2019年10月振り返り

10月は、大仕事を終えた後の次の大仕事に向けた移行期間として、心の整理と小さな種を植えた時間だった。完成された立派な種ではないけど、良い水を撒いて立派な芽に出来るようにしっかりやっていきたい。今回の振り返りは、いつもより少し長め。

1.今月、自分を離さなかった問
(1)最高のパフォーマンスを出し続ける為にどう神経をマネージするか?
本当に神経を使うべき時に使えるように、頭・心・体の有り様をどうマネージするかという点。これは中々難しい。スポーツ選手が試合に向けて過ごす時間の使い方は参考になるけど、色々な出来事・トラブルや意見がある中で物事を前に進める仕事では、神経の使いどころをマネージするのは簡単ではない。パフォーマンスを最大化する為の工夫には色々あるけど、休息や癒しを設けたり、事前に想定出来る準備をしておいたり、自分なりのスタイルを追求するには、自分を知り、相手を知り、社会を知り、人間を知ること等の絶え間ない努力と経験を通じてしか培えないのだろう。今やっている自分なりの工夫は以下の通り、
【日々の工夫】
朝と夜に美しい音楽を聴いて世界の美しさを感じること。夜にハーブティー等を飲むこと(買っただけでまだ飲んでいないが)。朝に「今日誰を喜ばせたいか」を決めて通勤すること。夜に「今日の感謝」を振り返ること。
【週末の工夫】
芸術に触れて心の時間の流れを止めること。今後起こりえることを想定する準備時間を設け、何か起きた時に事の大小を見極める感覚を持つこと。誰にも頼まれていない仕事と機会を創出し、それを楽しめるようにすること。
(2)苦手で先延ばししたいこととどう向き合うか?
上記にも関連すること。神経を余計に使い過ぎると、本来自分がやりたくてやっていることでも、何か気持ちが高ぶらなくなることもある。北極星があって、素晴らしいプロジェクトだと自負出来ているのに、なんと淋しいことか、と自分でも思う。世界的デザイナーである佐藤オオキさんは著書の中で「モチベーションはコントロールするものではない」と言ってた。先日お会いした経営アドバイザーの方も、「モチベーションを問題にしてはいけない」と言っていた。とても興味深いテーマだと思ったので、そんな議論をある会食の場で参加者に問うたところ、様々な回答があった。人によっては、「モチベーションが下がることはない」と言う方もいれば、「自分とは別の心を持って周囲に向き合う、つまり幽体離脱(ある意味、“立場を演じる”ということか)させることでうまくマネージ出来ている」と言う方もいた。
「常にモチベーションが高い」とはどういうことなのだろうか。自分なりの仮説は、「誰よりもその先にある未来の可能性を信じられる状態にある」ということなのだと思う。これは、その領域において誰よりも真剣に、そして深く向き合ってきたからこそ達することが出来る無我夢中という境地なのだと思う。「想いはオーラになる」と言った人がいる。想いは、原体験だけでなく、相応の努力をした人にだけ与えられるギフトなんだと最近思っている。
【今の自分のモチベーション】
天国にいる祖父から見られて恥ずかしくない生き方をすること。祖母が喜んでくれる生き方をすること。社会の前進に貢献出来ていると自負出来るプロジェクトに関われていること。辛い時は未来の若者に残せる教訓をイメージすること。皆が家族に自慢出来るチームを創ること。
(3)優しさの中にある強さとは何なのか。自分に足りない強さをどう補うか。
「君は優しい男だ。でも優しさには強さが必要。」だと、同じ日に2人から言われた。(これは偶然ではない)過去には、「君はいざという時に人を解雇出来ない」と言われたこともあるが、言われていることは同じだ。自分に足りない“強さ”をどうすれば持つことが出来るのだろうか。「優しさと強さを兼ね備えた美しい生き方をしている人は誰か」とアンテナを張ってみて見つけたのは、世界的指揮者の小澤征爾さん、トップ女優の吉永小百合さん、国連難民高等弁務官だった緒方貞子さん。共通することは何だろうか。何よりも豊富な経験と、そこから得た強い信念、そして年老いても無我夢中な姿勢。優しさと強さのどちらが先に培われたのかは分からないけど、本当に強くないと真の優しさにはたどり着かないのだろう。そういう意味では、自分が持っているのかもしれない優しさは、真の優しさではなく、未だ弱さでしかない。強くなりたい。どうその力を養うのか。目の前のことに一生懸命取り組み、そこから生まれた困難を正面から受け止め続けるしかない。あとはちょっとした日々のチャンレジ。

