一般質問を振り返る#02 〜①消防団と団員の処遇改善②子育て関連給付の所得制限〜
令和4年9月定例会
振り返りということで書き綴っていると、当時の思いや思考が思い出され、つい長くなってしまいます。会議録よりは見やすく分かりやすくなるよう努めているつもりですが、暇つぶしでも良いので読んでいただけたら幸いです。
①消防団体制と団員の処遇改善について
私も南房総市消防団員のひとりです。地元に戻ってからまもなく先輩の誘いで入団しました。南房総市消防団は旧町村をベースに7つの支団が設置され、各支団の下部に分団があり、各行政区を担当しています。私でいえば、第4支団(白浜)第3分団ということになります。
消防団の役割は皆様ご承知の通りです。火災だけでなく、先の房総半島台風でも様々活動されていました。
議員になったら市に対し問題提起したい、要望したいと思っていたことは色々あるわけですが、消防団の処遇改善もその一つです。この件で質問した背景には以下の問題認識がありました。
人口減少による慢性的な団員不足により、現役団員の負担が増加している
消防団員報酬が国の基準や他自治体水準に比べ、劣っている
地域防災力の維持のためにも、適切な体制を構築する必要がある
特に上記2点目の団員報酬については、国の検討会で議論され、消防庁長官より「報酬等の基準」が各自治体へ示されており、この通知の適用ができていない点を指摘しました。以下画像は当該通知の一部です(マーカーは私が引いたもの)
市長の冒頭答弁は以下の通りです。
これを受け、私からの再質問は以下の通りです。
市消防団条例に定数は1,052人とある。これは市の合併当初から変わっていない。人口減少下でこの定数の合理性も考える必要があるのでは?
以上のように、合併から16年間、定数は実質的に変わっていません。この間、市の人口は約4.4万人から約3.5万人へと2割ほど減少しました。さらに、消防団員として活動している主な年代、おおまかに20歳以上から50歳未満までの当市男性の人口は約3,900人ほどです(合併直前の平成17年(2005年)では約5,800人)。現在の定数を考えるとこれら年代の4人に一人は消防団員になって頂かないと定員を満たせない、そんな状況です。結局、定員を満たさんがための、本来の防災活動とは離れたところで、不要な労力がさかれています。
そのような状況であり、重ねて質問しました。
団員候補年代が3割強も減少して、総人口の減少率より高い
新しい団員が入らないため退団することもできず、分団等で役員を務めたあとも一般団員に戻って継続せざるを得ない状況になっている
団員が市外に転出しても欠員になってしまうので継続してもらっている
代わりが見つからず、訓練や点検に出づっぱりになる団員がいる
市職員も団員であるケースがほとんど、この状況は承知しているはず
再編について、組織検討委員会の検討状況はどうなっているか
当事者組織での検討がまとまらなければ議会で正式な答弁にはなりにくいのは致し方ないですが、このテーマを視ていることは伝わったと思います。
続いて2点目、団員の報酬改善についてです。これはつまりお金の話であり、リアルな部分でもあります。
現在、消防団員であることにより市から年額報酬が出ています。その額、46,000円/年(一般団員)で、国の基準額36,500円より多い。これは結構なことなので、継続されたい。
一方、出動手当は1,700円/回です。いざサイレンが鳴れば仕事場から飛び出してポンプ車に乗り込み、消火栓から水を出す、他の車両にも中継して消防署車両へ接続する、周辺の交通整理を行う、当然消火活動自体もあり、数時間から大きな火災なら半日以上の活動となります。
国が示した基準額は8,000円/日であり、報酬として考えるべきと指針がでている
市原市では活動時間が4時間未満は4,000円、それ以上は8,000円である
君津市も1,800円/回から、8,000円/回に改めている
財源として実績ベースで交付税措置すると国も示している
以上から、市の考えはどうか
やや暖簾に腕押し感はありますが、出ている言葉は前向きと受け止めることが出来たのはプラスです。ただ、時はコロナ禍でありました。各種会合が中止や延期されていた時期でもあり、やむを得ないところもあったと思います。実際、担当課の皆さんと対話していても、現状で良いとは誰も考えてないことは分かっています。着実に改善していただきたい、そう思います。
長くなって申し訳ないですが、安房市町の各消防団定数の人口比率を参考までにお示しします。
各自治体で地形やまちの構成が異なるので一概にはいえませんが、団員負担軽減、財政への影響を考えると取り組むべきところかと思います。
