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スマートSMEとサポーター制度について

吉田です。いかがお過ごしでしょうか。

2018年7月9日に「中小企業等経営強化法」の一部改正が施行され、中小企業の生産性向上に資するITツールを提供するITベンダー等を「情報処理支援機関」として認定する制度が創設されましたので、簡単にご紹介します。

1.前提:中業企業が目指すべき「スマートSME」

中小企業のIT導入を加速するためには、自社の経営に係る各プロセスを
単純に IT 化に置き換えるだけでなく、IT を経営に導入することにより収益を伸ばしている企業について「スマート SME(中小企業)」として、ビジョンを示し、導入の支援体制について検討を進め、環境を整備する必要がある。
出典)スマートSME(中小企業)研究会(第1回) 配布資料 資料2: 「スマートSME(中小企業)研究会」の設置について


「スマートSME」とは「IT導入が収益の増加に繋がっている中小企業」のことを指しています。SMEは「Small and Medium-sized Enterpris」の略語です。

2.IT補助金が抱える現状(GAP)

中小企業がIT導入の際、頼りになるのが「IT補助金の制度」。しかし以下の問題があるようです。

・ITツールの数が予想以上に多い。
・中小企業・中小企業支援者側から見て、どのITツールが、中小企業の生産性向上に効果があるか分からないとの声がある。
・セキュリティへの対応はまちまち。
・事業継続に係る情報(事業の終了を予定しているか否か、その場合のデータの取扱など)が開示されている場合はほとんどない。
・ベンダーとしても、中小企業が多い(8割超)。販路は脆弱(よくあるパターンとして、インターネット販売を行い、電話により相談対応)。

 出典)スマートSME(中小企業)研究会(第1回) 配布資料 資料5: 中小企業・小規模事業者のIT利用の状況及び課題について(第1回スマートSME(中小企業)研究会説明資料)

この問題をまとめると以下の2点が浮かび上がります。
・「変化スピードの早いITは、非IT業界人にはついていけない。
つまり「ようわからん」と匙投げ。でも私には異論があります。
中小企業に普及させるシステムは、「先端」を行くIT技術は少なく、逆に大企業への導入で十分試された「枯れた」技術が使われる事が多い、と専門家の私から見るとそう見えます。新しいのは「アイディア」であって「技術」ではない。この辺が切り分け出来ない方が多いようです。

・IT補助金のベンダーは中小企業が多く、営業するリソースも限りがある。
専門家であるITベンダーも余力が無く、特に営業力を上記研究会は指摘しています。これはファクトですね。IT補助金って額が小さく、1社毎に投下できるリソースも必然と手薄になるじゃないですか。流石にしんどいでしょう。

3.スマートSMEサポーターとは?

IT補助金で浮かび上がった問題への対策です。IT事業者(供給)と中小企業(発注)の間を取り持つ「ITの専門家」のことです。


IT補助金の供給側のリソース不足が問題視された以上、供給と受益側を取り持つコーディネーターが必要、とのことから「中小企業等経営強化法」及び「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の一部改正が施行されました。

・メリット
見込み客である中小企業(発注)に対しての自社製品の宣伝効果であったり、他のITベンダー(供給)と中小企業(発注)を取り持つコンサルティング機会の受注が挙げられます。

・スマートSMEサポーターになる条件
Ⅰ.法人
(個人事業主であっても可です)
Ⅱ.実績
過去3年の間に中小企業に対してシステム導入をしていること。もしくは過去10年に10社の中小企業に対してシステム導入実績があること
Ⅲ.気概
この条件は中小企業庁は明記していませんが、これが一番大事なのではないでしょうか。なぜなら資金力に限りがある中小企業ですから、ランニングコスト負担には限りがあります。大きなビジネスは期待できません。その状況下でも長く中小企業と付き合っていく覚悟が必要だからです。

以上です。2018年7月31日よりスマートSMEサポーターの募集が開始されました。日本各地で説明会も開催されているようです。いかがでしょうか?(https://smartsme.go.jp/eventinformation/)


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