フリー客?

近年、色々な媒体(テレビ・ラジオ・新聞等)や会議や会話の中で耳にする「フリー客」について。

小生もガソリンスタンドを経営しており、その中で元売から来る文書や様々なカタログ等に、結構な頻度(ひんど)で出てくる「フリー客」なんですが「自由な客」でいいんでしょうか?
看板を見て自由に入ってきて給油して代金を支払ったら、後は関係ありませーん、私は自由なんだから、というような解釈で一見(いちげん)のお客様を「フリー客」と呼ぶとしたらいかがなものでしょうか。

日本には着物文化が根付いた古来より「袖(そで)振り合うも多生の縁」という諺(ことわざ)があります。
それは、人と人が擦れ違うとき、右側であれば右手を内側にはこび、袂(たもと)が擦(す)れたり絡(から)んだりしないように袖を振り合うも多生の縁だと教えます。 多生は多少ではなく「多生」なんです。
沢山の祖先がいて、ここに生まれ ここに住み この道を歩く。同じ事が擦れ違う人にも言えて、道で擦れ違うだけでも、遥か彼方からの すごい縁があるんだと、諺は教えてくれています。

袖を振り合うだけでも縁があることから、古来より一見のお客様のことを日本では「振り客」「振りのお客様」と呼んでいました。

外国の文化や言葉が入ってきて「振り」と「フリー」が似てて「フリー」の方が言いやすいからと使われ続け、いつの間にか「フリー客」になったようです。

しかし、全て縁(えにし)があって成り立っているとしたら、「フリー客」ではなく 日本人なら「振り客」という感覚を無くすべきはないと思います。 ただ、そのお客様と縁はありますが 絆を結ぶかどうかは、また別の
問題になります。 縁はあっても絆を結ぶのは、なかなか難しい事ですから

それでも、日本では一見のお客様は「振り客」「振りのお客様」という意識をもって、「ふり」と発音し「振り客」と明示することを勧めます。


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