波乱の人生〜宇宙人?〜

もうすぐ娘の1歳の誕生日。
妊娠後期に入る私の体調は、娘がお腹にいた時より良かった。
実は、娘妊娠中、一度入院が必要な程お腹の張りが強く、切迫早産という状態だったが、年末だったので先生が大目に見てくれて自宅で絶対安静と言われ、トイレ以外ベッドから動けなかったのだ。

あの時の、自分の体と赤ちゃんが分離する様な感覚でそろりそろりと歩く必要が無かった。走る事もできる程体感としては順調だった。

娘の誕生日前日の朝、起きてトイレへ行くと出血していた。
予定日は2ヶ月も先だったし、腹痛も無かったので多分大丈夫だろうとタカを括って、取り敢えず受診してくる。と一人車に乗って診察を受けると、既に子宮口が1cm近く開いており、即入院の絶対安静となってしまった。

この後仕事に出かける予定だった彼に事の次第を伝えた。その日はたまたま義母が一泊で温泉旅行へ出掛けており不在だったので、仕事をキャンセルして、私の入院準備をして娘とタクシーに乗って病院へ来てくれた。
その日は特に痛みも無く、子宮口が開いているのは診断ミスだと疑わなかった。

入院2日目。朝の4時頃、急な腹痛で目が覚めた。「そう言えば、1週間程前からこの時間に腹痛があった」と思い出した。(遅い)何せ朝方の寝ぼけてる時の出来事なので、起きたらすっかり忘れていた。
それから陣痛モニターを付けて、娘の誕生日を病室でお祝いした。
夕方、義母が旅行から戻ってきてまっすぐ病院に来てくれた。ニコニコ笑顔で「大丈夫?」と余裕の雰囲気にホッとしたのを覚えている。

入院3日目。朝4時頃、昨日より強い陣痛の痛みが来た。
陣痛を起こさない様にする点滴を24時間していたが、もう薬では止められないところまで来てしまった。子宮口3cmまで開いてしまい、個人病院では未熟児を扱えないので、即救急車で横浜医大付属病院へ転院した。

この時の彼のテンションの上がり様が笑えた。日頃、無線を傍受して色んな悪い事を聞いているので、自分が救急車と一緒に出動するかの如く、子供の様に目をキラキラさせていた。
車には無線機を持ち込んでいたに違いないw

案の定、救急車より先に転院先の病院へ到着していたw

人生初の救急車。面白くて車内をくまなく目を皿の様にして見ていた担架に寝かせられた私。添乗してくれた看護師さんは少し緊張した様子だったが、私は救急車の中で、出産へ向けて精神を整え始めた。陣痛が強くなっていた。

病院に到着した時には、既に子宮口は5cmまで開いてしまい、ここまで開いてしまうと、お産を止めることは出来ないので出産しましょう!と言われた。赤ちゃんが心配だった。でも、陣痛が始まったと言うことは赤ちゃんの準備が出来たと言う事か、又はこの子はこのタイミングで生まれたいんだろうと、何となく感じていたので心は落ち着いていた。

「よっしゃこい!今度は上手に息んで見せるぜ!」

緊急処置室の様な部屋のベッドへ移され、出産が始まるのを待った。私の心配が伝わったのか、それから陣痛が治まってしまった。なかなか強い陣痛が来ない中、待合室に居た彼が様子を見に部屋に入ってきた。
彼と話をしている時、何かが流れ出る感覚があり
「あ!何か出る!看護師さん呼んで!」
と、看護師さんが飛んで来たその時、大量出血が起きた。
痛みなど何も無いので、何が起きているのか分からず不安だったが、院内PHSで呼び出された医師が直ぐに来て診察をした結果、羊水は綺麗だから赤ちゃんは大丈夫と分かって安心した。

間も無く強めの陣痛が来たので、看護師に息んでみましょうと促され、息み始めると、流石2回目の出産だけあってスルスルと降りて来るのが分かった。
お腹に入って8ヶ月で生まれて来る赤ちゃんにしては頭が大きく、思ったほど軽い出産では無かった。

朝8:22 長男誕生!2128g 頭囲33cm(娘の頭囲は32cm笑)
妊娠8ヶ月の胎児は、呼吸器官が未発達なので肺呼吸が難しいが、息子はなんと、産声をあげた。
医師が驚いた様に「泣いたね!!」と言ったのを聞いて、それが凄い事だと分かった。

保育器に入れられた息子は、一瞬私に顔を見せた後、直ぐにNICUへ運ばれて行った。
ホッとしたのは束の間。予想以上に大きい頭で会陰が裂けてしまったので、縫合術を受ける事になった。
その麻酔の注射が痛いのなんのって!出産より痛かった!w

痛すぎて上へ上へとずり上がり、ベッドから頭が落ちそうだった。初めての出産の時も今回も、痛いとか一言も言わなかった私だが、ここで初めて
「痛い!痛い!痛いっっ!!」
と連呼した。
それでもまだ麻酔が効かず、縫い始めているのが分かったので、もう少しで股の間に居る男(医師です)の顔を蹴り飛ばすところだったw

こうして、宇宙人的に私のお腹にやってきた息子は、やはり宇宙人的な頭の大きさで、宇宙人的な急成長を遂げて8ヶ月で生まれきたのでした。


波乱の人生〜救世主現る〜へつづく

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