歳を取ったらどこに住む?

30代で勢いで中古の家を買いました。早いうちに建て替えるつもりで買ったものの、人生は全然予定どおりに進まないもので、気が付くとローンが払いきれていないまま、子どもも成人し大人4人が暮らすには質も広さも不自由な状態になっていました。
建て替え、買い替え、リフォームと、いろいろ検討しました。しかし訪問介護を長くやっていて気付いたのは、歳を取ると誰も2階に上がらない事でした。子どもが独立し、独居あるいは夫婦だけの生活になると、2階は開かずの間と化してしまいます。介護保険では使わない部屋は掃除できないので、どんどん暗くホコリっぽい部屋になっていきます。介護で訪れている位ですから、ほぼ例外無くそんな家ばかり。もう50代も半ばの私は、とても多額の費用をかけて一軒家を維持する気持ちにはなれませんでした。
本当はマンションを買いたかったのですが、今マンションはとても人気で、中古でも高い金額になっています。管理費や修繕積立金もかかるし。
最終的に、私は家を売却し、賃貸マンションに住むことを決めました。ローンがまだまだ残っていたので利益はさほど出ませんでしたが、今後何十年もローンに苦しむよりはいいだろうと思ったのです。
「歳を取ると家は借りられないから持ち家を」と、私の若い頃はよく言われました。家にこだわりが強ければ確かにそうかもしれません。しかし、独居で賃貸に住んでいる高齢者は大勢います。新築のきれいな部屋は借りられなくても、築年数や間取りにこだわらなければ、結構どうにかなっています。
それに、持ち家は家の管理も全て自分でやらなければなりませんが、若い頃と違ってそれが本当に大変になっていきます。掃除、庭の手入れ、風呂釜や屋根のリフォームだって、自分で手配しなければなりません。そんなこと、若い時には想像出来ないんですよね。でも最近マンションが人気なのは、親や祖父母がそういうことで苦労しているのを若い人も気付いているのかな、なんて思ったりもしています。
近い将来、賃貸マンションの管理会社みたいなサービスが、持ち家対象にも広がってくるのではないかな。私が知らないだけでもうあるのかもしれませんが。

仕事でサービス付き高齢者住宅にも行っていますが、あれはいいですね。部屋はきれいで設備も整っていて、基本賃貸住宅だから好きなように暮らせます。希望者は食堂で3食食べられるし、部屋の事で困った事があればフロントに言えば対処してくれるし。元気なうちだったら一番いいよね~と、同僚とも話しています。お金さえあればね(苦笑)。
でも金額は青天井らしいので、お金持ちしか利用できません。特養で働いていた時、「知らないで(サ高住に)うっかり入っちゃったら、介護費用は別だからどんどん金額が上がっちゃってこちらに移ってきた」という利用者さんがいました。
そこまできれいな部屋で無くてもいいから、普通に住めて普通の値段で簡単なフォロー位してくれる、高齢者向けの賃貸が、これからは必要になってくるでしょうね。国もようやく着手するようなので、今後の動向を注目していこうと思います。

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