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短期間でQuest3とVIVE Pro 2を買った話

はじめに

こゃ~ん(挨拶)お久しぶりです。

突然ですが、Quest3とVIVE Pro 2を買いました

おそらくこのタイトルを見て記事を読んでくれている人には説明があまりいらないと思いますが、簡単に説明しておくと、どちらもHMD(ヘッドマウントディスプレイ)と呼ばれるVRで使う機材のことです。

どちらもなかなかいいお値段…。少なくとも同時に買う必要はないと思います。
ではなぜ、2台も買ってしまったのか…。買って実際に使ってみてどうだったか。そのあたりを書いていこうと思っています。

「HMD買いたいけど何がいいのかわからない」
「Quest3気になってるからどんな感じか知りたい」
「VIVE Pro 2ってどうなの?」
という人の参考になればと思います。

購入の経緯

そろそろHMDを買い替えよう

先に断っておきますが、そもそも最初は2台もHMDを買う予定はありませんでした。私の頭は1つしかないので当然2台も同時に扱うことは不可能です。

ただ、もともとHMDを買い替えたいなぁというのは1年くらい前から思っていました。
買い替える前はHTC VIVE CEを使っていました。この記事を書くために発売日を調べていたら2016年とのことでかなりびっくりしてますが、それくらい古いHMDなんだなぁと思うとともに約5年使っていたのでそんなものかなぁと思う私もいました。

1年も買い替えを伸ばしていたのは「これと言って買い替え先として候補になるものがなかった」からでした。
普段の私はVRの遊び方として、バーチャルキャストでたまにニコニコ生放送をしつつ、たまにVRChatに遊びに行くという使い方をしています。
しかし、最近VIVE CEを使っていて「ゲーム内の文字が読めない」と思うことが多くなってきました。これは私の勝手な想像ですが、最近出ているHMDの解像度が上がっているので文字が小さくても気にならないユーザーが増えてきたからではないかと思っています。
逆に言えば、それ以外は正直なところ不便だと思っているところはありませんでした。

そのため、買い替える条件としては

  • アウトサイドイン方式であること

  • バーチャルキャスト、VRChatのPC版に入れること

  • 使用頻度がそんなに高くないので値段が高すぎないこと(10万円切ってると嬉しい)

  • VIVE CEよりも解像度が高いこと(これはたぶん現在発売されているHMDであればたいてい満たしているので問題なし)

このあたりの条件で考えていました。最近のHMDは技術の進歩でアイトラッキングやらフェイシャルトラッキングやらハンドトラッキングやらついているものもありますが、そのあたりがついているとかなり値段が上がってきます。技術的に興味がありますがそんなに私の中ではたぶんそんなに使わないだろうなーというところがあったので、まずは長年使っていて使いにくくなってしまったHMDの買い替えを優先することにしました。

黒船襲来

そんな折、2023/10/10にMeta Quest3が発売されました。発売のニュースを聞いたときは、「どうせインサイドアウト型だしなぁw」という感じであまり興味を持っていませんでした。というのも私がインサイドアウト方式にあまりいい思い出がなかったというのがありました。
VIVE CEを使う前はWindows MRといわれるHMDを使っていました。今では後継機が出ることなくニュースも聞かなくなってしまいましたが、発売当時は安価で「とりあえずVRを体験してみたい」という人には手を出しやすいHMDでした。

インサイドアウト方式・アウトインサイド方式についてはこのnoteを見てくださっている人には説明不要だと思うので説明は割愛しますが、Windows MRはインサイドアウト型でした。ケーブル1本をPCに接続するだけですぐVRができる手軽さがいいのですが、個人的にはコントローラーのトラッキングにかなり不満を感じていました。特にVRChatだと致命的で、常にコントローラーを胸の前あたりに置いておかないとゲーム内で操作ができなくなってしまったり、アバターの手の位置がとんでもない方向に移動してしまったりしていました。

しかし、私の周りで反応を窺ってみると案外悪くなさそうどころか、かなり上々な様子。特にQuest2の後継機ということでさらに性能が強化されたとのことでかなり注目度が高い様子。特に目玉の「カラーパススルー機能」がすごい!という話をよく耳にします。

