何もしらない初対面の人にアドバイスはやめたほうがいい

ある日突然、昔の会社の先輩に人を紹介された。
紹介、と言っても久しぶりに飲みにいったら、その場にいた。みたいな感じだ。「この辺の近所に住んでるんですよ」くらいな薄い事前情報だったので、正直会うまで学生なのか、社会人なのかニートなのかさえ分からなかった。

2時間くらい一緒に飲んでわかったのは私より4つくらい上で、私とは違うキャリアと、得意分野を持った同業者。指向性は違うが、私が新卒で入ってやめた会社に、フリーランスとして所属、何年間か仕事をもらっていたという感じらしい。なんだかわからないが、彼の熱い仕事論とかを聞かされた。全く話に共感ができなかったのだけれど、私にとっては『クソつまらない、なぜこんな仕事をやりたいと思う人間がいるんだ?』と長年思っていた仕事を楽しんでできる人なんだ、と分かってすごく勉強になった。

が、3時間くらいたつと、彼も酔いが回ってきたのだろう、なぜか大上段に説教を始めだした。「あなたたちみたいな組織に甘えた人間を見るとさ、つい言いたくなるんすよ」とフリーランスで働く俺だからわかる組織で働く人間の甘さを指摘されたのだ。

私は、フリーランス的な働き方もしつつ、組織にも属している(自分で営業して見つけた会社の仕事はフリー扱いで入っている)。めんどくさかったし、深掘りもされたくなかったし、初対面の人に私の生き方をジャッジされたくもなかったので、いわなかったが。
「何当たり前のこと言ってるんだ」という気持ちと「だからお前は少額の仕事しか回せないんだよ」という気持ちについなってしまった。いや、よくその人のことは知らないけど、「年下(=業界歴が短い)」というだけで、自分より未熟、視野が狭いと決めつけて、大上段に説教するのはどうかなと思ってイライラしてしまった。頭では「なんか可哀想だからちゃんと受け入れてあげなきゃ」と思ってたのに。

私は、自分の経歴を自慢できるタイプでもなければ、そんな自慢できるような華やかな経歴の持ち主でもない。その場でも、「すごいですね」とか「いやー私にはそこまでは分かんないです」と、その人の意見を素直に受け入れた。(否定も肯定もできるほど知らないことは素直に受け入れるのが一番)
だから、彼から見れば、私は華やかさのかけるつまらない仕事を、ちまちまやってる地味な女性に見えただろう(悲しいかな、否定できるものでもないし)。それこそ誇りや矜持を何ら持たず。彼にしてみれば、私は俺が教えてあげられる、格好な後輩ってわけだ。

勝手な推測だが、彼はおそらく自分に自信がない人なのだろう。だからこそ、私のような明らかに自分より目下の人間にマウントして自分を高めようとしてしまうのだと思う。

言っておくが、自分に自信がないから、能力がないとは全く思わない。
目指す目標が高すぎるからこそ、自分に自信を持てないタイプはいっぱいいる。東大生が「世界には自分より優秀な人間はいっぱいいる」と卑屈になるっていうのは、別に珍しい話でも何でもないだろう。(ただ、少なくとも、評価基準が一面的で、「才能があるか、ないか」でしか人をジャッジできないから、話のつまらない人だなとは思ったが。)

面と向かって、対抗意識を燃やすのも、本気出して相手を論破するのも興ざめだし、大人げない。
何よりも、私は自分の行動や人生、仕事に誇りを持っているし、それをできる環境も自ら構築しつつあると、自負を持っている。という、誇らしい思いを、「こんなつまんねえ仕事俺はやりたくねえ、やれる場を作るんだ」と、現状にくすぶってる人に向かって、いくらなんでも可哀想だから言わなかった。(そして下手にいうと「まあ、今はさ、そう満足できるかもしんないけどさっ」って揚げ足を取られるのも、また目に見えている)
だから黙って素直に、彼の溜め込んだ思いを聞いていてあげていた。
とはいえ、やっぱり見ず知らずの人に、薄っぺらい説教させるをとやかく言われる筋合いはまったくないなと思う。

実際になにか、ともにプロジェクトをした上で、思ったこと感じたことを率直に言うことはどんなものでも、一定の意味があるだろう。だが、2,3時間酒を飲んだだけで、「お、こいつには俺の経験がきっと役に立つぞ」なんて思って、説教垂れるのはみっともないから本当にやめたほうがいい。

本当にものすごい実績を積んでいても、酒の席ではひどいポンコツなんていくらでもいるだろうし。

いろいろ書いてて思ったけど、私キャバ嬢みたいなことしてあげてたんだな。ぱぷりこさんの妖怪男ウォッチで、こういう男いたよね?いたよね?

↑ウォルトDis芸男―「お前って本当にバカだよなー(笑)」的なものに通じる何かが頭をチラチラしました。

この第1話に出てくるような男性が近いんだろうなと私は思っております。

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