一般質問を振り返る#05 ~投票終了時間の繰上げについて~
令和5年6月定例会
今回は投票時間の繰上げについて質問しました。質問対象となるのは選挙管理委員会であり、質問の答弁者は選挙管理委員長となります。選挙管理委員会は市から独立した機関です。そのため、委員長を議場にお呼び立てしたかたちになります。委員長、ご出席いただきありがとうございました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。
「投票時間の繰上げについて」
現在、南房総市では投票日の最終締め切り時間は午後8時となっています。しかし、実は館山市では令和4年の参議院選挙から午後6時が締め切りとなり、以後の選挙(市長選や市議選も)は午後6時で終了しています。当日の開票を早めに始めることで有権者に結果を早くお知らせするため、選挙立会人の負担を軽減するため、動員されている市職員の負担や時間外労働時間を削減するため、そして当日の午後6時以降の投票率が低水準にとどまっていることなどを理由に早めたようです。
過去の南房総市内で行われた選挙の投票者の割合を調べました。平均して95%くらいの方が当日午後6時までに投票を終えられています。もちろん残りの5%も大切な票であることに変わりありません。しかし、これは館山でも似たような状況であったことは言うまでもありません。以下は当日の議会で私が配布した資料です。
期日前投票も定着しているし、そういう背景を考えれば妥当かなと思います。このテーマを取り上げたのは、率直にいえば、少子高齢化著しい過疎地にあって、杓子定規に投票時間を午後8時までとし、真夜中まで開票作業することが妥当なのか疑問に感じたからです。
高齢化率が日本の平均より更に高い当市において、「田舎の大企業」である市役所職員は現役世代で構成された貴重な組織です。65歳以下だけで構成される500人企業が他にあるでしょうか。当たり前ですが、選挙やその事務はもちろん大事です。しかし、今は昔よりやらなきゃいけないことが増えているのも事実です。まして、投票終了後は市内各所から夜の暗闇を開票作業に間に合うように富浦本所まで集合しなくてはいけません。もちろん、事故などもってのほかだし、急いては事を仕損じることもあってはいけない。
何でも余裕があったのは過去であり、限られた資源(ヒト、モノ、カネ)でやりくりしていかざるを得ないのは皆様ご承知の通りです。人手不足だと日本中が言っている中、何かの事業や事務を少し我慢して、他の事業に人的資本を投入する必要があるのではないでしょうか。
<質問>
当市と生活圏、経済圏をともにしている館山市での対応を踏まえると、当市でも投票締め切り時間の繰り上げ実施を考える余地はあると思うが、現在の選挙管理委員会の見解はどうか。
選挙管理委員長の初回答弁は以下の通り。
この回答は公職選挙法40条そのものなので、公式回答としてはそうなんでしょう。
では、投票率を向上させたいから、午前7時から早めて6時や5時から投票所を開設しようなんていう議論が過去あったでしょうか。聞いたことありません。締め切りの繰上げより現実味がないと思います。そもそも投票率は投票時間の長短のみで変わるものではありません。
今回の私の質問から遡ること8年前、2015年にも別の議員から同じ質問がされていました。その時も上記の公選法40条の条文内容を市は答弁しています。かつ、その時は「県内に事例がないため」とも。つまり時期尚早という回答でした。
さて、あれから8年も時が過ぎ、既に館山市では繰上げは実施されています。この前提をふまえ、質問を続けました。
<質問>
去る4月24日、県の熊谷知事は、午後8時となっている締め切り時間について、事務負担軽減や期日前投票制度の有用性の観点から、現在の制度が適切か議論した方が良い旨、報道陣に対しコメントしている。このコメントについてどのように受け止めているか。選挙管理委員会および選挙事務について職員を動員する市の見解をお尋ねする。
といった答弁がありました。私の解釈としては、選挙管理委員会としては「館山がやっているのでやってみてもいいかもしれない」、人を出す市役所としては「やれるならやってくれたほうがいい」と理解しました。あとは現在の南房総市内の投票状況が、繰上げを認める例外規定を満たすような解釈が出来るかどうかでしょう。冒頭でも記述したように生活圏、経済圏をともにする館山が実施しているのです。それだけで十分理由になりそうな気がします。
他地域ではどうなっているか。首都圏の状況を調べた結果
他地域では以下の通りでした。
〇茨城県 水戸市を含む県内96.7%の自治体で繰上げ実施
〇栃木県 91%の自治体で繰上げ実施
〇東京都、千葉県、埼玉県 数%の自治体で実施
〇神奈川県 0%
南関東は人口密集地であり夜間まで投票に来る方が多くいることもあるんだと思いますが、茨城や栃木の例をみますと、当市よりも人口が多いところは多数あります。繰り返しますが、館山でそうなんだから、に尽きます。質問を掘り下げます。
〈質問〉
改めて伺う。全国ベースで37%の自治体が繰上げを実施している状況は把握しているとのことだが、館山が繰上げを導入した理由には、期日前投票の定着と、午後6時以降の投票者数の減少だけでなく、管理者や立会人、また事務従事者の負担軽減も含まれる。当市でも全く同様だと思うが、繰上げするか否かの具体的な数値基準はあるか。また、ここまでの答弁で検討を重ねるとあるが、具体的にはどういうことか。
判断基準はまだないけど、出来ない、というのはいかがなものか。ただ、議論としてテーブルに乗せるということでありました。今日の質問が一つのきっかけになれば良いと思い、質問を通じてどう感じているか最後に尋ねました。
〈質問〉
今日の質問で、投票時間繰上げを具体的に議論していく端緒に就いた、と思う。書記長からも定例会で議論していくという考えが示された。改めて投票時間繰上げに関して、委員長の考えをお聞かせ願いたい。
以上のやりとりをして質問を終えました。余談ですが、議員として選挙管理委員会にお尋ねするのは何かこう、緊張があったんですけど、別にやましいことはないし、市政にかかわる質問をするのは議員の役割ですから、今後も市民の声だけでなく自身が思うところもしっかり問うていきたいと思います。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、当市の高齢化率が50%を超えるまであと数年と示されています。市内出生数が毎年100人を下回りはじめており社会の担い手が少なくなることは確実です。2020年の国勢調査結果からみても、15-64歳のいわゆる現役世代人口は2010年と比較して30%減、人数で6,000人以上減っている現状。国内でもこのような状況にある自治体を探す方が難しい。よそがやってるから、やってないから、という考えでなく、先んじてトライしていくことが大切です。何もやらないリスクの方が高いのではないでしょうか。
皆さんはどう思いますか。
終わりに
本定例会の議会だよりは以下の通りです。
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