「HMDかぶったままスマフォの文字が読める」「動画サイトで動画見ながら家事をしてる」「クロマキーでゲーム内の映像と現実の映像を合わせて遊べる」

また、カラーパススルー以外にもコントローラーがQuest2よりもさらに小さくなったというのもありました。コントローラーの大きさはそもそもVIVEコントローラーを使っている時点であまり気にしてはいませんでしたが、VRのコントローラーで特徴的ともいえるリング状の部分すらなくなったとのことでかなりコンパクトになりました。

そこまで聞いていると新しいもの好きの私としてはかなり気になってきてしまいました。インサイドアウト型でさらにスタンドアローン型という最初から候補になかったHMDなのにそこまで言われたら気になるじゃないか…というところで気が付いたら近所の家電量販店で予約をしてしまっていました。

Quest3を使ってみて

予約して1週間くらいしたところでついに手元に来ました。

HMDが入っているとは思えないほどコンパクトな箱のQuest3

第一印象としては「小さい!軽い!」でした。特にコントローラーはVIVEコントローラーとは比べ物にならないくらい小さくて驚きました。

VIVEコントローラーとQuest3コントローラー。大きさ比較用に初代Nintendo Swith

使ってみてよかった点

  1. 噂通り「カラーパススルー」はすごい

  2. 画面はやや白っぽい?けど映像は綺麗

  3. 本体内蔵のスピーカーから出る音の立体感がいい

  4. コントローラーが小さいわりに反応がいい

特に1.のカラーパススルーは、Quest3のセットアップの時に実力を知ることとなりました。Quest3はアクティベート時にスマフォアプリを使ってmetaアカウントにログインをすることになるのですが、Quest3上で「ヘッドマウントディスプレイを外してスマートフォンを操作してください」と表示される場面でそのままパススルーカメラを使ってスマフォの文字を読みながら操作することができました。VIVE CEにもパススルー用のカメラはついていましたが、一言でいうならモザイクアートのような画質でした。明らかな時代の進歩を感じました。

画面の白っぽさはディスプレイが有機ELから液晶になる辞典で覚悟はしていましたが、かなり白いなぁと感じました。体感的なものなので説明が難しいのですが特に暗い映像の時に白く発光してる感が強く感じられました。これは液晶と有機ELの構造の違いもあるのである程度の妥協は必要だと思います。有機ELのHMDに慣れている方は注意が必要です。

本体内蔵のスピーカーは眼鏡のつるにあたる部分に左右の上下に1つずつ、合計で4つのスピーカーから音が再生されているようです。
これがかなり快適でした。いつもVIVE CEを使うときはイヤホンなりヘッドフォンをしなきゃいけないということもあり、少しこだわったイヤホンのほうが絶対いいだろうと思っていました。しかしQuest3本体のスピーカーでも音声の方向感覚がわかるくらいサラウンド再生が上手にされていました。また、ボイスチャットを使うコンテンツ(ex.VRChat・バーチャルキャスト)でそのスピーカーを使っていてもループバックはしていないようだったのでなかなかいい制御をしているなぁと感じました。ただ、あまり大きな音で再生すると音がマイクに乗ってしまう可能性があるので注意が必要だとは思います。

コントローラーは公式サイトで謳われている「手の延長のようなTouch Plusコントローラー」という文言通り、かなり手にフィットするデザインになっていました。また、インサイドアウト方式HMDのコントローラーにありがちなコントローラー表面に識別用のLEDがついているといったこともなく、VRのコントローラーとは思えないいいデザインでした。

使ってみて微妙だったところ

  1. トラッキングにカメラを使っているので部屋が暗いと使えない

  2. ハンドトラッキングは便利だけど対応アプリがまだまだ

  3. バッテリー使用時の連続稼働時間が短い

微妙だなぁと思った点にも触れておきます。
夕方で日が暮れてくると、Quest3の通知で「部屋が十分な明るさでないためトラッキング精度が悪くなります」という旨の通知がでてきました。とはいっても急に使えなくなるわけではなく、コントローラーの動きが若干悪いかなーと感じる程度でした。しかし、Quest3には睡眠導入アプリがいくつかリリースされています。Pillowというアプリを買って(英語のみですが読み聞かせやプラネタリウムでリラックスしましょう、というアプリです)遊んでみました。フロントカメラ越しに映る蛍光灯がまぶしくてスマートホームのシステムで電気を消したところ、トラッキングが全くできなくなりました。完全に暗闇でなければ遊べる、という点はすごいとは思いますがもしVR睡眠をするときに電気を消す、という人は困るかもしれません。
(まあ構造を考えれば当たり前といえばそうなのですが…)

