三話目:百地千弥音

遠くにサイレンの音が響く。パトカーだろうか。

気にする間もなく遠ざかっていった。


ソファに座りなおし、また一人口を開く。


「こわいはなし、おもしろいねぇ~。じゃぁこわい話じゃないんだけどね、わたしが前にみたへんな人の話もきいて!」


三話目・百地千弥音:黒づくめの女


あのねぇ、2週間くらい前なんだけど、わたしおでかけしててね

駅にいったの!え?え~っとね、ドーナツ屋さんのあるとこ。

ケーキのばいきんぐがあるからいってきたんだけどねぇ~、おいしかったよ!


・・・・・・・・。

へんな人?あ!そうなの、駅にねぇ~いたんだよ、へんな人!

駅のね、あんまりたくさん人がいない方のね、自転車がいっぱいとまってるところを

わたし歩いててね。そしたら向こうからおんなの人が歩いてきて~・・・

全身和白くんみたいにまっくろだったの!ね、すご~いと思って、帰ったら和白くんに教えてあげようと思ってて~・・・

でもその時わたし、なにかへんなの~って思ったの。

へん!!ってわかったんだけど何がへんなのかわからなくてね、ドーナツ屋さんに行ってドーナツおねがいして帰りながらかんがえてたらわかったの。

そのおんなの人ね、まっくろ~いワンピースきてて、長そででね、タイツはいてて、靴も真っ黒帽子も真っ黒だったの。それでねぇ~本当にへんなんだけど・・・

ワンピースも靴も、うしろ前ぎゃくにきてたんだよ!おかしいでしょ~


3人は顔を見合わせる。

その内一人が遠慮がちに手をあげ問いかけた。

「千弥音ちゃん、もしかしてなんだけど、その人ワンピースや靴じゃなくて


首が 後ろ前逆だったんじゃ、ないかな?」


彼女はきょとんと眼を丸くして、口元に手を当てた。

「え、えぇ~?・・・じゃぁもしかしてわたしの話、こわい話だった?」

その場の全員が頷くのを見て、彼女はころころと笑う。


「じゃぁわたしのこわい話はおしまい!つぎ話していいよ~!」

どこかで聞いたようなこわいはなし、都市伝説を創作キャラに語らせるだけのノートです。自己満。