2.受けた刺激
・上記問を持って過ごしていると、誰かに会う度に同じ質問をしてその理想を追い求めることが出来る。だから10月受けた刺激は、質問を投げた方々全員。素晴らしい回答を皆さん持ち合わせていて、とても勉強になった。
・天皇陛下の即位の礼が行われた。お言葉の中で、「象徴としての務めを果たす」というフレーズがあった。「人の発言の8割は立場が言わせている」と教えてくれた方がいたが、立場があるからこそ与えられるポジティブな面もあるな、と気付かされた。世の中はみんなが幾つかの立場を背負って生きている。そこには責任があり、それを全うしようとする姿にも美しさがある。そう思うと、”立場”というこれまで少々ネガティブに捉えていたことも何だか許せる気がしてくる。
反省
・計数面はやはり弱い。出来る人に頼りきりだった。完全に理解しきれていないことはしっかりと理解出来るようにしたい。
・庶務に雑さが目立った。神は細部に宿るというけど、当たり前のことを当たり前にやりなさいと、今一度自分に言いたい。

3.今改めて思うこと
・「生きる力」を養うことは、様々な関係性をデザインすることに他ならない。自分と他者との関係性、自分と自分の心の奥深くにあるものとの関係性、自分と仕事との関係性など様々。今たまたま飛行機でこれを書いているから思うことは、客室乗務員ってその姿に憧れて職に就いてもメンタル不安定な方がかなり多いらしいが、これが意味することは何なのだろうか。自分なりに解釈することは、仕事の内容以上に、上司・同僚との関係性が人の心に与えるインパクトが大きいということなのかもしれない。そういった環境や関係性とも向き合い、本来の自分の心に向き合いながら前に進むことは簡単ではなく、絶え間ない訓練が必要だ。
・一定の成果を正しいプロセスで上げた人に、発言の重みと力がある。誰かに責任をなすりつけたり、悪口を言ったり、正論を語るのは誰にでも出来る。でも、どんなことを言っても、結果が伴ってなければ誰もついてこない。勝てない将軍は変化の激しい戦国時代において全く価値がない。二宮尊徳は、「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」と言っていたけど、「正論なき成果は悪であり、成果なき正論は戯言である」と言い換えることも出来る。
・10月は巨大台風が関東を直撃した。スーパーやコンビニでは、東北震災依頼の買い占めのような様子だったこともあり、食料供給や電力などのライフラインの安定性がもたらしてくれる有難さを感じざるを得なかった。そこには、名もなき人の汗水があり、現代社会における個のアピール合戦とは真逆の後ろ姿に敬意を表したい。

4.今月どう在りたいか
また大仕事が始まる。この1年間積み上げてきたことを大きな成果として出す時期を迎えている。「誰よりもその先にある未来の可能性を信じられる状態になること」、その為に誰よりも能動的に調べ上げ、分かりやすく伝えることが今自分に出来ることだ。きっと心の葛藤もあるだろう。それでも逃げずに向き合い、最高の形で完遂出来るようにしたい。

5.一生忘れられないこと
祖母宅を訪問した際、たまたまラグビーワールドカップの日本対ウェールズの試合の日だった為、一緒にテレビ観戦していた。試合内容が素晴らしかったこともあるのだが、特に90歳にもなった祖母が食い入るように画面に釘付けになり、トライの瞬間には共に歓声を上げ拍手をする瞬間を共に出来たことは、とても幸せな気分だった。あまりにも豊かな時間だったこともあり、翌週も祖母宅に行って、今度は二人で南アフリカ戦を一緒にテレビ観戦した。祖母は、元々漢字パズルが好きで、よく新聞に掲載されているクイズをよく解いていた。ここ数年は、脳トレの本を使って同じことをしている訳だけど、きっと過去のパズルとの向き合い方とは違うのだと僕は思っている。所謂ボケとの闘いの中で記憶力を維持させることに彼女なりに向き合っているように感じる。その時間はどこか本能的に始まり、誰の目を気にすることもなく、独り言を言いながら真剣に解こうとする姿と後ろから見た時の小さな丸い背中に、何とも言い表せない美しさと儚さと応援したくなる気持ちが入り混じった情緒あふれる感覚になった。家を出て別れた後の後ろ髪をひかれる感覚は、僕が小学生の頃に祖父が駅の改札まで見送ってくれてホームが見える窓から僕が電車に乗る瞬間まで手を振って別れた後に、一人電車で涙していた頃を思い出させる。この“無償の愛”という無形資産が今の僕に生きる力を与えてくれる。

引越しが完了。約6年住んだ場所から離れたわけだが、心機一転、新たな気持ちで臨んでいきたい。

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