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#128 松村 真宏著『実践仕掛学: 問題解決につながるアイデアのつくり方』

松村 真宏
実践仕掛学: 問題解決につながるアイデアのつくり方

仕掛けの魔法:あなたの行動を変える心理的なツール


私たちの日常生活には、多くの場面でさまざまな仕掛けが存在します。これらは、行動心理学の概念を基にしており、私たちが何か行動を起こすための「つかみどころのない何か」を提供します。では、仕掛けとは具体的に何を意味するのでしょうか?そして、私たちの行動にどのように影響を与えるのでしょうか?

仕掛けとは、行動を促すための心理的なツールの一つです。ナッジ(微妙な押し)と比較すると、「仕掛け」はより強い「したい」という欲求を引き出します。ナッジがそっと背中を押すことで行動を促すのに対し、仕掛けは「遊び心」と「状況設定」を駆使して、私たちをその行動へと駆り立てるのです。

このプロセスの鍵は、フィードバックとフィードフォワードにあります。フィードバックは五感を刺激し、直接的で理解しやすい反応をもたらします。しかし、その反応を引き出すためにはまず行動を起こさなければなりません。そこで登場するのがフィードフォワードで、これは過去の経験や記憶を利用して、何かが起こりそうだという期待を作り出すものです。

仕掛けが最大の効果を発揮するのは、過去の経験や体験に基づく遊び心と、その仕掛けを設置する状況の両方が同時に満たされたときです。つまり、私たちが仕掛けに反応しやすくなるのは、それが新しくもあり親しみやすい何かであるときなのです。

しかし、「仕掛けによってどれくらい行動が変われば成功なのか?」という問いに対する答えは簡単ではありません。成功の基準は仕掛けを設ける側が決定するもので、その基準を超えることができれば、それは成功とみなされます。重要なのは、仕掛けには「表の目的」と「裏の目的」という目的の二重性があるということです。これは、仕掛けられる側の目的と、仕掛ける側の目的が異なる場合があるということを意味します。

仕掛けはまた、公平性、誘引性、目的の二重性(FA D要件)を満たすものである必要がありますが、これに加えて新規性と親近性を兼ね備えることで、さらに人々の反応を引き出しやすくなります。そして最も重要なのは、仕掛けが私たちに「したい理由」を提供し、行動の優先順位を高めることです。優先順位が高まれば、さまざまな障害を乗り越えて行動に移すことが容易になるのです。

最後に、仕掛けは「ネタバレ推奨」ですが、その際に不快感を与えないことが重要です。仕掛けによって行動を促すプロセスは、人を動かすための奥深い心理学に基づいています。これらを理解することで、私たちはより良い選択をし、より充実した生活を送ることができるようになります。

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