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2018年7月レビュー

濃い1か月だった。普段持ち歩いているノートを読み返してみても、7月は「経営」というテーマを軸にしながら「経営者はどうあるべきか」「自分はどうあるべきか」という問いに向き合った時間が長かった気がする。こういった背伸びしたことを考えられる今の環境に感謝したい。6月に引き続き、社内経営陣との接点が多く、その経営スタイルの多様性からも、学ぶこと(含む反面教師)は多かった。

大分長くなってしまうけど、今月自分が立てた問とそれに対する仮説を以下に整理してみた。問への答えはあくまで仮説なので、周囲にこの考えをぶつけつつ、いわゆる古典的名著に書いてある”原理原則”と照らし合わせながら、核心に近付けていきたい。

【自分に問うたこと】

1.経営陣と末端社員間での理想のコミュニケーションの在り方とは:「会社の方向性に腹落ち感がない」「執行役員の考え方が伝わってこない」・・・自分の周りではよく聞く話。だけど、経営陣もそれなりに彼らが出来ることはやっており(ex. 直属の部下との対話、メディアインタビューを通じたメッセージ発信、社内メッセージ発信、社内会食・ランチ会、組合との労使懇談会 等)、「これ以上何をすればいいんだ?」という感覚になることもよく分かる。ドラッガー曰く、コミュニケーションの主役は、発信者ではなく受信者。受け手側も、理解する努力をする必要があるということ。また、人間的・感情的な繋がりを持つことも大事だと言っている。もう一つ、個人的には岡田武史さんが言うコミュニケーションの在り方に関する考えが好きだ。曰く、「ベチャクチャ話すことが大事なのではない。”存在を認めてあげる””気にしてあげる”。これが最も大事。」岡田さんと西野朗さんとの共通点は、選手とお酒を飲まないこと。でも、選手の家族の話や、選手が読んでいる本などをネタに監督から話を振っているとのこと。(実は裏で情報を得る努力をしている模様) 理想のコミュニケーションの在り方は、組織の状況によっても異なると思うので、一概にベストアンサーはないけど、大事なことは「双方相手にしっかり耳を傾け、考えを理解しようと努力すること」「経営側が組織の末端で起きていることを理解しようと努力すること」。この姿勢が大事だと思う。

2.本当に危機感を持てている人とそうでない人の違いは何か:「危機感を持て!」とはよくある話。でも、それを言っている本人すら本当に危機感を持てているのか分からない時もある。でも、何かの原動力になるものは危機感だと思うので、この必要性に疑問を持つ者はいないと思う。では、どうすれば本物の危機感を持てるようになるのか。今月ヒントになったのは、ある経営陣のコメント。彼曰く、「Knockdown Factorをいつも議論し、考えている」とのこと。つまり、「自分達の存在意義が無くなってしまう可能性があるとすれば、それは何が起きた時か。」を考えるということ。このFactorを想像出来る人はどういう人か。それは「世界最先端の動きを把握する努力が出来ている人」「世の真理や原理原則を理解し、その潮流から外れていることを察知出来る人」だと思う。もっと具体的に言うと、最先端の動きや真理、原理原則を知る為に、「人・本・現場から何か察し、深く考え、自分事として未来を憂える人」だと思う。

3.インターネット時代においても発生する情報格差は何か:情報は何でも手に入るこの時代。でも、”本当に重要な情報”は簡単に手に入らないということに最近気付いた。経営陣と話をしていても、「ここはオフレコね」という発言の中にこそ本音且つ極めて重要なメッセージが込められている。メディア記事においても、記事化出来ないことに、実は本質が込められていることもあるのではないか。また、非言語コミュニケーション(顔の表情、熱量など)から見えてくるものにも大事な情報が含まれている。その人が「本心/本気で言っていることなのか」は話し方を見れば分かる。ここから言えることは、Face to Faceがいかに大事か、ということだと思う。

