やってしまった、話

やってしまった。そう思う瞬間はあるだろうか?僕はある。それも、今日。

大好きなティータイム。いつもなら好きな香りが広がる瞬間を心穏やかに楽しむ。しかし、この日は違った。
いつも通り入れようとしたが、手が震える。おかしい。
最後の一つしかないティーパックを取り、紐を外そうとした。

ただでさえ細い紐だ。力いっぱい引っ張ろうものなら切れるし、茶葉をぶちまける。慎重に。
そう考えるほどに手が震え、呼吸があがる。おかしい。なにかあったのだろうか?
心当たりはない。無心で外すことに集中する。まるで、新品の壊れ物を初めて触るかののように。
だが、もう少し、というところで紐が切れた。
この絶望感、伝わるだろうか?
どうなるかなんて、言わなくてもわかるだろう。

あえて続きを書く。

そのままシンクに吸い込まれていく。
やめろ、その先はダメだ!
咄嗟に手を伸ばすが、すり抜けるように落ちた。絶望だ。仕方なく手が震えた原因を探そうとしたら、足的にあった。

…お前か。

リモコンだ。
冷房を全開にしており、足の指で温度を下げていたのだ。集中しすぎて気づかなかった。

追伸:
いや、寒さは感じていたが、気にしなくて済むくらいに集中していたのだ。
毎日のようにお世話になっているのだから、せめて想いは伝えなければ、と。
残念ながら今回は届かなかったようだ。無念。

取り返しがつかないやつ

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