パンピーが治安の悪い街でラッパーになった結果www 「治安の悪い街の普通の中学生 Vol.1」

隣町からの転校生

「証言」を教えてくれたスケーターの友達は、タド(田戸岡って名字)って言うんだけど、そいつは隣町から、確か小6の途中でうちの小学校に転校してきた。

タドのおかげでその後人生が変わったといってもいい。それくらい影響力のでかいヤツだった。

ある日のこと。
隣のクラスに転校生が来るらしいよ、ってんで皆で見に行ったら、
そこには茶髪でダボダボのズボン、オーバーサイズのフーディを着た大人みたいな小学生がいた。

それがタドだった。

タドの登場にによって、サッカージャージとか、ヘインズのTシャツを着てた「田舎の小学生」だった俺たちにレボリューションが起こる。

タドはあっという間に小学校の中心になった。

タドのレクチャーで、日曜日は町田のジーンズショップ「マルカワ」に皆で買い物に出かける。

当時町田に複数店あって、町田の象徴とも言われていたマルカワ。
今もなのかな？マルカワって1000円とかでフーディーとかジーンズが売ってるんだよね。（ユニクロのはしり？）
オーバーサイズでゲトって、ヤンキー気取って腰履きで次の日学校に着て行った。

マルカワのジーパン屋って感じの匂い、好きだったなあ。

ローラーブレードにハマってた俺たちにスケボーを勧めたのもタド。
親父が吸ってた煙草をくすねてきたり、初めてピアスを開けたのもタド。
「エロい」って事は恥ずかしい事じゃないんだって教えてくれたのもタド。

タドが転校してきて、オレたちの生活は劇的に変わったってワケ。

そしてもう一人忘れちゃいけないのが、隣の小学校の番長「やぐっちゃん」。
背が高くて、お洒落でイケメンで、めちゃめちゃ喧嘩も強かった。

小6の終わり頃になると、そのやぐっちゃんがいた隣の小学校ともつるみはじめて、だんだんと皆がヤンチャになっていく。
いや、正確にはヤンキーに憧れたって感じかな。

隣の小学校の奴らも同じ中学校に進学する。
入る前から知った顔がいるのはなんだか嬉しかった。

勉強を完全にドロップアウトした俺は、たまり場に足しげく顔をだした。

5時のチャイムが鳴っても家に帰らず、皆でただダベる。
「なんか悪い事してる」って感じが格好良く感じた。

きっと思春期(まだ早いか？)なんて皆そんな感じじゃないのかな？

まあ、そのグループの1人といさかいになって、喧嘩で負けて、途中でたまり場から少し足が遠のいちゃうんだけどね。

それも甘酸っぱい青春。

パンチよりドレッドに憧れた

この街では、中学に入るとイケてるヤツはヤンキーになるってのが既定路線で。事実、入学した時、思わずポロっと呟いてしまった。

「…漫画かよ」

荒廃した校内にはビーバップよろしく、短ランボンタンの先輩たちがたくさんいた。

「あの先輩には近づかないほうがいい」
「あの先輩は10対1で喧嘩に勝ったらしい」
「あの先輩はヤ◯ザと繋がっているらしい」

都市伝説じみた噂が広がる。

小学校あがりの僕たちにとって、3年生のヤンキーの先輩は死ぬほどおそろしい存在だった。

そんな時、たまたま金曜ロードショーで「ゴーストバスターズ」がやっていて、影響された僕は「不良バスターズ」をクラスの奴らをまきこんで結成する。
こーゆーわけわかんない軍団作るの好きなんだよね。昔から。

不良バスターズの活動内容は、名目上は「ヤンキーを成敗する！」だったが、実際は「ただヤンキーのたまり場に行く」それだけ。
人のいない校舎のトイレ、屋上、体育館裏…
いない時間を狙っていくからまあまあ安全だと思うんだけど、これが超スリリング。

だって見つかったら確実にボコにされるから。

隠してあった煙草を捨てたり、エロ本を奪取したり。
例えるなら動物園のライオンの檻に入るような…この謎のゲームに一時期メチャクチャハマった。

まあ、屋上で運悪く先輩に遭遇して、バッチリシメられてこの企画は終わりを告げることになるんだけどね。

そんな荒廃した学校だったのに、卒業時にヤンキーがいなかったのは、やっぱりタドとやぐっちゃんの存在がでかかったんだと思う。
パンチパーマよりドレッドヘアーに憧れた中学生なんて、当時地元じゃうちの中学だけだったんじゃないかな？

隣町からきたイケてる小学生と、隣の小学校の番長は学校の歴史も変えてしまった…
ってのはちょっとカッコ良すぎか笑

でも、もちろん周りの中学は違った。
HIP HOPにハマろうとしてた俺たちにも、血気盛んな中坊の世界でのトラブルは山ほどあったんだ。

次回から数回にわたってそんな話をしようかな
、と思います。