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趣味でWebサービス作ったと思ったら、時が10年過ぎてた話

本日、2019年9月24日で、私がTogetter(トゥギャッター)というサービスを作って丸10年になります。キリも良いし、私もnoteに何か書いてみたいと思っていたので、サービスの歴史などを書いていこうと思います。

トゥギャッター誕生

Togetterというサービスは、名前からも想像できると思いますが、Twitter関連のサービスで、誰でも自由にツイートをまとめることができるサービスです。2009年当時の私は、個人の趣味でいろいろなWebサービスやアプリを開発して、リリースしては潰すということを繰り返してて、大体の作っているサービスの名称はダジャレで考えていたので、Togetter(トゥギャッター)も、ツイートをトゥギャザーする(一緒にする)という想いを込めて、Twitter+Together=Togetter という形で安易に決まりました。まさか、このダジャレで考えたサービスに10年間フルコミットすることになるとは思ってなかったし、会社になったり、人を採用することになるとは・・・。

当時、ヤフーのエンジニアとして働いていた時に、HACKランチと呼ばれる有志で開催されてた社内イベントで、個人的に参加した「天下一カウボーイ大会」というテック系のイベントのレポートをプレゼンしてほしいと言われ、その時に作ったプレゼンテーションツールが原型になっている。

そのイベントは、2009年当時では珍しくハッシュタグが決まっていたり、会場のスクリーンにハッシュタグのツイートがリアルタイムに流れてくるなど、Twitterをとても上手く活用しており、関連するツイートが大量に流れていました。

プレゼン資料を作らなくても、これらのツイートを上手いこと組み合わせすれば資料の代わりになるだろうと考え、何を血迷ったのか、仕事から帰ると資料も作らず、TwitterのAPIを利用してツイートを取得して、ドラッグ&ドロップでツイートを並び替え、1クリックすればスライドショーになるというツールを作りました。

当日、社内でこのツールを使ってプレゼンをしたところ、内容以上にツールの反応が良く、その場で使いたいという声を多くいただけたので、ツイートを簡単に集めて、共有できるツールとしてリリースしました。

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当時のデザイン、ダサい(シェアボタンに時代を感じる)

Twitter元年の波に乗る

2009年は、まさに日本における第一次Twitterブームという時期で、「ヒウィッヒヒー」とかいってみんなで盛り上がっていた時代でした。そういう盛り上がりのいいタイミングだったということもあり、サービスは順調に成長していきました。

当時のTwitterには、公式のRTもなく、今のようなリプライツリーも無かったので、Twitter上で話題の前後関係を追いかけるのはとても大変でした。そこで、ツイートを自由に並び替えられて、保存、共有できるツールとしてのトゥギャッターは、それらを整理するための道具として活用いただけたと思います。

ソフトバンクの孫さんもTwitterを活用して「やりましょう!」というブームを作っていましたね。

ソフトバンクのイベントでTogetterを使うかも?という話は知り合い経由で事前に聞いていたのですが、まさか生放送中に実演するとは思っておらず、当時は激安レンタルサーバでサービスを運用してたので、一瞬でアクセスが急増し、画面の向こう側で孫さんにページが開かないと言われた時には血の気が引きました。残念ながら、このときのまとめはもう無くなっているみたいです。

まとめるツールからメディアへ

私は、サービスを作った当初からトゥギャッターのことを「ツール」だと思っており、それは根本的にはいまも変わっていません。一方で、Twitterが初期の自分や周囲の人たちのステータスを共有しあうようなサービスから、情報発信や拡散のための側面を強めていく10年間の過程を、Togetter自体も同じくして体験してきたと言えるかもしれません。

2010年に口蹄疫の問題が起こった時に、現地の生産者や政治家、ジャーナリスト等あらゆる方面からTwitterを通して情報発信が行われて、それらを有志の方々が次々にTogetterに情報をまとめていくという現象が起きました。私の認識としては、国内でTwitterが広くメディア的な役割を果たした最初の出来事だったように思います。そのタイミングで、トゥギャッターがツイートをまとめるだけのツールから、情報を集約・共有し、問題や課題を顕にしていくというメディア的な役割を担うことになったという気がしています。

