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Apple Silicon MacでのRME Babyface FSの挙動 ミュージシャンの為のkextとDriverKit

年末に突然長年使っていたIntel MacのSSDが音もなく壊れた(可動部品などないので当たり前)。流石に買い時と思い、Apple Certified RefurbishedのMacbook Pro 16.2inch (2021)を購入。M1 Pro搭載なので初のApple Silicon機である。一般的にプロセスルールは小さければ小さいほど高性能になるというユーザーの間の暗黙の了解があり、3nm化したM3シリーズの登場をじっと待っていたのだが結局は爆熱な上にメモリの帯域幅が150GB/sと200GB/sあったM1/M2 Pro機に比べて妙な減少をすることになり、その上Pコア(Firestorm)の数はあまり増えずにEコア(Icestorm)のみが増加し、音楽アプリケーション側がうまいこと対応していないとM1 Pro / M2 Proに比べてM3 Proの方が性能が低下するなどと報告するYouTube動画なども上がっている。これはよろしくない。そもそも、円安が酷すぎて価格も高く借金トッシュは御免被りたい筆者にとってはM1 Pro機は結果的にいい買い物になったかもしれない。M4以降のApple Siliconと神田暴威氏などに期待したい。新円発行と共に日本の通貨発行権の自由が効かなくなる方が先かもしれないが…

話はそれたが、普段使っているAudio InterfaceであるRMEのBabyface Pro FSをそのままApple Silicon機移行後も使うが、レンダリングなどの高負荷をかけている最中にブライジングするとバックグラウンドで再生している音源がグリッチしたりスタッターを起こすので精神衛生上よろしくない。かつて似たようなトラブルが起きたのはWindows Vistaの頃にTexas Instruments社製のFirewire(WindowsではIEEE1394と呼んだ)コントローラーを使わないとFirewire接続のAudio Interfaceから出てくる音にビットクラッシャーがかかったようになりまともに使えなくなり、一度この症状が出たらWindowsを再起動するしかないといったものだった。これが筆者のAppleへのswitch(死語)を決断させることになるのだが…

macOS Venturaのドライバには2つの種類があるらしい。DriverKitとOS Xの頃からお馴染みのkext (カーネルエクステンション)だ。あまりちゃんと調べていないので技術的な詳細は省くが、DriverKitはユーザー空間などの保護された抽象レイヤーで動く"お行儀の良い子"で、kextはkernelなどの低水準レイヤーに近いところで動く"やんちゃ坊主"といったところか。kextはmacOSでは推奨されなくなった。Appleとしてはそのうち廃止したい魂胆なのだろう。

Userモード側でちゃんと動いてくれるのであればその方がユーザーとしても安心である。なのでDriverKitのRMEドライバをインストールすることにしたが、"お行儀が良い"が故なのか開発元のDriverKitドライバの開発ノウハウの無さからくる品質の不安定さ故なのかはわからないが、前述のトラブルが起こりとにかくこれでは音楽を作ったり聴いたりするのに都合が悪い。そこでkextドライバーに入れ替えることにした。


ユーザー登録などしなくてもDriverはダウンロードできるようになっているRME公式
https://www.rme-audio.de/downloads.html

方法は簡単でRMEの公式サイトかもしくは並行輸入などしていないお行儀のいいユーザーはSyntaxJapanからkextドライバーをダウンロードしてくるだけ…では動かない。System SettingsからPrivacy & Securityタブからkextドライバを承認…はできない。一度電源を切ってRecoveryOSを起動する必要がある。

RecoveryOSの起動自体は簡単で、TouchID兼電源ボタンを長押しすれば良い。その後設定マークのアイコンの方を選択し、RecoveryOSのメニューバーからSecurity Policyを変更する部分を探して押し、規定値ではFull SecurityとなっているところをReduced Securityに変更するだけでOK。あとは再起動し、通常起動したOSのSystem Settings -> Privacy & SecurityからRME Inc.製のkextの動作を許可してあげればいい。これで無事にVenturaでもkextドライバを作動させることができた。

その後、小一時間使っているが今のところ負荷をかけても問題がなく良好に動作している。お上(Apple社)が乱心を起こしてkextを切り捨て御免しない限り、城下町にもいっときの平和が続くことだと思う。オーディオインタフェースがうまく動かなくてお困りの場合は参考にしてほしい。

追記: 2024/01/05
RMEのユーザーフォーラムでもオーディオドロップアウトの件は取り沙汰されていて、Kext版のドライバを使ってUSB2.0ハブをかますと良いとある。
手元にあったUSB2.0ハブをかましてみたのでしばらくこれで使ってみようと思う。とりあえず数分使った感想としては、ブラウジングするなどするとプチノイズが入ったりする。Apple SiliconとRMEの相性はあまり良くないのかもしれない…

追記2: 2024/01/06
T2チップの頃からUSB2.0のオーディオインタフェースのグリッチがあるらしい。Apple謹製のUSBコントローラーの出来がよろしくないのが原因なので、Thunderbolt3対応ハブを買って無理やり解決する方法は筋が良さそう

https://cdm.link/2019/02/apple-2018-glitch/

追記3: 2024/01/06

Sonomaにすると解決するっぽい?!やってみるか
14.14.4なんてアップデート無いぞ…と思ったら10.14.4でした…節穴か
つまりMojave、これはやはりThunderbolt 3ハブを買うしか無いのだろうか…

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