4.最終的に結果を左右するものは何か:サッカーに例えれば、「後半35分から、それまで以上に走り続けられること。」だと思う。それまでの間に相手より走るのは当然のこと、油断せずに最後の詰めをどこまでやり切れるか。社会人2年目にお世話になった部長が言ってた「ひと手間、ひと押し、ひと工夫」というスローガンは、今思うととても大事なエッセンスが詰まったものだと思えてくる。ただ、ガムシャラに頑張れば良い訳ではない。本番当日をシミュレーションし、それに必要なこと全てを把握出来ているのかを自分に問うこと。最後の最後にインプットしたことが、本番に与える影響が大きかったことがこの一年で何度かあった。「もっと前から準備しておけよ」というツッコミもあると思うけど、直前の差し迫った時にしかシミュレーション出来ないこともあるのだと思う。

5.相手の「Yes」を得る上で自分に足りないことは何か:ある集大成の場に向けてチーム員と議論をしていて、「自分の発言が何か刺さっていないな・・・」と思うことが結構あった。自分は最初の”拡散役”という自負はあるけど、少し悔しい。議論中、「お前はピュアだな。」と言われることがある。議論中という文脈でいえば、「提案が直球過ぎる。もっと相手に納得してもらえるような戦略を立てろよ。」ということだと理解している。確かに自分は、人よりも本を読んでいる自負はあるが為に、その知識を相手にひけらかす癖がある。相手からすれば、いきなり理解出来るものでもなく、相手の思考回路や状況を想像し、それにあわせた言い方、相手を不愉快にさせない言い方に換えて発言しないと、知識は宝の持ち腐れになってしまう。ここは反省と学び。

6.これから大企業に求められることは何か:社員一人一人が「いま、この会社・部署で働く意義・意味・目的」を持てるようにすること。その為に部下や周囲と心を交わし合う対話が出来るマネジメントが必要。多くの大企業においては、人事ローテーションを前提とする人材配置が行われる。それにはメリット・デメリットがあると思うが、デメリットは、新たに着任したリーダーにその産業・分野への熱い想いが無い限りは、部下の共感を呼び込めるビジョンは見出せないことだと思う。実は、先行き不透明な現代社会においてこれは結構死活問題なのではないか、と思う。ある会社の人事責任者は、「社員が上からのアサインではなく、自分のチョイスで働ける会社にしたい」と言っていた。皆が好き勝手やっては組織の統制がとれないので簡単な話ではないけど、アサインとチョイスのバランスを取れる人事設計があり、自己対話や周囲との対話を通じて「いま、この会社・部署で働く意義・意味・目的」を皆が見出せる会社こそ、本当に強い会社になるのではないだろうか。

7.大企業における役割分担:ビジョンを経営者が立てる→ビジョンに近づける為の戦略を社長の部下(執行役員など)が立てる→戦略を確実に実行する為の戦術を現場の責任者(部長など)が立てる→戦術を確実に実行する為の日々のアクションや目標設定を末端社員が立てる。大きな括りの中では、こういうことなんだと思う。一方で、部長にビジョンや戦略が無くても良いのか、という点はそうではない。会社全体のビジョンや戦略にアラインする形で、自らが関わる産業・分野に置き換えて、独自のビジョンや戦略を立てる必要がある。実はこれが難易度が高く、簡単ではない。でもそれをやらずして、チームは一つになれない。

8.思想を実際に実行出来ている人の具体的アクションとは:戦略を語れても、具体的な戦術・アクションに込めていないと意味が無い。今般、企業も様々なストーリー動画を用いてPR活動をしている。中にはとても心打たれるCMもある。けど、社員がCMで語られているような思想で業務に取り掛かれているかは別。要すれば、中身が伴っていないと外見上のカッコよさは全く意味を持たなくなる。今の仕事でいえば、「業界の課題を見極めること」「課題の本質を見極めること」がよく語られるが、それを具体的にどう進めるかを経験で語れないと、全く説得力がない。教科書的な答えがある訳ではない(それがあれば誰でも出来ちゃう)が、自分なりのスタイル(視点の持ち方・マインド・アクション)を持つ為にも、早く多くの結果を出さないといけない。

考えているだけではダメ。この思想を自分なりに実行に移していきたい。さぁ、8月はこの1年の集大成。最後まで頑張ろう。

【今月読んだ本】


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