東日本大震災を経て変わったこと

2011年の3月に発生した東日本大震災で、国内のTwitterの利用者が爆発的に増えました。被災地からのツイートという形で情報が発信され、それらがRTによってどんどん拡散し、共有されていく、災害時の新しい情報の流れというのを感じました。

Togetterも、当時のニュースで震災時にアクセスが急増したサイトとして取り上げられる程、活用していただきました。多くのまとめ作成者の方々が、大量に流れてくるツイートを情報毎に整理してまとめてくれたことで、サービスを通して多くの方の役に立つということが出来たかなと思っています。その後、現地で活動されていたNPOの方と話した時に、Togetterが救った命がたくさんあると言っていただけたのは嬉しかった。

ただ、この出来事をきっかけとして、Twitter自体の性質も加速度的に変わっていったように思います。個人が自由に情報発信と拡散を行えるということが、大きな価値でもある一方で、大きな対立も助長するようになっていきました。Togetterも、サービスの利用者やまとめは増えるものの、対立を煽ったり攻撃的な内容のものも併せて増えていくこととなります。

ツイートをまとめるというだけのツールであったサービスが、メディアとしての役割を持つに至り、遂には使われ方によっては敵意や悪意を拡散することになるという状態に陥っていきます。当初は、性善説に組み上げられていた仕組みが破綻し始めて、自由に利用できるプラットフォームであることとのバランスの調整に1年以上の時間を使ったように思います。

個人サービスから組織での運用へ

10年のうち前半の5年間くらいは、Togetterをほとんど1人で開発・運営していました。一時的には社員がいたり、企業からサポートを受けたりはしていましたが、現在のようなチーム体制にはなっていませんでした。

ただ、東日本大震災を起点として、激増していくトラフィックや問い合わせへの対応をしていくという日々が続き、新しい機能開発であったり、レガシーな部分のリファクタリングをする余裕が全くないという状態に陥っていたように思います。

完全に成長が鈍化し始めた2014年に会社の体制を見直し、開発や編集部のスタッフを採用し始めたところから、チームでのトゥギャッターの運営が本格的に始まりました。

個人で生み出してしまったサービスは、やはり根本的な部分で自分の作品であると思っているフシがあり、未だに全ての部分に目を通さないと気が済まないと感じてしまうのですが、幸いなことに今のメンバーはTogetterが本来やりたいことというのを理解してくれているので、徐々にいろいろな部分で私の手から離していけている気がします。

サービスのコードやインフラも、5年前とは比べ物にならないくらいブラッシュアップされており、サービスのパフォーマンスもとても良いです。どんどん新しい技術が取り入れられていて、もう、何がどうなっているのか私にはよく分からないです。

100%、私個人に依存していたサービスが、チームメンバーによって砂山崩しのように削り取られていくのは、意外と快感だなと感じています。

キュレーションメディアに非ず

10年間サービスをやってきて、最初から変わらず思っていることは、Googleからの検索流入は追い求めないという方針です。そもそもユーザが自由にコンテンツを投稿するタイプのサービスですので、SEOの考え方自体がマッチしないというのもありますし、Twitter関連のサービスでもあるのでちゃんとTwitterで話題になるということを第一に考えていました。

ちょっと前に、キュレーションメディア騒動というのがありましたが、あれは過度にSEOを追い求めた結果、ありとあらゆる検索キーワードにヒットするように記事を量産するという選択を採用する羽目になり、結果、上場企業が粗悪な医療記事を大量生産してしまったという結末でした。

キュレーションメディアという言葉が生まれる前から、Togetterはサービスをやっていたわけで、私自身はキュレーションメディアとは言わないようにしており、まとめを作る人をキュレーターではなく、まとめ職人って言うようにしてたりします。そんなポリシーでやってきたこともあり、ネット上でTogetterは別物であるという意見が散見されて、火の粉がこっちに飛んでくるようなこともありませんでした。自分たちの方針がちゃんと理解してもらえているんだなと嬉しく思いました。

とはいえ、最近ではGoogleが独自のコンテンツを積極的に評価するようなアルゴリズムの更新があったのか、Togetterのまとめが以前よりも検索流入で強くなっているようです。Googleさんありがとうございます。

