粋する。

[3品目]
・緊急調査を実施し、フッ化水素の輸入・加工・供給・輸出の流れ全般を点検した結果、日本から輸入されたフッ化水素が北朝鮮を含むUN決議の制裁対象国に流出されたいかなる証拠も発見されていない。
・もし提起している疑惑の根拠がある場合、日本はUN安保理決議国としての具体的な情報を、韓国を含む関係国と共有し、緊密に連携することが責任ある。

[輸出管理改善]
・これまで、日本を含めたどの国も韓国の輸出規制制度の信頼性に疑問を提起したことがありませんでした。
・『輸出物資に対する統制をもう少し強化する措置を取ってほしい』とか、『輸出物資がどのように実際使われているか、そのような内訳を知りたい』とか、『韓日間で疎通を強化しよう』というようなことを事前に要求することもなく、ある日突然輸出規制措置を取った」(11/19 文大統領)

[協議開催]
・3年間対話が無かった事はこれまでも有る
・3年間対話は無いが4年で2回であり、5年で2回の国も有る
・対話の対象となる会議体は両者協議会の他に国際的な輸出管理体制の会議、セミナー、経産省大臣と産業部長官会談等、様々な機会が有った
・出席者も局長級なのか課長級なのか不明
・次回の両者協議は3月以降に延期したいと申入れ、日本側も了承。主催者である日本の回答を待っていた。また、これまで両者協議を拒否遅延した事は無い。
・局長級の協議日程設定が困難なら課長級でどうかとの提案をしている(拒否していない)

韓国政府の主張をまとめると
[3品目]流出は無いので説明要請もない
[輸出管理改善]日本のみならず、どの国からも改善要求は無い
[協議開催]両者協議体(局長級)は開催できていないが、他の機会に大臣間、課長間等の対話の機会が有った(が、何の要請は無い)

【両国政府主張のまとめ】

■ 3品目流出、輸出管理改善の説明要請は無かった
■ 日本側は韓国の不備の認識が有ったが、局長級の会議は開催されていないものの、大臣級、課長級の会議は開催され、そこでは不備の指摘は無かった。
■ 韓国側が拒否したと言う根拠も認められない。


'20.01.12 追記
フッ化水素等の3品目に関し、日本政府が韓国側に何も伝えていなかった補足情報。

参院 小西議員
9/5 ツイート
私は経産省の担当課長ら責任者三名が(二度の面談と一度の電話で)繰り返した説明を述べただけだ。
「貿易管理の国際ルールは輸出者責任であり、一部の日本企業に不適切事案があったため個別許可に切り替えた。韓国側の責任問題ではない。事前に韓国側には連絡しなかった。」

韓国 通商産業資源省ブリーフィング
3品目の輸出規制強化については、日本側の事由が非常に抽象的であり、事前の合意なしに、わずか3日で電撃的に措置を取ったのは正当でない措置という点を集中的に提起しました。

'20.01.14 追記

韓国政府 根拠のないフッ化水素日主張を拡散する人に
日本は安全保障上の信頼性を打ち出しておきながら、フッ化水素の北朝鮮流出疑惑などについて具体的な根拠を一つも提示せずにいます。


以下、韓国政府資料
フッ化水素が韓国から流出していない事は、日韓両政府が認めている

韓国のホワイト国除外が不適当な理由 〜信頼関係・対話〜

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