消防団員の皆さんは火災や災害対応において使命感をもって臨まれていますが、仕事をやって、消防をやって、青年もやって、地区作業もあります。そして、団員の多くが子育て世代ど真ん中でもあります。なかなかの負担だと思います。一方で消防団活動は地域交流の一面もあり、タテヨコの繋がりや結びつきにも良い点がたくさんあります。
当市消防団が今後も住民の皆さんや、これから移住しようとされている方にもポジティブな意味で捉えられ、団員にとってその活動がより一層意義のあるものとなるよう、市の取組みをお願いしこの質問は終えました。
②子育て関連給付の所得制限について
もはや枕詞にされる「少子化」ですが、当市における少子化は論をまたないところです。当市でも将来の地域の担い手である子供たち、また子育て世代について様々な支援策は取り組まれているところですが、引き続き重点的に注力頂きたい分野と思います。
もう出生率も低いし子供に投資しても意味ない、なんてことはないはずです。むしろ投資が足りなかったからこうなったとすら思います。
子育て関連給付は、保護者に一定以上の所得がある場合、支給が制限されるものがいくつかあります。児童手当などは典型です。これらの制度は市独自のものというよりは国で決められた制度を各自治体が事務しているということで、市でどうこうできないことが多いです。
ただ、国のルールでは適用されないゾーンを市が独自予算でカバーするというのは技術的には可能です。
むしろ、当市のような少子化が著しい地域こそ、「所得制限なし」と謳って支援事業を行うことの発信効果は大きいと考えます。率直に言えば、そもそも対象となる子供の絶対数が少ないのだから、予算規模も大きくならない。年々生まれる子が少なくなっているのだから、増加に転じるまではその予算規模も年々小さくなります(これでいいわけないのですが、転入以外で、突然5歳や8歳の子供はうまれないのですから)。でも、所得制限をなくしたと言えるなら、その「広告効果」は高いでしょう。
まずは市の現状を問いました。
所得制限を設けている子育て関連事業で、制限対象となっている世帯数および子供の人数はどのようになっているか
独自財源により制限撤廃やそれに代わる措置を実施している自治体もある。当市では子育て支援について、これまで以上に積極的な姿勢を明確に示す必要があるのではないか
たとえば、児童手当の所得制限の撤廃について市の考えはどうか
無論、一年で終わりとなる給付ではありません。その子が対象年齢から外れるまでは毎年継続的にかかるお金です。市が独自でやるにしても、その費用は考慮する必要があります。しかし、児童手当でいえば、市内で105人分だけ。金額にしても3歳以上なら1万円/月です。毎月100万円ちょっとです。年間で1200万円ちょっと。どうにかなりそうです。ちょっと負担すれば「南房総市は所得制限なし!」と言えるではないですか。
質問は続きます。
この制度には論理的な問題があると私は思っています。それはなぜか。
児童手当でいえば、この制度には論理的な欠陥がある
それは夫婦どちらか年収の高い方で判断されるからである
夫婦がともに年収600万円で合計1200万円である場合は、児童手当が支給され、父母どちらかで1200万円の場合は支給されない
一般的に、高収入の方は累進課税により納税額も多くなっている
結果として富の再分配が行われ、税負担の公平性は保たれているはず
しかしこの場合は、結果として、二重課税と同じである
これについて、市はどう認識しているか
職員も組織の一員です。ルールの逸脱はできない、私も分かってて尋ねています。この歪みを是正するには法改正が必要であり、国会で決めるべきことです。それに、「裕福な人は余裕があるのだからそれほど問題ではないのではないか」という意見もありました。ではなぜここでこのように問いかけたのか。
それは、これら手当や助成はあくまで子供たちの健やかな育成のためであって、支援されるべきは親ではなく子自身だからに他なりません。この視点を間違ったらいけないと思っています。その基本的な考え方を私としては表明したつもりだし、市への問いかけとしました。
皆さんはどのように考えますか。
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R6.1.30追記
消防団の処遇改善については、南房総市消防委員会でも議論され、大幅な改善につながりそうです。委員会から市長・議会へ答申がだされる見込みです。団の現状、団員の声を伝えることが出来たと思っています。まだ至らずな点ばかりですが、やりがいを感じます。
当時の議会だよりは以下のとおりです。
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