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自分の人生をどんなNarrative物語でつづりたいですか?

それは充実して幸せですか。それとも不幸な物語でしょうか。
 
頭上の半分はずっしりと暗い雨雲がかぶり、もう半分は覚めるような青空と明るい日差しが家々や木々を照らしている。早朝の一瞬、束の間の太陽だ。一時間後には、またいつもの分厚い雲におおわれ、突然の土砂降りもやってくるのだろう。今月はあと何回、太陽をおがめるか。イギリスの初夏は素晴らしい晴天が続き、長くて寒くて暗い冬をPay backしてくれるはずだった。今年も夏はおあずけ、なんてみじめな気分だろう。それとも、この一瞬の日差しからの幸せを思いっきり吸収して、次の太陽の瞬間を心待ちにしようか。
 
私の友人が言った。人生をどうとらえるかは、自分の生活・人生の出来事をどんなNarrativeで語るかだと。その人は夫をつい最近、壮絶なガンで亡くし、二人の小さな子供がいる未亡人で喪にふせている。なんとか、Grievingの辛さにたえながらも、自分に起こった事、闘病生活や喪失感を文章におこし、物語を語って自分の人生の屈強から乗り越えようとしている。愛する人を亡くした絶望と死を見つめながらも、つかの間の幸せをも見逃さない輝きのある人だ。一方、友人に小さな双子と一人の娘がいる親がいる。彼女は双子を生んだことで、自分の日常生活が苦しいと愚痴り、いかにほかの人より不幸な人生かをはきだす。自分に呪いをかけている。とても、Negativeだ。客観的にみると、経済的に恵まれ、マイホームをもち、子育てに協力的な良きパートナーもいて幸せな家庭環境にみえるが、だ。
 
自分の人生をどんなNarrative物語でつづりたいですか?
 
最近、日本のインターネット上の記事はとても悲観的だ。もちろん、社会問題を扱っているのだから仕方ないし、実際の日本国内の日常感覚とはずれているのかもしれない。少子化・高齢化・異次元の円安によって国全体が貧乏になる。そのメッセージがエコチェンバーして、繰り返し襲ってくる。今朝、読んだ記事にこう書いてあって腑に落ちた。政府が子育ては大変だというメッセージを発信しすぎてるから、だれも子供を産みたくないと。もちろん、おひとり様でさえ生活が苦しいのに、1人産んでギリギリ生活なのに2人目なんて無理!という空気だ。もちろん、子供がいて人生が充実して、幸せだ、なんていう記事にはめったに出会わない。negativeな情報の方が人が聞きたがっているからだ。家族って、子育てってなんだろうって考えさせられる。日本の労働環境は過酷を極める(という世間のデフォルト、実際は世渡り上手で楽に仕事している人もいるかもしれない)。フルタイムで子育てや介護との両立なんでありえない。日本の家族生活はしんどくてあたりまえのものなのか。それとも、しんどいというのは自分達に言い聞かせている物語に過ぎないのか。
 
私には一人娘がいる。イギリスで家族から離れて出産し、四苦八苦でパートーナーと赤ん坊との孤立生活を乗り越え、途中からは地域の親のコミュニティに支えられここまできた。日本の子育て環境とは全然違って、恵まれているだろう。世間は子供には、やさしい。
 
最近見た映画、「ゴジラマイナスワン」は終戦直後のあれ野原での疑似家族を描いている。戦後のPTSDで自分はすでに死んでいると錯乱している主人公が、生にしがみつくことがテーマだった。そして、以前見た是枝監督の「万引き家族」・「そして父になる」を思い出した。彼らも疑似家族だが、なんとか幸せにやっている。彼らの生きざまと比べて、客観的に自分達の人生の出来事を眺めてみてはどうだろうか。

自分の人生をどんなNarrative物語でつづりたいですか?
それは充実して幸せですか。それとも不幸な物語でしょうか。
 
 
1) 今の日本に必要なのは「子育て支援」でなく「おひとりさま支援」だ…若者が子どもを欲しがらない本当の理由 子育て支援政策が「子育てはつらい」と刷り込んだ #プレジデントオンライン

2) Godzilla minus one:ゴジラマイナスワン(2023山崎貴)

3)Shoplifters:万引き家族( 2018是枝祐和)

 
4)Like father like son:そして父になる(2013是枝祐和)

 


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