またQuest3の目玉機能の一つとして「ハンドトラッキング」があると思いますが、個人的にはすごい技術だと感心する一方でもったいないなと感じました。Quest3のホームメニューだとか、対応アプリではコントローラーの代わりに手のひらを身体の前に持ってきて親指と人差し指でつまむようにジェスチャーするだけでほぼ操作できます。しかし、これができるのはごく一部のアプリとQuest3のホームメニューくらいです。この記事を読んでいる人であればVRChatやバーチャルキャストでコントローラーの代わりにハンドトラッキングで手の動きを表現したり操作したりしたい!と考える人がいると思いますが、現状ではかなり厳しいです。
VRChatやバーチャルキャストで使う場合はハンドトラッキングに対応しているリモートデスクトップアプリを使えば手の動きだけアバターに反映することができます。Quest3のホームのようにゲーム内の操作は非対応です。

そして一番気になったのがバッテリーの連続稼働時間です。1カ月程いくつかのアプリを使って試したのですが、条件よく使えて2時間。アプリのよっては1時間半でバッテリーが切れてしまうこともありました。こればっかりはしょうがないかなぁとは思うのですが、1度にVR機器を長時間使う人は内部バッテリーを充電できるようなものを用意しておかないといけないと思います。

VIVE Pro 2を使ってみて

なんで新しいHMDを買った直後に買ったのか

おそらくこの記事を読んでいる人の大半が思うことであろう疑問にお答えします。冒頭で「もともと2台も買う予定はなかった」と言っておきながら、2台めを買ったのか。購入の順番としてはQuest3→VIVE Pro 2です。
「使ってみて微妙だったところ」では触れていませんが、Quest3を使ってSteamVRのコンテンツを使う際はパソコンでSteamVRを立ち上げてそこでの処理結果をQUest3に送る、という感じで動いています。その仕様上どうしてもしょうがない部分はあるのですが、転送中にラグが若干あります。音楽ゲームや動きが激しいゲームをやると映像が乱れたり、通信状況によってはフリーズしてしまいます。
また、私はVIVE CEのほかにVIVE trackerも持っていました。Quest3と併用することもできなくはないのですが、設定方法にかなり癖があり、またトラッカーの実際の位置とVR内での位置に若干差異が出てしまうことが気になっていました。
そんなことを感じながら使っていたところ、VIVEアンバサダーをしている知り合いから悪魔(?)の一言がありました。

「VIVE Pro 2 liteが約7万円引きのセールやってるよ」

私にとってかなり魅力的な話でした。もともとVIVE CEを使っていたのでVIVE製品を動かす設備は揃ってます。さらに、VIVE Pro 2はCEから見れば次世代で高機能なHMDなので、コントローラーやベースステーションも次世代品が出ています。しかし、CEと同じベースステーション、コントローラーを使うことができる(互換性がある)という嬉しいHMDでした。
VIVE Pro 2のフルセットだと次世代型コントローラーとベースステーションですが、liteのセットだとそこが旧世代のセットという違いだけでHMD自体の違いはありません。

VIVE Pro 2はHMD単体でおよそ10万円。liteの定価は17万円ですがセール価格にておよそ10万円。

「もしかしてこれ、Pro 2を買うとおまけで旧型のベースステーションと旧型のコントローラーがついてくるというバグでは!?」

と思ったので気が付いたら購入していました。VIVE trackerを使い続けるならベースステーションの予備はいくらあっても困らないし、コントローラーも振動しなくなってしまったりとガタは来ていたのでこの際新品の入れ替えてしまえば無駄にはなりません。

