四話目:御護守漆師


どこからか香ばしい甘い匂いがする。
風に乗ってやってきたのだろうか、一人がパタリと窓を閉めた。

ゆっくりとした足取りで人の輪の中に戻った彼はコップを持ち上げる。

「じゃぁ、俺もひとつ話そうかな」



四話目・御護守漆師:着信相手



友達から聞いた話なんだけど、嘘か本当かはわからないな。
そもそも飲みの席でのことだったからお酒も入ってるし・・まぁ、気楽に聞いてよ。

その友達っていうのが女の子なんだけど、彼氏作ってデートとかより友達で集まってワイワイお酒飲む方が好き、っていうタイプでさ
えっ…?いや、紹介はしないからね?うん。

そう、結構かわいい子なんだけど、仮にCちゃんとしようか、Cちゃんはそのまま彼氏作らず過ごすぞーって言ってたんだよね。
これもちょっと理由があって。彼女以前からストーカー被害にあってたみたいでさ。
無言電話、怪文書FAX、夜歩いてると人の気配がする、とかそういう感じだったらしい。
怖いよね。

だから、異性との出会いに気乗りしない、みたいなことらしかったんだけど。
ストーカー被害で結構消耗してもいたらしくて、見かねたその子の友達が、飲み会に呼んでくれたんだって。ワイワイ飲んで騒いでたら少しは気がまぎれるかなって、参加したらしいんだけど、そこで運命の出会いをしたんだ。

友達の友達、みたいな人も集まってた飲み会で、たまたま一人の男の人と意気投合した。

Cちゃんは映画観賞が好きなんだけど、結構コアな映画とかもみてるらしくて、そういう話が凄くよく合う人だったんだって、映画鑑賞、サッカー観戦、好きなお酒とか食べ物の好みまで似通ってて、もしかしたら、こういうのが運命の人なのかもって。

少し、出来すぎてると思うけど、確かに好みが似通ってると話は盛り上がるよね。

だから、Cちゃんは彼氏なんていらない、作らないって豪語してたけど、段々とその彼、Aさんにしようかな。に惹かれていったんだって。飲み会が解散したあと、もう少し話したいな、と思ってたCちゃんにAさんは送っていくよって声をかけた。

嬉しくて、帰り道並んで楽しくお喋りしてたんだって。
それで家の前まで送ってくれて。まぁ・・・若い男女二人だし、そういうことになるかなってCちゃんは思ってたらしいけど、予想外に彼はそのまま別れを告げて帰ろうとしたらしい。
なんて紳士的なんだろう、って感動したCちゃんは勇気をだして彼に連絡先を聞くことにしたんだって。彼は快諾してくれたみたい。

そこで電話番号を伝えて、Aさんにワンギリしてもらって電話帳登録しようって‥‥それで、電話鳴らしてもらったんだって。そうしたらCちゃんの画面には電話番号じゃなくて、文字が表示された。

【犯人?】って

・・・・これね。
Cちゃんがストーカー被害受けてるって話したでしょ?無言電話とか、そう。
それで、かかってきた番号をそのまま犯人?って名前で登録してたんだよね。
ということはつまり、ね?

話、合うはずだよね。だってAさんは、Cちゃんのこと何でも、知ってるんだもん。



はい!これで俺の怖い話はおしまい!

皆も変な人には気を付けようね。

どこかで聞いたようなこわいはなし、都市伝説を創作キャラに語らせるだけのノートです。自己満。