TwitterAPIという最強のエコシステム

TogetterはTwitterのAPIをフルで活用して動いているサービスです。APIは利用制限や仕様変更などで、一部のサービスが終了したり、機能が制限されたりなどその運用に厳しい意見もありますが、TwitterAPIを語る上でもっとも重要な点は、API経由で取得したツイートは一定のルールを満たしていれば、そのアプリケーションで自由に使用することが可能であるという点です。

Twitterのユーザは、ツイートする時点でその包括的な利用を許諾していることになっているため、APIを経由する場合に限り、誰でも許諾を得ずに自由に他人のツイートを表示させることができるわけです。TwitterというSNSが、他のSNSと大きく違うのはこの規約の有無ではないかと思っています。この規約があるからこそ、開発者が自由にクライアントが開発できたり、テレビやイベントでツイートを表示させたりといった使い方ができるわけで、故にTogetterも存在できるのです。

最近では、Labsという次世代版のAPI開発のプロジェクトも進んでいるようですし、先日、現地のAPI開発チームの方とお話する機会を作っていただき、日本のAPI活用事例にも興味をもってもらえたようでした。

Twitter社にとっては、TwitterAPIをどのように自社のビジネスに繋げるかという難しいバランスの問題ではあると思いますが、この貴重なエコシステムを有効に機能させつつ、適切な価格帯でマネタイズしていって欲しいものです。当社も、すでに一部でAPIを購入していますし、これから出るPremiumAPI関連でも、利用しやすい価格帯であれば、積極的に使っていきたいと思っています。

とか言ってたら

TwitterのAPIが止まって伝説になりかける

2017年の年末、Togetterを開発していた私のアカウントが凍結されたことで、紐付いていたTogetterがAPIを呼び出せなくなるという事件が起きた。

前日にアカウント凍結騒動があり、知り合いや社内でもエンジニアのアカウントがバシバシ凍結されていたのだが、幸い私のアカウントは凍結されていなかったので、安心していた。

翌日の12月15日の朝、私は、ライターのヨッピーさんのお誘いで大分県の別府を楽しむ会のようなものに参加するため、朝イチで飛行機に乗るため羽田空港に向かっていたのだが、飛行機に乗る直前にTwitterの自分のアカウントにアクセス出来ないことに気づき、ヤバいと思ってTogetterにログインしようとすると案の定、アプリケーションごと凍結されてしまっていたのだ。

しかし、飛行機の搭乗時刻も近づいており、私が東京に残ったとしても特にやれることも無いだろうということで、始業前の社内のチャットに「凍結されてる」とだけ書いて飛行機に飛び乗りました。

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大分の空港でとりあえずやれることには対応。会社の朝礼には、ハングアウトで参加し、メディアからの取材依頼等には社内のメンバーで対応してもらうことにし、私はTwitterから届いていた定型文メールに返信したり、TwitterJapanの偉い人にメールしたりした。あとは、APIが停止されていてログインできない旨をサイトに追記するためのコードを書いたりした。

ハングアウト傑作選_-_Google_ドライブ

当時の朝礼のビデオログ。朝が早かったということもあり、顔が死んでいる。

笑顔のヨッピーさんの横で、カメラに写り込まないように避けているが、サービスごとアカウントが凍結しているはずの私が、温泉に入っていることがバレる。

そんな感じで、初日に関していえば、まぁいつまでも復活しないなんてことはないだろうという感じでしたが、結局、数日経っても解除されず、社内でも不穏な空気が流れ始める。マストドンをやってみたり、過去の名作まとめなどをシェアしたりしていたが、いよいよ運営としてやることが無くなってくる。朝礼でも「今日も凍結解除されていません。」というのが常套句になってしまって、テンションが低い感じになる。

幸い、サービスが凍結している間、多くの方がTogetterが凍結していることを心配したツイートをしてくださり、それらをTwitter上でエゴサしては、自分たちのサービスがネット上で必要とされてるんだと、励まされました。

そして伝説になりかけていた1週間後の21日早朝にアプリケーションの凍結は解除され、Togetterは復活することとなる。

凍結解除の朝、実は私は「凍結が解除される夢」を見ており、目が覚めて急いでTogetterを見ると正に夢の如く、自分のアカウントでログインできるではありませんか!きっと、凍結解除してほしいという強い思いが神様(Twitter)に通じて、私に正夢を見させてくれたのでしょう。