ーーこうして私の頭は1つしかないのにも関わらずHMDが2個ある、という(普通の人から見たら)謎な現象が起こってしまったのでした。

使ってみてよかった点

  1. Steam VRを安定して使える

  2. 見ためによらず意外と軽く感じる

  3. 没入感がいい

Steam VRもVIVE Pro 2もHTC社の製品なので動作についてはばっちりです。映像や音声の遅延は当然なく、trackerもばっちり動作します。

あと意外に思われるのですが、VIVE Pro 2本体はかなりごつく本体重量がQuest3よりかなりあるのですが体感としてはQuest3と同じくらいか、それよりも軽く感じます。専用の固定具で頭に固定するのですが、頭の後ろにあるダイヤルを回すだけで頭に固定できるのでかなり簡単に使うことができます。

使っていて一番実感したことは、HMDをきちんと固定すれば画面内に外の明かりがほとんど中に入ってこないことです。これはVRでの体験で没入感が増してとてもよいと思いました。Quest3のときは結構鼻の上あたりから光が漏れていて気になっていたのでそこは専用固定具の強みだなぁと思いました。(Quset3でもおもいっきり顔面に押し当てれば隙間は埋まるのですが、それをやるとおそらく30分足らずで顔面が痛くなってVRどころではなくなると思います。)


使ってみて微妙だったところ

もちろん使ってみてうーん…と思ったところもあります。

  1. 固定具ががっちりしすぎている

  2. HMDを起動するのにちょっと癖がある

  3. 付属のヘッドホンはすぐに取り外そう!!

専用の固定具のおかげで快適に遊べる、と書いたもののこれがかなり欠点でもあると思いました。頭の固定具がかなり後ろに出っ張っているため、背もたれが大きめの椅子に座ると固定具が椅子にあたってしまいます。つまり少し下を向くような形になってしまうようになります。立ってVRを遊ぶ場合には全く問題はないのですが、座ったり、寝たりする場合はかなり工夫が必要です。

VIVE Pro 2は、PCでSteamVRを起動する前にあらかじめHMDのリンクボックス(HMDとPCの間に接続する機材)の電源を入れてポータルアプリを起動しないとSteamVR上で認識されないという仕様があり、そこが不便に感じました。特にVIVE CEはPCに接続さえしておけばSteamVRを起動するだけでそのままVRが遊べたのでそこはかなり気になりました。どうやらこれはPro系VIVE製品で共通しているようなので妥協するしかないのかなとは思います。

これだけは声を大きくして言いたいのですが、VIVE Pro 2に標準でついているヘッドホンはすぐに取り外したほうがいいと思います。
耳の上に乗せるタイプのヘッドホンなのですが耳とヘッドフォンの間に若干隙間ができるのでめちゃくちゃ音漏れします。あと個人的には音質がいいとは思えなかったので、HMDについているtypeCポートにイヤホンを刺して使っています。取り外し方は公式ウェブサイトに出ていたので苦労せず取り外すことができました。あとは取り付け部がかなり細いので寝っ転がったり、椅子に座ったりしているうちに折れそうな雰囲気を感じました。
一応フォローしておくと、HTC曰く「装備されているHi-Res認証済みヘッドフォンで世界に完全に入り込んでください。」だそうです。いいものらしいのですが好みの問題かもしれません。

結局どちらがいいのか

それぞれにいいところ、悪いところがあるのでどちらがいいとは言えませんが、利用するシーンによって向いてる人を書いておこうと思います。

次に当てはまる人はVIVE Pro2のほうがいいと思います。

  • SteamVRでゲームをたくさん持っているため、SteamVRをよく使う人

  • 同時にVIVEトラッカーなどHTCの製品をいっぱい使う人(フェイシャルトラッカーとか使うなら特に)

  • 一度に2時間以上VRで遊ぶ人

  • PCのスペックが高い人(特にグラフィックボードが強いと120Hzが体感できる)

また、次に当てはまる人はQuest3のほうがいいと思います。

  • 手軽にVRをやりたい人

  • VRを遊ぶ空間(自宅等の部屋)が狭い人

  • 手が小さい人(コントローラーが小さいので握りやすい)

  • 複数の場所でVRをやる人(スタンドアローン機の最大のメリット)

私としては普段バーチャルキャスト配信をするときはVIVE Pro2を、VRChatに遊びに行くときはQuest3を、といった感じで使い分けています。どっちかいいか悩んている人の参考になればと思います。

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