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地方で展開する事業多角化の考え方

皆さま、こんにちは。よーそろ代表の井上明です。

2011年から江戸時代の船宿をリノベーションしカフェを開業したのち、様々な事業展開をしてきました。当然私にはできない技術、感性を持った仲間がいないとできていないわけなのですが、ただ単に広げたわけではなく、必要に応じて多角化していき今に至ります。
今日はどのような考えの中で決断し実行してきたかについてお話していきたいと思います。

屏風は広げ過ぎると倒れる

屏風は広げ過ぎると倒れる…とサラリーマン時代、宮崎にいるときに大変お世話になった不動産・建築業を営む会社の社長に気をつけなさいとよくよく教わった言葉。

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今まで御手洗地区で7つの空き家を改修し、小さいながらもチャレンジしつくった事業は30個近くになりますが、そう考えるとすでに広げすぎで倒れそう…となりますが、その言葉を実はいつもいつも大事にしながら事業づくりに励んでおるのでございます。うちのような弱小企業はふっと吹きかける息で倒れそうですが(笑)

ではなぜ多角化してきたのでしょうか?

それは、既存事業のロスをなくし機会を広げるためです。

広げるときに考える第一の考え

今これが流行っているから新しい事業に取り組め――っ!と屏風をバサッと広げるのではなくて、既存事業で広いた屏風にどんな支えをつくり強固にしていくかが第一の考えです。

事業を進めていくと様々な課題にぶち当たります。これはやってみてはじめてわかることなのですが、私の2号店のギャラリー”薩摩藩船宿跡脇屋”を開いた理由は(現在は休館中。新たなチャレンジ人募集)、1号店の船宿カフェ若長がものを置くスペースがほとんどないほど狭く、ものを置く広さの場所が必要だったから、また、いちいち呉市内から原付で通っていた私の時間的ロスを減らしたかったからでした。

その第一の考えを念頭に置きつつ、当然修繕費や維持費がかかるので、それらをペイできる継続的な進め方をすることが第二の考え方です。

その二つを頭のテーブルに置いておきながら、ふと出会った物件が脇屋邸でした。

続けていくための第二の考えは事業化すること

御手洗は幕末薩摩藩との密貿易の場所であり、実は幕末史では欠くことのできない物語を秘めているのですが、現存する江戸時代のお茶屋”若胡子屋”や薩摩藩士の古いお墓と共に整備しなければいけない場所であり、その建物が長らく空き家になっているという問題。そして湿気も多く荷物もそのまま、壁も崩れて雨漏れもする状態。がしかし、お風呂とトイレがそのままで使えるほどきれいである強みを持っていました。

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そして、カフェをつくってからマスコミをはじめ多くのメディアに取り上げて頂いたおかげか、若い年齢層のお客さんが増え、海産物やマーマレード以外の新たなお土産物のニーズを感じていました。

それらから作家さんにここにしかない作品を作ってもらったり、まちの文化、歴史に関連するものを商品化したここにしかないものをメインに置くギャラリーとして事業化することで第二の考えをクリアしようとします。
またそうすることでアップデートする循環が生れます。

元々カフェをしたくて始めたものではなく、御手洗にある風景、文化、暮らしを知り、伝え残したい思いの中での手段としての事業づくりでした。
その思いに共感してくださり、かつ家の形だけではなく、屋号や物語など御手洗の文化を残したいという思いをもつ所有者さんだからこそ実現する空き家活用へ進んでいきました。

現在の薩摩藩船宿跡脇屋は当分いい活用ができておらずで反省・・

3つ以上の理由があっての事業展開

そして、3つ目のお店”鍋焼きうどん尾収屋”、移住のためのお試し商いと物産館・まちの団体の事務局といくつかの機能を持たせるために整備した4つ目のお店”潮待ち館”。1号店カフェ若長の厨房が狭いために提供できなかった気軽なランチメニューの支えとしての鍋焼きうどん店開業、既存のお店やまちづくり活動を面で捉えサービスを強化してくための潮待ち館の展開へと広がったのでした。

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それらの4店と他店や文化施設への滞在時間増や波及効果、更なる魅力を味わって頂くための宿事業だったり、新たな仕事を生み出し町を魅力的につくっていく移住者の住まいとしてのシェアハウスなど、すべてが関連づいて進んでいきました。

当然他にも事業をつくって広げていく理由はいくつかあったのですが、先に書いたようにまず第一の考え「既存のロス軽減と課題克服」を踏まえつつ、第二の考え「お客さんのニーズに応えていく事業化」も抑えていきます。それだけでも手堅いのですが、所有者さんのニーズがあったり、「この通りがお店が一軒もないのはさみしい」という近所のニーズだったり、「こんな文化、物語、産品があるのに伝えられていない」、「御手洗で自分の表現、仕事をつくってみたい」など、だいたい3つ以上の事業化し店づくりをする理由があってこそのアクションです。

堅実だけだとつまらないが...歪な屏風をつくりたい

ただこれだけでは面としての魅力は全体的に上がるものの、突出したキラーコンテンツにはなりません。

なので、一組限定宿の閑月庵新豊や加工場での商品づくりなど、今までになかったようなニーズに寄り添う事業創造だけでなく、今までなかった新たな需要を刺激するようなちょっと離れた潜在ニーズに触れる事業づくりが必要です。

sintoyo内観

そんなに多くの人の要望にはかなえられずとも確実にわかる人にはわかるようなサービス、ものづくりへの挑戦です。それがまたまちの多様化を生み、今までの価値をより引き上げることに繋がると考えています。

倒れないように広げて固めてを繰り返してきたからこそ、屏風も今までとは違う方向に広げることができるといいますか。

ギザギザの綺麗な屏風の形ではなく WWWW (←屏風の形)、横方向にも縦方向、斜め方向にも足があるような歪な屏風をつくろうとしています。
急に訪れる変化にも倒れないために。や、そもそも倒れたことがわからない上も下もない全方向倒立型の屏風っていいな(笑)


スタートアップのようにドッカーンと既存のものを一新するようなイノベーションに憧れもあります。が私が目指しているものはそこではなく。続いているものを大切にしながらも変化に対応すべく新しいものを取り入れ、いかに長く続けていけるかを大事にしています。古きを知り新しきも知る…その循環により先の未来を想像したい。

そしてそれには当然終わりがあり、次のバトンをちゃんと渡すために大切なのものを守りながら連続性の中にある変わっていく過程を伝えていけたらと思っています。

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それが私がイメージする屏風の広げ方と事業展開の考え方です。

ある意味とても自分勝手かもしれませんが、役目を終え、引き継いだ時に善し悪しがわかるように思います。

そろそろ枠に収まらないより大胆なアクションも起こさねば。

最後まで見て頂きありがとうございます。
とにかく動いて参ります。



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