自社サービスの凍結も凍結解除もヤフトピに掲載されたのは今となってはいい思い出。もう繰り返したくはないです。

ちなみに、現在では、Twitterのプラットフォームのアップデートにより、アプリケーションは企業単位で管理されているので、私のアカウントが凍結されたとしても、アプリケーションごと死なずには済むはずです。

140万本ものコミュニケーションのアーカイブ

Togetterには、10年に渡って集められた140万本以上のまとめが残っています。しかも、ある情報が集められているというだけでなく、あらゆるTwitter上でのコミュニケーションがアーカイブされて残っているのです。

特定の情報であれば、Googleとかで検索すればすぐに適切な情報に辿りつけるかもしれません。でも、コミュニケーションのアーカイブはどこにも存在しないのです。あの時、誰と誰がどのような会話を繰り広げたのか、たぶんTwitterを検索しても当時の様子を再現するのは難しいのではないでしょうか?

Togetterが究極的に面白いのは、そのコミュニケーションをまるまるアーカイブすることができる点です。トゥギャッターは仕様として、1つのまとめに1万ツイートまで保存できるのですが、ときどき数ページに渡るまとめを「情報がまとまってない」と表現するユーザがいるのですが、Togetterが考えるところとしては、まずは流れを全て保存するだけでも立派なコンテンツだと言える点です。

ツイートをまとめようとした人なら分かると思うのですが、話の流れを綺麗に整理するのは異常に大変だし、スピード感も要求されるので、まずは残すことを考えていってほしいなと思っています。今、楽しんでいるそのツイートが、数日後にはインターネットの大海に消えていってしまう、できればそれを見た誰かにまとめてほしい。そうすれば、100年後にも楽しめるコンテンツになるのではないかなと思います。

そのツイート、まとめておいた方がよくないですか?

拡散を目的としない新しいまとめサービス

最近の取り組みとしては、よりプライベートに、ちょっとだけ共有するという目的でTogetterを使いたいというニーズに答える形で、「min.t(ミント)」というサービスを先日ローンチしています。

Twitterで拡散されるようなコンテンツが生まれる場所を常に目指してきた我々にとって、min.tは拡散しないという真逆の方針を採用しているわけですが、最近のSNSの現状を垣間見るに、オープン過ぎる反動として、クローズに向かう流れが強まりつつあり、それらの受け皿として成立するのではないかと思っています。

さっそくユーザが自発的にPRしてくれてバズった。うれしい。

こういう新しい機能開発も、5年前だったら無理だったなという気持ちに浸れますね。

これまで関わってくれた全ての人によって迎えられた10年

冒頭でも書きましたが、10年前に作ったサービスが、10年間使われ続けて、令和の時代に突入するとは思ってもいませんでした。

趣味で作ったツールを面白がってくれたヤフーのみなさん、応援してくれた友人たち、サービスを支援いただいた多くの皆様。また、これまで企業としてのTogetterにコミット頂いた社員やアルバイト、お仕事をお願いさせていただいた皆さんに感謝申し上げます。

そして長らくトゥギャッターを利用してくれるユーザの方々にお礼を申し上げます。引き続き、ご利用いただければ幸いです。

そして、いまもTogetterを一緒に運営してもらっている社員含め、メンバーの皆さん、時々、私の言っていることがよくわからないと思いますが、ついてきてくれてありがとうございます。引き続き、厳しいご指導よろしくお願いします。

実態としては、まだまだやらなくちゃいけないことや、やりたいことが山積みなので、引き続き精進してまいります。

最後に

10周年ということで、なんかキャンペーン考えてとメンバーに言ったら #ツイ偏差値テスト という恋愛クイズゲームが完成したので、ぜひ遊んでみてください。

宣伝

ツイートをまとめる以外にも、こんな事やっているという事例紹介ですが、今週末行われるJ-WAVE主催のイノフェスにメディアスポンサーとして参加いたします。

ライブイベントを盛り上げる当社ツール「ツイート流れるマシーン」をご利用いただいており、イベント会場にツイートをリアルタイムで映し出します。

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ツイートが会場に表示されるまえに、不適切なツイートを自動&手動でフィルタリングして、ほぼリアルタイムに会場にフィードバックさせます。すると、観客と会場のインタラクションが生まれて、ツイートが加速していくんですね。

日曜日のチケットがSOLDOUTしているそうですが、ツールにご興味がある方は、お問い合わせください。

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