小説「うつ病障がい者社員の夢」
2015年の7月、とある墓地にある、1基の墓石の前で、手を合わせている1人の女性がいた。もう、かれこれ15分以上、目を閉じ、手を合わせ、何ごとか祈りを込めている。
細い木陰が墓地をやさしく覆い、風がそよぐたびに、心に涼しさを運んでくる。
故人への想いが、花の香りと共に、静かに漂っている。
やがて彼女はその目をゆっくりと開くと、
「もう、『あの日』から“1年と1日”・・・かあ・・・」
と呟いた。
目の前の墓石を穏やかな表情で、まだしばらく見つめていると、何かの思い出