パンピーが治安の悪い街でラッパーになった結果www 「治安の悪い街の普通の中学生 Vol.2」
改チャリヤンキー集団とすれ違う
中3のある日のお話。
部活をサボって家に帰ろうとしていた僕は、帰路の途中、改造チャリンコ十数台の集団とすれ違った。
パッと見、全員ヤンキー。
改造チャリンコは「まっすぐ走れんの?」ってくらい細くハンドルをしぼって、サドルをペタンコに下げていた。
「ジロリ」
すれ違いざまにめっちゃ睨まれる。
あわてて目を逸らす。
ビビって後ろをチラチラ見ながら小走りで家に帰った。
「あいつらが向かって行った方向って、うちの中学だよな…」
何か嫌な予感がする。
案の定その予感は現実になるのだった。
戦争になるからよ
「明日Y中学と戦争になるからよ」
翌日、喧嘩っぱやいで有名な同じバスケ部のヒガシが言った。
…?
ドユコト?
ヒガシの話では、その改造チャリンコの集団は、国道沿いの「UFO」ってゲーセンにたまってる、うちの中学の隣のY中学のヤンキーたちだった。
彼等はいきなり乗り込んできてこう言った。
「この中学のアタマ出せよ!」
「アタマ」とはもっと昔で言うところの番長の事だ。
対応したのはヒガシ。
ヒガシはY中のアタマにこう言ったらしい。
「ウチのアタマはヤグチってヤツだよ。こんな時間に来てもいねーよ。言っといてやるから、また明日来いよ。」
(ヤグチってのは前回のブログで出てきた隣の小学校の「やぐっちゃん」のことね)
「おう、わかったよ。明日来るから頭数用意しとけよ」
Y中のアタマはそう言って帰って行ったらしい。
Y中学は「T」という男をアタマとした統率のとれたまあまあのヤンキー中学だった。
事実、ゲーセンUFOでのトラブルもよく噂になっていた。
ヒガシにパンピー視点の率直な疑問を投げかけてみる。
「どうして喧嘩売られなきゃなんないの?なんかした?…あ!ゲーセンで誰かモメたの?」
「いや、奴ら近くの中学から順番に潰していくんだってよ。手始めに隣のウチの中学にきたみたい。」
いやいやいや。
スタンプラリーじゃないんだから。
理不尽すぎるやん。
そしてヒガシはこう言った。
「神田も今日、放課後残れよ」
「…?」
「え!?」
いやいやいや。
僕が昨日のあのヤンキー軍団と?
嫌すぎる。
嫌に決まってる。
「せ、戦力にならないよ。すぐやられちゃうよ。」
「ともかくよ、数揃えとかなきゃしゃーねーべよ。」
結果、放課後部活に入っているヤツだけで対応する事になった。
想像しても勝てるビジョンは見当たらない。
なんか、一人プロレスラーみないなヤツいた気がする。
ドンヨリした気持ちのまま放課後になった。
しかし結局その日、隣のY中のヤンキー軍団は現れなかった。
そしてその後、二度とウチの中学に現れる事はなかった。
「結局ビビったんだぜ!」
「不戦勝じゃね?」
皆そんなことを口々に言っていたが、
実際はホッとしていたと思う。
とはいえ不戦勝だろう、
という都合の良い結果で、Y中学との抗争は終わりを告げた。
後日談だが、僕は進学した高校でイマイちゃんてヤツと仲良くなったんだけど、イマイちゃんはY中学出身だった。
イマイちゃんにあの時の話をしてみた。
するとなんとイマイちゃんもあの軍団の中にいたらしい。
「どうして次の日来なかったの?」
僕が聞くと、イマイちゃんは恥ずかしそうに話し始めた。
実はチャリンコで乗り込んだのをたまたま見ていたウチの中学の先生が、前にY中に赴任していたらしく繋がっていて、Y中に電話したらしい。
イマイちゃん曰く、次の日朝学校に行ったら屈強な生活指導や体育の教師が待ち構えていて、全員コッテリしぼられたらしい。
「お前ら!いつも問題起こしやがって。また北中にいったら許さないからな!」
「はいぃ〜…」
これが真相ってワケ。
イマイちゃんは僕に言った。
「神田あの時はごめん…若気の至りで。」
若気の至りってイマイちゃん…まだ僕たち十代じゃん。
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